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第四章 長期休暇中もやることは一杯です
夜会で一波乱ありました
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フェルヴィティール公爵家のみんなと本当の意味で家族だったと知って嬉しいやら、最初から分かっていたらしい可愛がってくれている王妃様へ居たたまれないものがあるやら。
道理でエルフィンとの婚約、何の障害もなくすんなり調ったわけですね。
エルフィンも、『何でも自分で出来ているつもりでも、以外と守られているものだな?』と何とも言えない表情をしていた。
ルティウスの養子縁組の件も、そういった経緯から迅速に動いたからこそ、だったようだしね。
そんなこんなで、お父様の当主就任の祝賀会(要するに夜会)当日になった。
祝賀会事態はつつがなく進んだ。
やっぱりというか、ウィアナさん、この夜会にも来ていた。……………警備をしていた騎士団の騎士によって門前払いされたようだ。
ようだ、というのは私たちはその現場を見ていないからなのよね。
エルフィンが、『もしかしたら不審者が現れるかもしれない。招待状を持っていない者は如何なる立場の者であろうとも、決して入れるな』と厳命したのが効を奏したみたい。
そして、いつもの如く『あたしは特別な存在なの!!ラピスフィアなのよ!?こんな扱いしていいと思ってんの!?』と喚いていたそう。服装が正装じゃなかった上、招待状もないんじゃ入れてもらえる訳もないんだけど。
……………ここまでゲームと違うのに、何故現実を受け入れないのだろうか。
するとデュオが吐き捨てるように、『アレに何を言っても無駄だと思います。自分に都合のいいことしか信じませんから』と言った。『デュオ、転生する前の彼女のこと、知ってるの?』そう聞いたら、デュオはエルフィンにちら、と視線を送り──エルフィンは、仕方ない、という風に頷いた──顔を歪めながら、話してくれた。
彼女──ウィアナさんは、前世の異母姉・望結だと。
それを聞いた途端、何故だか目の前が真っ暗になってよろめいた。そこをエルフィンが受け止めてくれた。『大丈夫だ。私がいる』そう言って抱き締めてくれたことで、私は何とか落ち着いた。
何で?何で彼女がウィアナさんなの?
私が一番に思い浮かべたのは、そんな言葉だった。
お世辞にも性格がいいとは言えなかったあの人。未來姉さんは演技だったけど、あの人は間違いなく私を虐めて楽しんでた。私が死んだあと、どうやらデュオの前世・琉生が刑事となって逮捕したらしい。逮捕後、あの人は拘置所で自殺未遂を起こした。大事には至らなかったらしく、裁判所にて多くの人間を死に追いやった罪であの両親共々終身刑の判決を受けたらしい。(その罪状の中に、私への虐待もあった。というか、琉生が証言したとか)けれども、蝶よ花よと甘やかされたあの人に、刑務所暮らしが大人しくできる訳もなく。散々トラブルを起こした挙げ句、縫製作業中に刑務官の隙をついて今度こそ自殺を図ったそうだ。(あの人の担当は袋詰めだったので、刃物は持たせなかったそう。近くの受刑者から鋏を奪って事に及んだらしい)
ウィアナさんのあの様子だと、前世のことは何の反省もしていないらしい。デュオが憎々しげになるわけね。
閑話休題。
今現在、この夜会会場には私が予め最高硬度の結界を張っている。それは何故か。
ゲームでは、夜会イベントで魔王らしき者が現れる。そのイベントだと、危うくヒロインが誘拐されかける、という事件が発生する。
これは、真相解明ルートでのみ発生するイベントだ。
万全の警護体制にも関わらず、その警備を掻い潜って魔王が現れるのだ。いつの間にか側に来ていた魔王の邪気にあてられ、ヒロインは意識不明の状態に陥ってしまう。
そこで、攻略対象者たちがやってきてヒロインを助け、事なきを得る、というもの。(真相解明ルートに入ったあと、誰かの好感度が一番高くなると、その攻略対象者のみが助けにきてた)
