65 / 70
第五章 これまでの決着をつけます
エピローグ
しおりを挟む
あれから三年の月日が経った。その間も様々なことがあった。
あの騒動後、シグルド、クーシェ、ラディ先輩が卒業を迎え、シグルドは間もなくルヴィカと結婚した。私に対する二人の忠誠心の篤さは相変わらずだ。
シグルドには次期近衛騎士団長の話が打診された。当初、本人は「自分はあくまでユフィリア様の専属護衛としての立場でありたい」と言って辞退したのだけど、エドガー様より「エルフィン殿下の側近でもあるのだから、私の跡に役目を継ぎなさい」と説得され、渋々承諾した。幼馴染みである以前にエルフィンは次期国王だ。彼を守ることがひいては私を守ることになる、とも言われたとか。それで了承するあたり、シグルドらしかった。
ルヴィカは正式に私の侍女として抜擢され、王城における身の回りの世話を一任されるように日々努力を重ねている。
クーシェ──クレイシェスは、卒業後精霊界へと戻った。かつて着いていた転生の管理を再び任されるようになったとか。ミラも一緒だ。精霊には結婚というものは無いから、二柱でのんびりと過ごすのだろう。マクスウェルやフォルティガも自分達の役目に戻り、忙しくしているようだ。みんな暇を見つけては会いにくるので、界を隔ててもそこまで寂しさは感じない。
デュオことセルデュオレクトは、シグルド同様、ラディ先輩の卒業を待って結婚した。前世の彼──琉生だった頃は生涯独身を通したと言っていたから、今世では身を落ち着けてくれたようで何よりだった。
ラディ先輩──ラディは、次期クレイシス侯爵夫人として、現夫人から貴族としての礼儀作法などを学んでいくのだとか。苦労も多いだろうけど、その分幸せな家庭を築いていけるでしょう。彼女の両親も、式では涙を流して喜んでいた。
ヴァイス様もデュオに早めに魔術師団長の役職を譲ろうとしているようだ。単に楽隠居したいだけでは?というデュオの意見はスルーされているとか。とっとと跡を継がせたいヴァイス様と、まだ父親に現役で頑張って欲しいと跡を継ぐのを先伸ばしにしたいデュオとの攻防はしばらく続きそうだ。
ルティウスは学院卒業後、同じく卒業後に母国パルヴァンへ帰国するクルシェット殿下に合わせてパルヴァンに一年程留学しに行った。護衛としてソールとシルディオ兄様が同行した。経験を積んでエルフィンを支えられるようになって、私の不安を減らしたいとのこと。あの騒動を経て、あの子も何か思うところがあったのでしょう………でもシスコンは相変わらずなのよね。
留学から帰ってきたルティウスの側には何故だかリュミィさんの姿が。あれ?どうして隣に彼女が?そう思ったのは私だけではなかったらしく、エルフィンが尋ねていた。そうしたら、驚愕の事実が判明したわ。
話によると、二人は恋人同士になったのだとか。……………え!?いつの間に!?何がどうなってそうなったの!?というか、留学中に何があったの!?
