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第五章 これまでの決着をつけます
闇の中で
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「…………はぁっ………、…………ぁあ………!………っは…………ぁうっ!」
あれから何日経っただろう。学院からここに連れ去られてきてから時間の間隔が分からなくなっている。少なくとも、二・三日ではきかないだろう。周囲を見渡そうにも、闇の中にいるみたいに──ううん、実際に闇の空間に囚われているのでしょう──全く見えない。身体を蝕むものに呑まれないように意識を集中しているために、見回す余裕なんてないから、というのもある。
精々分かるのは、天蓋付きの豪華そうなベッドに横たえられている、ということだけ。
「ぁ″っ…………!…………ぁ…………ふぅ………!……ぅく………………っ!」
私は今、身体の中で蠢く“負の魔力”に必死で抵抗している。一瞬でも気を抜けば、呑まれてしまいそうになる。何せ、ウィアナさんをはじめとする人々のあらゆる負の感情を取り込んで成長した“魔石”を体内に埋め込まれているからだ。
せめて、エルフィンが助けに来てくれるまでは何としても耐えなければ。あの人なら必ず来てくれる───そう思うことで何とか自分を叱咤してきた。
でも、それもいつまで保つか……………。そうでなくても───
「まだ抗うか………受け入れてしまえば、楽になれるものを」
来た。あの男だ。“誰か”なんて確かめるまでもない。魔王・ケルニオ。彼はこうして定期的に私の様子を見に来る。
「は…………だ、……れが………っ……あなた………っん………なん………か…………に………っ!」
何とか意識を掻き集めて私はケルニオに反抗した。
「ふん………未だ反抗的だな………?我が花嫁は………」
誰が花嫁ですか………っ!!そう言ってやりたかったけど、その言葉を口にすることは叶わなかった。その代わり、視線だけはありったけの拒絶を込めた。
「──そうか、まだ足りなかったか……」
ケルニオはそう呟くと、私が横たわるベッドの縁に座り、上半身を抱き起こしてくる。
抱き起こした後、抱きしめるように抱え込まれた。彼の口元が開き、鋭い犬歯を覗かせる。─────ッ!!またあれをされる………!
もちろん全力で暴れたのだけど、消耗した身体ではろくな抵抗も出来ず、既に乱れているドレスの襟元をはだけられ、首筋にその牙を突き立てられた───
「いや…………!!ゃ…………~~~っ!!……ひっ………ぁぁぁあぁあ────ッ!!!」
痛みはなかった。彼の牙を突き立てられ、“負の魔力”を注ぎ込まれる。どれだけ心で否定しようとも、身体は拒絶出来なくて。これは紛れもなく“快感”だ。その私にとっては毒としか言いようがない快楽に、私は耐えきれずに絶叫した。
「ぁ………ぁあ…………………は…………───ふぁっ!?ひぁぁあぁぁーーーッ!!」
過ぎ去ったかと思ったその行為をまだ終わらせるつもりはなかったようで、さらに“負の魔力”を注がれ、私はまた絶叫した。
この行為を初まった時、ケルニオは自分の伴侶として受け入れられるようにするための儀式だと言っていた。全ての意味は分からなかったけれど、私を自分と同じ存在に作り替えようとしているのだけは分かった。身体だけではなく、心も。
「んっ───ふぅ…………今日はこんなところか」
「ぁんっ…………は………ぅ……………」
ずちゅっという音とともに、ケルニオの牙が私の首筋から引き抜かれた。それさえも反応してしまい、私は唇を噛んだ。身体から完全に力が抜けていた私は、自身を支えきれず、不本意ながらケルニオの肩に寄りかかった──自重で倒れ込んだともいう。それを見てケルニオは、唇に滴る私の血を手で拭いながら、拭ったそれを見せ付けるように舐める。その仕草にぞくっとした。
「ふ……………、また明日来る。早く堕ちてこい、ラピスフィア───」
そう言いながら、ケルニオは私を大事そうにベッドへ横たえた。最後に私の髪を一房とり、口付けると、闇の中に消えていった。
ケルニオがいなくなったことで、弛んだ心をまた“負の魔力”が蝕み始める。一瞬意識が呑まれそうになり、歯を食い縛り何とか耐えた。
だめ。あいつのところまで堕ちたら駄目………!
ここで負けてしまったら、私のため──これは決して思い込みなんかじゃないと断言できる──に決断しただろう彼らの覚悟が無駄になる………!!
私の共鳴者となり、始祖竜として完全覚醒することを選んだエルフィン。
元より相容れない関係だったとはいえ、実の親と決別し、王族になることを受け入れたルティウス。
護衛騎士として生涯を懸けることと、“制約”を用いてまで絶対の忠誠を誓ってくれたシグルド。
私の幸せを願い、最高位の魔術師を目指して血の滲むような努力を重ねてきたデュオことセルデュオレクト。
かつての大戦の際に実体を維持出来ず消滅した私をマクスウェルの名を継いだスフィアラとともに見守り、支え続けてくれたクーシェことクレイシェス。
その他にも、フェルヴィティール公爵家の家族、ソールやルヴィカ、王家の皆様、私を信じ、悪い噂を否定してくれた学院のみんな。
今世の私には帰るべき家がある。
かけがえのない家族がたくさんの愛情とともに慈しんでくれる。
一生側で寄り添いたい最愛の人がいる。
切磋琢磨しながら苦楽を共にした友人たちが待ってくれている。
そうだよ。魔石に負けそうになってる場合じゃない───!!