エルフィンたちの見解だと、どうにも私がヒロインの立場にある、とのこと。光の精霊ラピスフィアが私自身なのだから、今さら私がヒロインなわけない!なんて否定出来なかった。
だからこそ、夜会に出席するのは、この祝賀会のみにした。それこそ、ゲームとは大きく変わってしまっている現状では、何があるか分からない。そんな時にあちこち動き回れるわけがなく。邪気を浄化できる反面、私は邪気に耐性がない。未だに力を取り戻しきれていないから尚更だ。
「来ますかね………奴は」
ルティウスが周囲を警戒しながら、呟く。
「ユフィが強固な結界の張られている学院の外にいる時が接触のチャンスなんだ、ゲーム通りでなかったとしても、必ず来る」
「念のため、魔術師団にも応援を要請していますが………向こうの実力が不透明な以上、油断はできませんね…………」
エルフィンがルティウスの呟きに答え、デュオがそれに続いた。
そう。問題は、転生した魔王と彼の配下の魔族側の戦力及び実力が未知数なこと。当時の幹部クラスはあらかた討伐されていたはず。新しく台頭してきた魔族に関しては情報が乏しい。
あれからラディ先輩は、人間の街で暮らす魔族に秘密裏に接触し、協力を取り付けることに成功したらしい。その魔族たちの話だと、二・三ヶ月ほど前に、街で強烈な邪気を感じたとのこと。ただ、その邪気は、すぐに反応が遠ざかったらしい。まるで、移動したかのように。
その頃って、私が意識不明になった頃と一致してるのよね。確かウィアナさん、あの頃勝手に学院外に出たことで、叱責されてたような………?
まさか……………ウィアナさんが持ってた“手に握り込めるくらいの何か”が、邪気の元凶───?誰から手にいれたのか?なんて聞かなくても答えは出ていた。たぶん、マラゾン伯爵子息──ケルニオ。
エルフィンたちとも話し合い、こういう結論が出た。魔王は、ウィアナさんを利用して学院の結界を破壊する気では?と。
基本、邪気は人間にはまず感知できない。精々、『空気が悪いな』と感じる程度。まぁ、さすがに邪気が集中している場所には人間ですら近寄れないけど。
……………学院、大丈夫かしら。戻って早々気を失いたくないわね。魔術師団の方に邪気を遮断できる魔道具、作ってもらえないかな。後でデュオに相談してみよう。
一応、『これで多少は緩和できるだろう』と言って、闇の防御術を付与した輝石をスフィアラがくれたので、それを身に付けてはいるけど。
「───あ」
「?どうした、ユフィ」
「エルフィン、あの人──ウィアナさん、来てたんですよね………」
「さすがにもう諦めたんじゃないか?祝賀会も、あと一時間もせずに終わるぞ?」
「いえ、そういうことではなく………彼女が“例のもの”を持ったままなら、彼女がいた辺り、邪気が発生してるんじゃ……?」
「っ!そうか……ではユフィ、浄化を頼めるか?」
「はい、ではすぐにでも──あ、エルフィンは駄目ですよ?このあと王太子として祝辞を述べる仕事があるんですから」
「………分かっている。だが、気を付けろよ、ユフィ。何かの罠があるかもしれないからな」
「分かりました。ルティウス、お父様たちに聞かれたら、事情を話しておいてもらえる?」
「僕も行きたいところですが……不審に思われてもいけませんしね………分かりました、お任せを」
「ユフィリア!ボクが一緒に行くよ。元々ボクはこの祝賀会に参加予定じゃなかったから、特別に入れてもらえただけで、やることないから」
「分かったわ。では、すぐに終わらせて来ますね、エルフィン」
「ああ。頼むぞ、クーシェ」
「ん。大丈夫」
王太子であるエルフィンが、お父様に祝いの祝辞を述べることで、祝賀会が終わるため、彼は一緒には来られない。ルティウスたちと一端別れ、私とクーシェは会場の門へと向かった。
今思えば、クーシェに来てもらってよかったと思う。まさに、ゲーム通りの展開になったとも言えたから。
門の入り口までやってきて、すぐに異変に気付いた。痛みが全身を駆け巡る。やっぱり………邪気が蔓延してる…………っ!これ……以前より邪気の濃度が濃い………………!