「姉上たちの挙式を待って、結婚しようと思います」そう語った時の満面の笑みだったルティウスに対し、リュミィさんがぐったりしていたのが凄い気になった。決して嫌だからではなく、たんなる疲れからだそうだけど………本当に何があったの、二人とも。
ちなみにクルシェット殿下は両国の友好の証として、ルティウスらとは別口でストランディスタ王国から留学していた貴族令嬢と婚約した。政略結婚であり、恋愛結婚でもあるので、不都合はないとか。
私とエルフィンは、学院卒業から二年後、婚姻の儀を経て結婚式を挙げることとなった。何故卒業後すぐではなかったのかというと、前述したルティウスの留学も関係している。やっぱり、晴れの舞台はみんなに祝福して欲しい。私たち二人の意見が一致したのと、招待客の選別やら、式場の設営内容とやら、国民への布告やら。まあ、次期国王である現王太子の結婚なのだから、「結婚します」で済むはずはない。周辺各国への通知もあるし、婚姻への準備が短時間で終わるはずもなく、あれこれやっている内にそれだけの時間が経ったともいう。
そして────────────────────
「ユフィ、準備はいいか」
「はい、エルフィン」
控え室に迎えにやって来たエルフィンと連れ立ち、式を行う教会の礼拝堂へ向かう。礼服に身を包んだエルフィンは凛々しさが際立ち、私は今日この人と結婚するんだ──これからもこの人と歩んで行くんだ、そんな喜びが溢れ、幸せな気持ちに満たされていた。
エルフィンもエルフィンで、私のウェディングドレス姿を見た瞬間、硬直していた。そのすぐあとに口元を手で隠し、顔を逸らせ、「くそ………っ、可愛すぎる………!!夜までが長い………っ!」と呟いていた。最後の台詞に身の危険を感じたけど、結婚するということは、まぁ……そういうことをするわけで。…………………………私、明日大丈夫かしら。
式はつつがなく進んだ。互いに誓いの言葉を交わし、指輪の交換を行う。その指輪は互いが込めた守りの術が刻まれている。
「ユフィ………この世界で何よりもお前を愛している。私とこの先も共に歩んでくれるか?」
「貴方に出会えたからこそ、今私はここにいることができました。私も貴方を──エルフィンを愛しています。何があっても、貴方と共にあることが私の一番の望みです」
「ああ………もう決して手離さないから、覚悟しろよ……?」
「はい………!」
そして私たちは誓いの口づけを交わした。それは今までしてきた口付けの何倍も甘く感じた。
その後、王都へ凱旋パレードを行った。国民からも祝福の嵐だったことが何よりも嬉しかった。ここに住む人々をエルフィンやみんなと共に守っていくんだ、そう改めて心に刻んだ日だった。
夜は……………これまで耐えに耐えていたらしいエルフィンのたがが外れました、とだけ言っておきます。………うん。次の日一日起き上がれなかったわ………。エルフィンがしきりに謝っていたけど、彼自身は疲れの色の欠片も無かったのがなんだか悔しかった。もしかして竜の血筋ってぜ────ううん、考えるのはやめよう。
その後は王太子妃としての公務の傍ら、精霊としての責務も果たしている。そして、公務が休みの日は夫婦水入らずで過ごしている。
ただ、その内子供が出来そうな気はする。何でかは聞かないで欲しい。
※※※※※※※※※※
五歳で前世の記憶を取り戻してから十年余り。最初は攻略対象のみんなが幸せになってくれればいいと、悪役令嬢として断罪されようと思って行動してきた。
単純に“乙女ゲーム”の世界だと思っていた考えは間違っていると気付いた。みんなちゃんと自分の意思を持っていて、当たり前に生きているんだと分かった。
私は断罪されるべき人間なのに、と思いながらも私を気遣い守ろうとしてくれるみんなに嬉しさと同時に申し訳なさがあった。
エルフィンも、私とじゃなくてヒロインと結ばれて欲しいと思っていたのが、だんだんそう思うたびに胸が痛むことに気づかない振りをしていた。
まさかエルフィンたちが私が立てた破滅フラグのための嫌がらせを全て叩きおろうと全力投球してくるとは思いもしなかった。
前世は異世界の日本人だと思っていたのが、実は精霊で、疲弊した魂を癒すために異世界へ転生していたんだという事実が判明して驚いた。
“乙女ゲーム”のヒロインだと思っていたウィアナが、性格が壊滅的で、ゲーム通りにするわけにはいかないと思うようになった。その中で彼女が前世では私を冷遇して死に追いやった望結だと気付いてからは、なおのことだった。
魔王として転生したケルニオとの交戦の最中、エルフィンへの恋心を自覚した。エルフィンの方はずっと私だけを想っていてくれたことに驚いたのと同時に、嬉しさが込み上げた。
それからケルニオに連れ去られるも、エルフィンやそれまで陰ながら手助けをしてくれていたリュミィさん、クルシェット殿下の助力もあって、すぐに助け出された。
ウィアナへの断罪を経て、ケルニオからエルフィンに決闘が申し込まれた。その最中、魔王側の事情も明らかになり、実はウィアナの実母・マリーナさんは、死後に卑劣にも侯爵位の男に辱しめられていたと判明した。
その人間も罰せられ、ケルニオたちも罪に処せられた。
転生した彼らが今度こそ穏やかにに生きてくれることを願った。
それからエルフィンと結婚し、王族としての日常を送るようになった。もちろん、楽しいことばかりではなく、時には辛い決断を迫られることもあるだろう。でも、私たちは共に力を合わせて乗り越えていけると信じている。
いろいろあったこれまでの人生は辛いこともあったけど、みんなとの強い絆と共に乗り越えてきた日々は私の何よりの宝物だ。
たとえ精霊界に戻る日が来るのだとしても、私はこの幸せに満ちた日々を忘れないだろう。
だからこの幸せが出来るだけ永く、そしてこの世界に生きる人々にも同じように幸せな日々が訪れることを願います。
悪役令嬢として生まれたと知った日から断罪される時がいつか来ると思っていたけど、王太子殿下にリカバリーされて私は今、幸せに暮らしています!
