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第三話 初めて知るネコの快楽

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 それからオレはやけに透夜と仲良くなり、やれアイス買ってきてほしい、紅茶を一緒に飲もうとことある毎に会うようになった。
 日々にメリハリが出来て、恋愛していたときより楽しかったもんだから、少しだけ違和感を感じた。まだ胸の鼓動にこの頃は気付いていない。
 身体の関係も続き、スイッチは相変わらず静かなので、平和にオレがタチだった。
 可愛らしいな、ずっと求めていた王様だ、とオレは傅きその様は透夜に執事だといわれ。セバスチャンとあだ名がつくほどだった。
 お前の言うことだ、聞いちゃうよ――内心そんな従者精神を見せながら、仲良く過ごしていた頃。スイッチが入ってしまった。
 ああ、いけない。これはよくない予感がする。オレは一生懸命隠して、その日は透夜からの連絡に出なかった。のに、透夜はオレの家に訪ねてくるもんだから、あげてしまった。
 家に上がって、部屋に入れば続く沈黙。
 どうしたものか、話して良い物か。ネコをし続けたいわけじゃないけど、ネコになりたい日もあるなんて誰が信じてくれるのか。そもそも、それまでタチをこなしていて、ある日言われたら戸惑わないか?
 焦る気持ちで俯いてると、透夜はあの真っ直ぐな茶色の眼でみてくるものだから。
 わんこみを感じて少しだけ癒やされたオレは誘ってしまう。

「一回だけ抱いてくれないか」
 嗚呼言ってしまった。恥ずかしい。断られる。嫌われる。色んな羞恥が一緒くたになり、自己嫌悪になっていく。
 だが、透夜はこくりと頷くと、オレを組み敷いてそれまで暢気なわんこが、暴君の顔になっていく。
「一回でいいのか」
 ――オレの、王様は、なんてかっこいいのか。
 心の蟠りが解けていき、透夜に本音を明かしていく。恋人でもないのに不思議だな。
「ネコになりたいときと、タチになりたいときがあるんだ。出来れば、そのときに」
「判った、いいぜ」
 心から愉しそうに、透夜は笑った。いつも元気で明るく可愛い透夜が、別人のような雄の顔つきだった。態度も言葉も変わったわけでもないのに。わんこが狼になった。
 ――ああ、この人なら受け止めてくれるかも知れないと、感じてる間に、透夜はオレの身体を暴いていく。オレもあまり知らないオレを見せつけていった。
 透夜はオレのようにエッチの時におしゃべりではなく、只管身体を愛撫するのに夢中だった。
いつもは啼く顔が、情欲でいっぱい。オレの何処が気持ちいいのかを暴いている。
舌を擦れ合わせてから、歯列をなぞられ。髪を撫でられれば蕩けた気持ちになっていく。透夜の手はオレの雄を握り込み、先端を抉ってくるので腰が震える。
 逃れるように、いや――もっとほしくて、腰を揺すると透夜はにやにやと「かーわい…」と囁いてくる。面持ちが染まる、潤滑油代わりに蜜を根元から扱かれ、透夜が身体を移動させる。
オレの下腹部近くまでくると、顔を腰に埋め、腰を持ち上げ秘部を舐め解そうとしはじめる。
「あっ、かわいくな、い。手きもちいい……んあ、暖かい、ぬるってする。いやだ、見るな、見ると感じちゃう……恥ずかしい、とおや、とおやあ……」
 自分でもしらない高揚した声があがり、あまりの光景に真っ赤になり目を閉じるしかできなかった。
「すげーみえる、薫のいいとこ……ここから、ここに垂れてんのすげーエロい」
 唾液で濡れた中に指を埋められ、先走りが尻の穴まで滴ると、その雫を指で伝われ。先端を吸われながら、指が解される。
「見られるの興奮するから駄目だ、ってば、ぁ、やぁ、も、駄目、はぁ、あ、前、も、触って……。おねが、ぃ、イきた、い。えろい、こと、シてるの、お前、だッ……はぁ、ン……ンン」
「興奮してるから美味しそうなんだろ。そろそろいいか、イきながら入れたらきっと気持ちいいぜえ」
 オレは興奮のあまりに指が抜け、透夜の肉棒を何度も後孔にキスされ焦らされた感覚に、もどかしく。やがて、挿入されると、透夜の言ったとおりにそのまま果ててしまった。
 遠慮の無いピストンに腰が合わさって揺れ、達したばかりなのにすぐに果ててしまい、それでもまだまだ遠慮無く腰が揺さぶられ、もう訳が分からなくなる。甘い声が溢れ、愛しさで一杯になり、今まで誰にも見せた覚えのないオレになる。
「だめじゃない、だめじゃない、きもちいいから、もっとお……♡ 奥、すき、奥……いい」
 しがみつきながら最早理性が消えていく。かりかりと項や背中を引っ掻き、やがて白濁がびゅるるるっと散れば、はくはくと口を開け閉じし。キスを強請った。
 透夜も達する、もう終わりか勿体ない感覚だと感じていれば、透夜はそのまま二戦目を始める。腰がぐいぐいと、ぱんぱんと重なり。
「も、だめ、はずかし、イっちゃうう、イくの止まらなくなるからあ!」
 と告げれば、そのまま透夜は盛り上がり、「すげーエロい眺め」とぱんぱんと打ち付けてきて、意識がぐずぐずしてる間に達してしまいずっとふわふわしていく。
 ぽやんとしてる間に腹に熱いものが通り、お腹を撫でると腹を撫でた手を透夜は舐めた。
「すげえ可愛くネコるじゃん、薫」
「……お前、お前、ネコじゃなかったんだな……」
「オレ? オレ、リバだけどタチだよどっちかっつうと」
 オレはとんでもない相手を食べてしまっていたのだな、と想わず笑い。初めてスイッチを入れても嫌わない相手に巡り会えた。

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