私は浄化を行うべく、精霊羽を展開させ、詠唱を始めた。
「『天駆ける清浄なる光のベールによりて、蔓延りし悪しき波動を浄化せよ─────!』【セラフィックフォース!!】」
私を中心にして、術が発動する。少しずつ、浄化の光を広げていき、この場にあった邪気を浄化していく。それに伴い、全身を苛んでいた痛みが消えていった。
「………なんとか、浄化は間に合ったけど………なんかおかしくない?ユフィリア」
「え?」
邪気が消え、一息つくと、未だ周囲への警戒を解かないクーシェが怪訝そうに呟いた。
「今ここに、ボクら以外誰もいない」
あれ?そういえば、門番をしていたはずの騎士がいない─────!?
「ここには騎士を常駐させるってエルフィンが言っていたはず。祝賀会が終わりに近いとはいえ、まだ警戒を解くには早過ぎる」
「じゃあ、ここにいた騎士たちは──?」
「ああ、あいつらなら邪魔だから消えてもらった。せっかくの逢瀬なのに無粋だろう──?」
背筋をゾッとしたものが駆け降りた。この声は誰?なんてことを考えている場合じゃない!!本能で分かる。この相手は不味い─────!!
「っ!!……………くっ!『大地よ……』─────うぁっ!?」
「クーシェ!?」
私を護ろうと側にいたクーシェが、魔術を発動させようとして、突如何かに吹き飛ばされた。
私は咄嗟に結界を展開しようとして、できなかった。いつの間にか目の前に人が立っていて、抱きすくめてきたからだ。その人影はいつだかの聞き覚えのある男の声だった。
「────ぁ………っ!」
「それこそ、無粋だな?俺と隔たろうなど」
その男から離れようと踠くも、凄い力で抱え込まれていて、身動きが取れない。頤を上げられ、首筋に男の唇らしきものが触れるのが分かった。
「───っ!?……ぁあ…………ぁ…………っ!?」
「ふ………抵抗するなよ?直によくなる───」
何かが、身体を侵食してくる………何、これ………?
「ぁ……………ぁあ…………ぅあ…………い…………や…………」
侵食が進むにつれて、“私”が作り替えられるような奇妙な感覚がする。
(いや…………助けて……………エルフィン…………!!)
そのときの私には分からなかったけれど、クーシェ曰く、精霊羽がどす黒く染まっていっているように見えたらしい。
「っ………ユフィリアっ!!」
クーシェが植物の蔦を操り、私と男を強引に引き剥がした。何をされたのか分からないけど、身体が異様に怠くて、身動きができなかった。クーシェの腕に抱き込まれた形で、私は男の顔をまともに見ることができた。
─────その姿はやはり、マラゾン伯爵子息──ケルニオだった。
ただ、去年と同じなのは顔立ちだけで、髪の色も、瞳の色も様変わりしていた。赤茶色だった髪は重いグレーの色に。髪と同色の赤茶色だった瞳は、金色に。肌の色も薄い群青色になっている。
どうやら、もう隠す気もないらしい。
「チッ………存外にしぶといな?クレイシェス」
「───っは………はぁっ………あの時……と………ぐっ……同……じに………して………たまる……か…………っ!!」
思ったよりもクーシェの受けたダメージは深かったのだろう。息も絶え絶えながら、それでも私を抱える腕の力だけは緩まなかった。
「返してもらえないか?まだ術が完了していないんだ」
そういいながらケルニオはゆっくりとこちらへ近付いてくる。どうしよう……私は動けないし、クーシェも同じようなものだろう。
どうすればいいの───?