あの騒動後、シグルド、クーシェ、ラディ先輩が卒業を迎え、シグルドは間もなくルヴィカと結婚した。私に対する二人の忠誠心の篤さは相変わらずだ。
シグルドには次期近衛騎士団長の話が打診された。当初、本人は「自分はあくまでユフィリア様の専属護衛としての立場でありたい」と言って辞退したのだけど、エドガー様より「エルフィン殿下の側近でもあるのだから、私の跡に役目を継ぎなさい」と説得され、渋々承諾した。幼馴染みである以前にエルフィンは次期国王だ。彼を守ることがひいては私を守ることになる、とも言われたとか。それで了承するあたり、シグルドらしかった。
ルヴィカは正式に私の侍女として抜擢され、王城における身の回りの世話を一任されるように日々努力を重ねている。
クーシェ──クレイシェスは、卒業後精霊界へと戻った。かつて着いていた転生の管理を再び任されるようになったとか。ミラも一緒だ。精霊には結婚というものは無いから、二柱でのんびりと過ごすのだろう。マクスウェルやフォルティガも自分達の役目に戻り、忙しくしているようだ。みんな暇を見つけては会いにくるので、界を隔ててもそこまで寂しさは感じない。
デュオことセルデュオレクトは、シグルド同様、ラディ先輩の卒業を待って結婚した。前世の彼──琉生だった頃は生涯独身を通したと言っていたから、今世では身を落ち着けてくれたようで何よりだった。
ラディ先輩──ラディは、次期クレイシス侯爵夫人として、現夫人から貴族としての礼儀作法などを学んでいくのだとか。苦労も多いだろうけど、その分幸せな家庭を築いていけるでしょう。彼女の両親も、式では涙を流して喜んでいた。
ヴァイス様もデュオに早めに魔術師団長の役職を譲ろうとしているようだ。単に楽隠居したいだけでは?というデュオの意見はスルーされているとか。とっとと跡を継がせたいヴァイス様と、まだ父親に現役で頑張って欲しいと跡を継ぐのを先伸ばしにしたいデュオとの攻防はしばらく続きそうだ。
ルティウスは学院卒業後、同じく卒業後に母国パルヴァンへ帰国するクルシェット殿下に合わせてパルヴァンに一年程留学しに行った。護衛としてソールとシルディオ兄様が同行した。経験を積んでエルフィンを支えられるようになって、私の不安を減らしたいとのこと。あの騒動を経て、あの子も何か思うところがあったのでしょう………でもシスコンは相変わらずなのよね。
留学から帰ってきたルティウスの側には何故だかリュミィさんの姿が。あれ?どうして隣に彼女が?そう思ったのは私だけではなかったらしく、エルフィンが尋ねていた。そうしたら、驚愕の事実が判明したわ。
話によると、二人は恋人同士になったのだとか。……………え!?いつの間に!?何がどうなってそうなったの!?というか、留学中に何があったの!?
