美術部days

決意

帰りのホームルームが終わったところで、
「おい、藤堂。」
と、隣の席の稲城が話しかけてきた。
「なに？」
「お前って、何部だっけ？」
「美術部だよ。」
「は？美術部？マジかよ。地味じゃね？」
･････････。
みんなこういうことを言うんだ。
「うるさいっ。絵を描くの楽しいんだよ！？」
「んー、俺にはわかんね。」
笑いながら稲城はそういった。
悪気はないのかもしれない。
それでも嫌だ。
モヤモヤした気持ちを抱えながら部活に行く。
部室の扉を開けた瞬間、いつも私より早く来ている英那に飛び付く。
「英那ぁぁぁ～。またバカにされたよぉぉぉ」
「うーん･･･。みんなには分かってもらえないのよねぇー、絵を描く楽しさを。」
英那は苦笑しながら悲しそうに言う。
英那は私と同じ二年生の美術部員。
どこか大人っぽくて、誰にでも優しい私の大親友だ。
「ほんとに嫌だ。絵を描くのって、すっごく楽しいのに。バカにするなんて許せない。なんでみんな分かってくれないの？」
英那は私のモヤモヤを優しく頷きながら聞いてくれる。
「そうだね。美亜樹は絵を描くのが本当に好きなんだね。」
「当たり前じゃん。英那も好きでしょ？」
「うん、大好き。」
「ね、英那。」
「ん、なに？」
「私、絶対にみんなを見返してやる！美術部に入らなかったことを後悔するくらいに！！！」