「さあ………こちらへ───」
「はいそうですか、と渡すとでも思っているのか」
凛とした声がその場に響いた。次いで、猛吹雪が吹き荒れた。ケルニオに向かって。
「チィッ────!」
ケルニオは舌打ちしながらも、闇の魔術を使って防壁を作り、その吹雪を防いでいた。が────
「何───っ!?」
ケルニオが防ぎ始めた途端、吹雪が収束し始めた。一点突破でも狙うかのように。そして、彼の防壁を貫いたのだ。
「ふむ。この強度ならいけるようだな」
そう呟きながら現れたのは右手に冷気を纏わせたエルフィンだった。ここまで高度な氷の魔術を扱えるのは彼しかいない。
この時の私は、泣き笑いのような顔をしていたに違いない。ふとこちらを見たエルフィンが、「なんて顔をしているんだ、お前は」と言って、冷たく澄んだ表情が暖かく緩んだから。
次にケルニオに視線を戻した時は鋭く突き刺すような冷厳さが漂っていたけど。
「カイセルギウスの末裔か。いいところで邪魔が入ったな………」
「そういうお前は魔王だな?いつまで経っても現れないから、てっきり怖じ気づいたものとばかり思っていたが」
「はっ…………言ってくれる」
相手も馬鹿じゃない。エルフィンのわざとらしい挑発に乗る気はないようだ。
「ふん………今日のところは大人しく引くとしようか」
「なんだ、もう帰るのか?これから手厚い歓迎をしようと思っていたのだが」
「安い挑発はよせ。お前だとて、その二人を守りながらでは全力をだせまい?古代呪文を使わないのがいい例だろう」
「……………」
エルフィンはぴくり、と眉を上げただけだけど、ケルニオには図星だったということは分かったようだ。
「ラピスフィア。次こそはお前を手に入れる。待っているがいい」
そう言うやいなや、闇に溶け込むように姿が掻き消えた。
「ぅ────」
「きゃっ?──クーシェ!?」
ケルニオが消えた直後、張っていた気が弛んだらしく、クーシェは膝から崩れ落ちるように気を失った。私を抱えたままで。
「ふぅ………何とか凌げたな───ユフィは平気か?」
「あ………身体が怠くて動けないこと以外は不思議と何も………」
“何とか”とは言っているけれど、エルフィンにまだまだ余裕があるのは明らかだった。そういえば、あの奇妙な感覚は消えている。ケルニオは“術が完了していない”と言っていたから、クーシェが妨害したことで中断されたのだろうか。
「クーシェ………」
「一端フェルヴィティール家へ運ぶか。ユフィもそれでいいな?」
「あ……はい」
「心配するな。クーシェだとて、高位精霊だ。ヤワな鍛え方はしていない。少し休めば問題ないはずだ」
「はい………」
「それよりも、お前の方が問題なんだぞ、ユフィ」
「えっ?」
なんだか気まずげにエルフィンが私に言い募る。そして何故か目元が赤い。
「間違いなく邪気が凝ってる影響で身体が動かないんだからな。前は意識を失ったから、今回はその程度で済んでるだけ、マシなのだろうが───はぁ。またあの苦行を体験しないと駄目か……………」
「???」
げんなりし始めたエルフィンに、私はわけが分からなかった。一体なんだというの………?
─────で、その後以前ラディ先輩から教わったという邪気を取り除く方法というのをやってもらったのだけど。
お願いします、みなさん。今度こそ何も聞かないでください。
『いっそ最後までいってしまえ』とか、スフィアラとかフォルティガがエルフィンに言ってたけど、なんのことだか分からなかった、とだけ言っておきます。その時エルフィンの眼に浮かんだ感情を見て、命的な方面ではない身の危険だけは感じました、とも言っておきます。
後々無事回復したクーシェが、『ホント、エルフィンは忍耐強いよね………』と遠い目をしたのは余談。
道理でエルフィンとの婚約、何の障害もなくすんなり調ったわけですね。
エルフィンも、『何でも自分で出来ているつもりでも、以外と守られているものだな?』と何とも言えない表情をしていた。
ルティウスの養子縁組の件も、そういった経緯から迅速に動いたからこそ、だったようだしね。
そんなこんなで、お父様の当主就任の祝賀会(要するに夜会)当日になった。
祝賀会事態はつつがなく進んだ。
やっぱりというか、ウィアナさん、この夜会にも来ていた。……………警備をしていた騎士団の騎士によって門前払いされたようだ。
ようだ、というのは私たちはその現場を見ていないからなのよね。
エルフィンが、『もしかしたら不審者が現れるかもしれない。招待状を持っていない者は如何なる立場の者であろうとも、決して入れるな』と厳命したのが効を奏したみたい。
そして、いつもの如く『あたしは特別な存在なの!!ラピスフィアなのよ!?こんな扱いしていいと思ってんの!?』と喚いていたそう。服装が正装じゃなかった上、招待状もないんじゃ入れてもらえる訳もないんだけど。
……………ここまでゲームと違うのに、何故現実を受け入れないのだろうか。
するとデュオが吐き捨てるように、『アレに何を言っても無駄だと思います。自分に都合のいいことしか信じませんから』と言った。『デュオ、転生する前の彼女のこと、知ってるの?』そう聞いたら、デュオはエルフィンにちら、と視線を送り──エルフィンは、仕方ない、という風に頷いた──顔を歪めながら、話してくれた。
彼女──ウィアナさんは、前世の異母姉・望結だと。
それを聞いた途端、何故だか目の前が真っ暗になってよろめいた。そこをエルフィンが受け止めてくれた。『大丈夫だ。私がいる』そう言って抱き締めてくれたことで、私は何とか落ち着いた。
何で?何で彼女がウィアナさんなの?