「姉上たちの挙式を待って、結婚しようと思います」そう語った時の満面の笑みだったルティウスに対し、リュミィさんがぐったりしていたのが凄い気になった。決して嫌だからではなく、たんなる疲れからだそうだけど………本当に何があったの、二人とも。
ちなみにクルシェット殿下は両国の友好の証として、ルティウスらとは別口でストランディスタ王国から留学していた貴族令嬢と婚約した。政略結婚であり、恋愛結婚でもあるので、不都合はないとか。
私とエルフィンは、学院卒業から二年後、婚姻の儀を経て結婚式を挙げることとなった。何故卒業後すぐではなかったのかというと、前述したルティウスの留学も関係している。やっぱり、晴れの舞台はみんなに祝福して欲しい。私たち二人の意見が一致したのと、招待客の選別やら、式場の設営内容とやら、国民への布告やら。まあ、次期国王である現王太子の結婚なのだから、「結婚します」で済むはずはない。周辺各国への通知もあるし、婚姻への準備が短時間で終わるはずもなく、あれこれやっている内にそれだけの時間が経ったともいう。
そして────────────────────
「ユフィ、準備はいいか」
「はい、エルフィン」
控え室に迎えにやって来たエルフィンと連れ立ち、式を行う教会の礼拝堂へ向かう。礼服に身を包んだエルフィンは凛々しさが際立ち、私は今日この人と結婚するんだ──これからもこの人と歩んで行くんだ、そんな喜びが溢れ、幸せな気持ちに満たされていた。
エルフィンもエルフィンで、私のウェディングドレス姿を見た瞬間、硬直していた。そのすぐあとに口元を手で隠し、顔を逸らせ、「くそ………っ、可愛すぎる………!!夜までが長い………っ!」と呟いていた。最後の台詞に身の危険を感じたけど、結婚するということは、まぁ……そういうことをするわけで。…………………………私、明日大丈夫かしら。
式はつつがなく進んだ。互いに誓いの言葉を交わし、指輪の交換を行う。その指輪は互いが込めた守りの術が刻まれている。
「ユフィ………この世界で何よりもお前を愛している。私とこの先も共に歩んでくれるか?」
「貴方に出会えたからこそ、今私はここにいることができました。私も貴方を──エルフィンを愛しています。何があっても、貴方と共にあることが私の一番の望みです」
「ああ………もう決して手離さないから、覚悟しろよ……?」
「はい………!」
そして私たちは誓いの口づけを交わした。それは今までしてきた口付けの何倍も甘く感じた。
その後、王都へ凱旋パレードを行った。国民からも祝福の嵐だったことが何よりも嬉しかった。ここに住む人々をエルフィンやみんなと共に守っていくんだ、そう改めて心に刻んだ日だった。
夜は……………これまで耐えに耐えていたらしいエルフィンのたがが外れました、とだけ言っておきます。………うん。次の日一日起き上がれなかったわ………。エルフィンがしきりに謝っていたけど、彼自身は疲れの色の欠片も無かったのがなんだか悔しかった。もしかして竜の血筋ってぜ────ううん、考えるのはやめよう。
その後は王太子妃としての公務の傍ら、精霊としての責務も果たしている。そして、公務が休みの日は夫婦水入らずで過ごしている。
ただ、その内子供が出来そうな気はする。何でかは聞かないで欲しい。
※※※※※※※※※※
五歳で前世の記憶を取り戻してから十年余り。最初は攻略対象のみんなが幸せになってくれればいいと、悪役令嬢として断罪されようと思って行動してきた。
単純に“乙女ゲーム”の世界だと思っていた考えは間違っていると気付いた。みんなちゃんと自分の意思を持っていて、当たり前に生きているんだと分かった。
私は断罪されるべき人間なのに、と思いながらも私を気遣い守ろうとしてくれるみんなに嬉しさと同時に申し訳なさがあった。
エルフィンも、私とじゃなくてヒロインと結ばれて欲しいと思っていたのが、だんだんそう思うたびに胸が痛むことに気づかない振りをしていた。
まさかエルフィンたちが私が立てた破滅フラグのための嫌がらせを全て叩きおろうと全力投球してくるとは思いもしなかった。
前世は異世界の日本人だと思っていたのが、実は精霊で、疲弊した魂を癒すために異世界へ転生していたんだという事実が判明して驚いた。
“乙女ゲーム”のヒロインだと思っていたウィアナが、性格が壊滅的で、ゲーム通りにするわけにはいかないと思うようになった。その中で彼女が前世では私を冷遇して死に追いやった望結だと気付いてからは、なおのことだった。
魔王として転生したケルニオとの交戦の最中、エルフィンへの恋心を自覚した。エルフィンの方はずっと私だけを想っていてくれたことに驚いたのと同時に、嬉しさが込み上げた。