『───なんだ、分かってるんじゃないですか』
不意にそんな“声”が頭に響いた。
あれ?とうとう幻聴に苛まれるようになったのかな。
『幻聴ではありませんよ、囚われのお姫様──いえ、副会長?』
「(っ!?その声は………!)」
間違いない。この現象──私の“心”に呼び掛けているのは、リュミィさん──!
『思いの外、しっかりと自我を保たれておられるようで、安心しました』
「(えっ?えっ!?ど、どうやって───!?)」
こんなに動揺しているのに、“魔石”による侵食がないことに更に動揺した。
まさか………リュミィさん、外部から侵食を止めているの───!?
その私の思考を読んだらしく、微かに笑う気配がした。
『ご明察通りです。私、故郷では少々特殊な存在でしてね。パルヴァンの国家機密扱いされていますから、この場で明かす訳には参りませんが。知っているのも主を含めた王家の方々ぐらいなものです。そのこと以外はごくごく平凡な騎士に過ぎませんので』
いやいや、そこまで言ってる時点で自分から規格外って暴露してるようなものだよ、リュミィさん!!というか、少々とか、平凡って強調したのは貴女の願望なだけだよね!?
あと“パルヴァンの騎士”って言った!もしかして、妙に印象に残らなかったのって、意図的だったの!?
『……うん、さすがあの完璧王太子殿下の番──違った、伴侶に選ばれた方ですね』
「(─────っ!!)」
その渾名で分かる、エルフィンのことだ。エルフィン。会いたいよ。貴方の側に帰りたい………
『ご安心を、ユフィリア様。こうして回路を繋げることが出来ましたので、貴女の想い人は間もなく駆け付けます。どうか、それまでご辛抱を』
どうやって来るのかとか、私が囚われている場所をどうやって特定したのとか、そもそも、回路って何?という疑問そっちのけで、私はもうすぐエルフィンに会える喜びで満たされていた。先程まで、ケルニオによって注がれた“負の魔力”や、体内に埋め込まれた“魔石”の存在を忘れるくらいには。
あれから何日経っただろう。学院からここに連れ去られてきてから時間の間隔が分からなくなっている。少なくとも、二・三日ではきかないだろう。周囲を見渡そうにも、闇の中にいるみたいに──ううん、実際に闇の空間に囚われているのでしょう──全く見えない。身体を蝕むものに呑まれないように意識を集中しているために、見回す余裕なんてないから、というのもある。
精々分かるのは、天蓋付きの豪華そうなベッドに横たえられている、ということだけ。
「ぁ″っ…………!…………ぁ…………ふぅ………!……ぅく………………っ!」
私は今、身体の中で蠢く“負の魔力”に必死で抵抗している。一瞬でも気を抜けば、呑まれてしまいそうになる。何せ、ウィアナさんをはじめとする人々のあらゆる負の感情を取り込んで成長した“魔石”を体内に埋め込まれているからだ。
せめて、エルフィンが助けに来てくれるまでは何としても耐えなければ。あの人なら必ず来てくれる───そう思うことで何とか自分を叱咤してきた。
でも、それもいつまで保つか……………。そうでなくても───
「まだ抗うか………受け入れてしまえば、楽になれるものを」
来た。あの男だ。“誰か”なんて確かめるまでもない。魔王・ケルニオ。彼はこうして定期的に私の様子を見に来る。
「は…………だ、……れが………っ……あなた………っん………なん………か…………に………っ!」
何とか意識を掻き集めて私はケルニオに反抗した。
「ふん………未だ反抗的だな………?我が花嫁は………」
誰が花嫁ですか………っ!!そう言ってやりたかったけど、その言葉を口にすることは叶わなかった。その代わり、視線だけはありったけの拒絶を込めた。
「──そうか、まだ足りなかったか……」
ケルニオはそう呟くと、私が横たわるベッドの縁に座り、上半身を抱き起こしてくる。
抱き起こした後、抱きしめるように抱え込まれた。彼の口元が開き、鋭い犬歯を覗かせる。─────ッ!!またあれをされる………!