私が一番に思い浮かべたのは、そんな言葉だった。
お世辞にも性格がいいとは言えなかったあの人。未來姉さんは演技だったけど、あの人は間違いなく私を虐めて楽しんでた。私が死んだあと、どうやらデュオの前世・琉生が刑事となって逮捕したらしい。逮捕後、あの人は拘置所で自殺未遂を起こした。大事には至らなかったらしく、裁判所にて多くの人間を死に追いやった罪であの両親共々終身刑の判決を受けたらしい。(その罪状の中に、私への虐待もあった。というか、琉生が証言したとか)けれども、蝶よ花よと甘やかされたあの人に、刑務所暮らしが大人しくできる訳もなく。散々トラブルを起こした挙げ句、縫製作業中に刑務官の隙をついて今度こそ自殺を図ったそうだ。(あの人の担当は袋詰めだったので、刃物は持たせなかったそう。近くの受刑者から鋏を奪って事に及んだらしい)
ウィアナさんのあの様子だと、前世のことは何の反省もしていないらしい。デュオが憎々しげになるわけね。
閑話休題。
今現在、この夜会会場には私が予め最高硬度の結界を張っている。それは何故か。
ゲームでは、夜会イベントで魔王らしき者が現れる。そのイベントだと、危うくヒロインが誘拐されかける、という事件が発生する。
これは、真相解明ルートでのみ発生するイベントだ。
万全の警護体制にも関わらず、その警備を掻い潜って魔王が現れるのだ。いつの間にか側に来ていた魔王の邪気にあてられ、ヒロインは意識不明の状態に陥ってしまう。
そこで、攻略対象者たちがやってきてヒロインを助け、事なきを得る、というもの。(真相解明ルートに入ったあと、誰かの好感度が一番高くなると、その攻略対象者のみが助けにきてた)
エルフィンたちの見解だと、どうにも私がヒロインの立場にある、とのこと。光の精霊ラピスフィアが私自身なのだから、今さら私がヒロインなわけない!なんて否定出来なかった。
だからこそ、夜会に出席するのは、この祝賀会のみにした。それこそ、ゲームとは大きく変わってしまっている現状では、何があるか分からない。そんな時にあちこち動き回れるわけがなく。邪気を浄化できる反面、私は邪気に耐性がない。未だに力を取り戻しきれていないから尚更だ。
「来ますかね………奴は」
ルティウスが周囲を警戒しながら、呟く。
「ユフィが強固な結界の張られている学院の外にいる時が接触のチャンスなんだ、ゲーム通りでなかったとしても、必ず来る」
「念のため、魔術師団にも応援を要請していますが………向こうの実力が不透明な以上、油断はできませんね…………」
エルフィンがルティウスの呟きに答え、デュオがそれに続いた。
そう。問題は、転生した魔王と彼の配下の魔族側の戦力及び実力が未知数なこと。当時の幹部クラスはあらかた討伐されていたはず。新しく台頭してきた魔族に関しては情報が乏しい。
あれからラディ先輩は、人間の街で暮らす魔族に秘密裏に接触し、協力を取り付けることに成功したらしい。その魔族たちの話だと、二・三ヶ月ほど前に、街で強烈な邪気を感じたとのこと。ただ、その邪気は、すぐに反応が遠ざかったらしい。まるで、移動したかのように。
その頃って、私が意識不明になった頃と一致してるのよね。確かウィアナさん、あの頃勝手に学院外に出たことで、叱責されてたような………?