それからケルニオに連れ去られるも、エルフィンやそれまで陰ながら手助けをしてくれていたリュミィさん、クルシェット殿下の助力もあって、すぐに助け出された。
ウィアナへの断罪を経て、ケルニオからエルフィンに決闘が申し込まれた。その最中、魔王側の事情も明らかになり、実はウィアナの実母・マリーナさんは、死後に卑劣にも侯爵位の男に辱しめられていたと判明した。
その人間も罰せられ、ケルニオたちも罪に処せられた。
転生した彼らが今度こそ穏やかにに生きてくれることを願った。
それからエルフィンと結婚し、王族としての日常を送るようになった。もちろん、楽しいことばかりではなく、時には辛い決断を迫られることもあるだろう。でも、私たちは共に力を合わせて乗り越えていけると信じている。
いろいろあったこれまでの人生は辛いこともあったけど、みんなとの強い絆と共に乗り越えてきた日々は私の何よりの宝物だ。
たとえ精霊界に戻る日が来るのだとしても、私はこの幸せに満ちた日々を忘れないだろう。
だからこの幸せが出来るだけ永く、そしてこの世界に生きる人々にも同じように幸せな日々が訪れることを願います。
悪役令嬢として生まれたと知った日から断罪される時がいつか来ると思っていたけど、王太子殿下にリカバリーされて私は今、幸せに暮らしています!
1
お気に入りに追加
8,152
あなたにおすすめの小説
残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.
福留しゅん
恋愛
ヒロインに婚約者の王太子の心を奪われて嫉妬のあまりにいじめという名の悪意を振り撒きまくった公爵令嬢は突然ここが乙女ゲー『どきエデ』の世界だと思い出す。既にヒロインは全攻略対象者を虜にした逆ハーレムルート突入中で大団円まであと少し。婚約破棄まで残り二十四時間、『どきエデ』だったらとっくに詰みの状態じゃないですかやだも~! だったら残り一日で全部の破滅フラグへし折って逃げ切ってやる! あわよくば脳内ピンク色のヒロインと王太子に最大級のざまぁを……!
※Season 1,2:書籍版のみ公開中、Interlude 1:完結済(Season 1読了が前提)
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
木山楽斗
恋愛
私は、恋愛シミュレーションゲーム『Magical stories』の悪役令嬢アルフィアに生まれ変わった。
彼女は、派手好きで高慢な公爵令嬢である。その性格故に、ゲームの主人公を虐めて、最終的には罪を暴かれ罰を受けるのが、彼女という人間だ。
当然のことながら、私はそんな悲惨な末路を迎えたくはない。
私は、ゲームの中でアルフィアが取った行動を取らなければ、そういう末路を迎えないのではないかと考えた。
だが、それを実行するには一つ問題がある。それは、私が『Magical stories』の一つのルートしかプレイしていないということだ。
そのため、アルフィアがどういう行動を取って、罰を受けることになるのか、完全に理解している訳ではなかった。プレイしていたルートはわかるが、それ以外はよくわからない。それが、私の今の状態だったのだ。
だが、ただ一つわかっていることはあった。それは、アルフィアの性格だ。
彼女は、派手好きで高慢な公爵令嬢である。それならば、彼女のような性格にならなければいいのではないだろうか。
そう考えた私は、地味に謙虚に生きていくことにした。そうすることで、悲惨な末路が避けられると思ったからだ。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 4巻発売中☆ コミカライズ連載中、2024/08/23よりコミックシーモアにて先行販売開始】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロが苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
ここは乙女ゲームの世界でわたくしは悪役令嬢。卒業式で断罪される予定だけど……何故わたくしがヒロインを待たなきゃいけないの?
ラララキヲ
恋愛
乙女ゲームを始めたヒロイン。その悪役令嬢の立場のわたくし。
学園に入学してからの3年間、ヒロインとわたくしの婚約者の第一王子は愛を育んで卒業式の日にわたくしを断罪する。
でも、ねぇ……?
何故それをわたくしが待たなきゃいけないの?
※細かい描写は一切無いけど一応『R15』指定に。
◇テンプレ乙女ゲームモノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。