もちろん全力で暴れたのだけど、消耗した身体ではろくな抵抗も出来ず、既に乱れているドレスの襟元をはだけられ、首筋にその牙を突き立てられた───
「いや…………!!ゃ…………~~~っ!!……ひっ………ぁぁぁあぁあ────ッ!!!」
痛みはなかった。彼の牙を突き立てられ、“負の魔力”を注ぎ込まれる。どれだけ心で否定しようとも、身体は拒絶出来なくて。これは紛れもなく“快感”だ。その私にとっては毒としか言いようがない快楽に、私は耐えきれずに絶叫した。
「ぁ………ぁあ…………………は…………───ふぁっ!?ひぁぁあぁぁーーーッ!!」
過ぎ去ったかと思ったその行為をまだ終わらせるつもりはなかったようで、さらに“負の魔力”を注がれ、私はまた絶叫した。
この行為を初まった時、ケルニオは自分の伴侶として受け入れられるようにするための儀式だと言っていた。全ての意味は分からなかったけれど、私を自分と同じ存在に作り替えようとしているのだけは分かった。身体だけではなく、心も。
「んっ───ふぅ…………今日はこんなところか」
「ぁんっ…………は………ぅ……………」
ずちゅっという音とともに、ケルニオの牙が私の首筋から引き抜かれた。それさえも反応してしまい、私は唇を噛んだ。身体から完全に力が抜けていた私は、自身を支えきれず、不本意ながらケルニオの肩に寄りかかった──自重で倒れ込んだともいう。それを見てケルニオは、唇に滴る私の血を手で拭いながら、拭ったそれを見せ付けるように舐める。その仕草にぞくっとした。
「ふ……………、また明日来る。早く堕ちてこい、ラピスフィア───」
そう言いながら、ケルニオは私を大事そうにベッドへ横たえた。最後に私の髪を一房とり、口付けると、闇の中に消えていった。
ケルニオがいなくなったことで、弛んだ心をまた“負の魔力”が蝕み始める。一瞬意識が呑まれそうになり、歯を食い縛り何とか耐えた。
だめ。あいつのところまで堕ちたら駄目………!
ここで負けてしまったら、私のため──これは決して思い込みなんかじゃないと断言できる──に決断しただろう彼らの覚悟が無駄になる………!!
私の共鳴者となり、始祖竜として完全覚醒することを選んだエルフィン。
元より相容れない関係だったとはいえ、実の親と決別し、王族になることを受け入れたルティウス。
護衛騎士として生涯を懸けることと、“制約”を用いてまで絶対の忠誠を誓ってくれたシグルド。
私の幸せを願い、最高位の魔術師を目指して血の滲むような努力を重ねてきたデュオことセルデュオレクト。
かつての大戦の際に実体を維持出来ず消滅した私をマクスウェルの名を継いだスフィアラとともに見守り、支え続けてくれたクーシェことクレイシェス。
その他にも、フェルヴィティール公爵家の家族、ソールやルヴィカ、王家の皆様、私を信じ、悪い噂を否定してくれた学院のみんな。
今世の私には帰るべき家がある。
かけがえのない家族がたくさんの愛情とともに慈しんでくれる。
一生側で寄り添いたい最愛の人がいる。
切磋琢磨しながら苦楽を共にした友人たちが待ってくれている。
そうだよ。魔石に負けそうになってる場合じゃない───!!
『───なんだ、分かってるんじゃないですか』
不意にそんな“声”が頭に響いた。
あれ?とうとう幻聴に苛まれるようになったのかな。
『幻聴ではありませんよ、囚われのお姫様──いえ、副会長?』
「(っ!?その声は………!)」
間違いない。この現象──私の“心”に呼び掛けているのは、リュミィさん──!
『思いの外、しっかりと自我を保たれておられるようで、安心しました』
「(えっ?えっ!?ど、どうやって───!?)」
こんなに動揺しているのに、“魔石”による侵食がないことに更に動揺した。
まさか………リュミィさん、外部から侵食を止めているの───!?
その私の思考を読んだらしく、微かに笑う気配がした。
『ご明察通りです。私、故郷では少々特殊な存在でしてね。パルヴァンの国家機密扱いされていますから、この場で明かす訳には参りませんが。知っているのも主を含めた王家の方々ぐらいなものです。そのこと以外はごくごく平凡な騎士に過ぎませんので』
いやいや、そこまで言ってる時点で自分から規格外って暴露してるようなものだよ、リュミィさん!!というか、少々とか、平凡って強調したのは貴女の願望なだけだよね!?
あと“パルヴァンの騎士”って言った!もしかして、妙に印象に残らなかったのって、意図的だったの!?
『……うん、さすがあの完璧王太子殿下の番──違った、伴侶に選ばれた方ですね』
「(─────っ!!)」
その渾名で分かる、エルフィンのことだ。エルフィン。会いたいよ。貴方の側に帰りたい………
『ご安心を、ユフィリア様。こうして回路を繋げることが出来ましたので、貴女の想い人は間もなく駆け付けます。どうか、それまでご辛抱を』
どうやって来るのかとか、私が囚われている場所をどうやって特定したのとか、そもそも、回路って何?という疑問そっちのけで、私はもうすぐエルフィンに会える喜びで満たされていた。先程まで、ケルニオによって注がれた“負の魔力”や、体内に埋め込まれた“魔石”の存在を忘れるくらいには。
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