まさか……………ウィアナさんが持ってた“手に握り込めるくらいの何か”が、邪気の元凶───?誰から手にいれたのか?なんて聞かなくても答えは出ていた。たぶん、マラゾン伯爵子息──ケルニオ。
エルフィンたちとも話し合い、こういう結論が出た。魔王は、ウィアナさんを利用して学院の結界を破壊する気では?と。
基本、邪気は人間にはまず感知できない。精々、『空気が悪いな』と感じる程度。まぁ、さすがに邪気が集中している場所には人間ですら近寄れないけど。
……………学院、大丈夫かしら。戻って早々気を失いたくないわね。魔術師団の方に邪気を遮断できる魔道具、作ってもらえないかな。後でデュオに相談してみよう。
一応、『これで多少は緩和できるだろう』と言って、闇の防御術を付与した輝石をスフィアラがくれたので、それを身に付けてはいるけど。
「───あ」
「?どうした、ユフィ」
「エルフィン、あの人──ウィアナさん、来てたんですよね………」
「さすがにもう諦めたんじゃないか?祝賀会も、あと一時間もせずに終わるぞ?」
「いえ、そういうことではなく………彼女が“例のもの”を持ったままなら、彼女がいた辺り、邪気が発生してるんじゃ……?」
「っ!そうか……ではユフィ、浄化を頼めるか?」
「はい、ではすぐにでも──あ、エルフィンは駄目ですよ?このあと王太子として祝辞を述べる仕事があるんですから」
「………分かっている。だが、気を付けろよ、ユフィ。何かの罠があるかもしれないからな」
「分かりました。ルティウス、お父様たちに聞かれたら、事情を話しておいてもらえる?」
「僕も行きたいところですが……不審に思われてもいけませんしね………分かりました、お任せを」
「ユフィリア!ボクが一緒に行くよ。元々ボクはこの祝賀会に参加予定じゃなかったから、特別に入れてもらえただけで、やることないから」
「分かったわ。では、すぐに終わらせて来ますね、エルフィン」
「ああ。頼むぞ、クーシェ」
「ん。大丈夫」
王太子であるエルフィンが、お父様に祝いの祝辞を述べることで、祝賀会が終わるため、彼は一緒には来られない。ルティウスたちと一端別れ、私とクーシェは会場の門へと向かった。
今思えば、クーシェに来てもらってよかったと思う。まさに、ゲーム通りの展開になったとも言えたから。
門の入り口までやってきて、すぐに異変に気付いた。痛みが全身を駆け巡る。やっぱり………邪気が蔓延してる…………っ!これ……以前より邪気の濃度が濃い………………!
私は浄化を行うべく、精霊羽を展開させ、詠唱を始めた。
「『天駆ける清浄なる光のベールによりて、蔓延りし悪しき波動を浄化せよ─────!』【セラフィックフォース!!】」
私を中心にして、術が発動する。少しずつ、浄化の光を広げていき、この場にあった邪気を浄化していく。それに伴い、全身を苛んでいた痛みが消えていった。
「………なんとか、浄化は間に合ったけど………なんかおかしくない?ユフィリア」
「え?」
邪気が消え、一息つくと、未だ周囲への警戒を解かないクーシェが怪訝そうに呟いた。
「今ここに、ボクら以外誰もいない」
あれ?そういえば、門番をしていたはずの騎士がいない─────!?
「ここには騎士を常駐させるってエルフィンが言っていたはず。祝賀会が終わりに近いとはいえ、まだ警戒を解くには早過ぎる」
「じゃあ、ここにいた騎士たちは──?」
「ああ、あいつらなら邪魔だから消えてもらった。せっかくの逢瀬なのに無粋だろう──?」
背筋をゾッとしたものが駆け降りた。この声は誰?なんてことを考えている場合じゃない!!本能で分かる。この相手は不味い─────!!
「っ!!……………くっ!『大地よ……』─────うぁっ!?」
「クーシェ!?」
私を護ろうと側にいたクーシェが、魔術を発動させようとして、突如何かに吹き飛ばされた。
私は咄嗟に結界を展開しようとして、できなかった。いつの間にか目の前に人が立っていて、抱きすくめてきたからだ。その人影はいつだかの聞き覚えのある男の声だった。
「────ぁ………っ!」
「それこそ、無粋だな?俺と隔たろうなど」
その男から離れようと踠くも、凄い力で抱え込まれていて、身動きが取れない。頤を上げられ、首筋に男の唇らしきものが触れるのが分かった。
「───っ!?……ぁあ…………ぁ…………っ!?」
「ふ………抵抗するなよ?直によくなる───」
何かが、身体を侵食してくる………何、これ………?
「ぁ……………ぁあ…………ぅあ…………い…………や…………」
侵食が進むにつれて、“私”が作り替えられるような奇妙な感覚がする。
(いや…………助けて……………エルフィン…………!!)
そのときの私には分からなかったけれど、クーシェ曰く、精霊羽がどす黒く染まっていっているように見えたらしい。
「っ………ユフィリアっ!!」
クーシェが植物の蔦を操り、私と男を強引に引き剥がした。何をされたのか分からないけど、身体が異様に怠くて、身動きができなかった。クーシェの腕に抱き込まれた形で、私は男の顔をまともに見ることができた。
─────その姿はやはり、マラゾン伯爵子息──ケルニオだった。
ただ、去年と同じなのは顔立ちだけで、髪の色も、瞳の色も様変わりしていた。赤茶色だった髪は重いグレーの色に。髪と同色の赤茶色だった瞳は、金色に。肌の色も薄い群青色になっている。
どうやら、もう隠す気もないらしい。
「チッ………存外にしぶといな?クレイシェス」
「───っは………はぁっ………あの時……と………ぐっ……同……じに………して………たまる……か…………っ!!」
思ったよりもクーシェの受けたダメージは深かったのだろう。息も絶え絶えながら、それでも私を抱える腕の力だけは緩まなかった。
「返してもらえないか?まだ術が完了していないんだ」
そういいながらケルニオはゆっくりとこちらへ近付いてくる。どうしよう……私は動けないし、クーシェも同じようなものだろう。
どうすればいいの───?
「さあ………こちらへ───」
「はいそうですか、と渡すとでも思っているのか」
凛とした声がその場に響いた。次いで、猛吹雪が吹き荒れた。ケルニオに向かって。
「チィッ────!」
ケルニオは舌打ちしながらも、闇の魔術を使って防壁を作り、その吹雪を防いでいた。が────
「何───っ!?」
ケルニオが防ぎ始めた途端、吹雪が収束し始めた。一点突破でも狙うかのように。そして、彼の防壁を貫いたのだ。
「ふむ。この強度ならいけるようだな」
そう呟きながら現れたのは右手に冷気を纏わせたエルフィンだった。ここまで高度な氷の魔術を扱えるのは彼しかいない。
この時の私は、泣き笑いのような顔をしていたに違いない。ふとこちらを見たエルフィンが、「なんて顔をしているんだ、お前は」と言って、冷たく澄んだ表情が暖かく緩んだから。
次にケルニオに視線を戻した時は鋭く突き刺すような冷厳さが漂っていたけど。
「カイセルギウスの末裔か。いいところで邪魔が入ったな………」
「そういうお前は魔王だな?いつまで経っても現れないから、てっきり怖じ気づいたものとばかり思っていたが」
「はっ…………言ってくれる」
相手も馬鹿じゃない。エルフィンのわざとらしい挑発に乗る気はないようだ。
「ふん………今日のところは大人しく引くとしようか」
「なんだ、もう帰るのか?これから手厚い歓迎をしようと思っていたのだが」
「安い挑発はよせ。お前だとて、その二人を守りながらでは全力をだせまい?古代呪文を使わないのがいい例だろう」
「……………」
エルフィンはぴくり、と眉を上げただけだけど、ケルニオには図星だったということは分かったようだ。
「ラピスフィア。次こそはお前を手に入れる。待っているがいい」
そう言うやいなや、闇に溶け込むように姿が掻き消えた。
「ぅ────」
「きゃっ?──クーシェ!?」
ケルニオが消えた直後、張っていた気が弛んだらしく、クーシェは膝から崩れ落ちるように気を失った。私を抱えたままで。
「ふぅ………何とか凌げたな───ユフィは平気か?」
「あ………身体が怠くて動けないこと以外は不思議と何も………」
“何とか”とは言っているけれど、エルフィンにまだまだ余裕があるのは明らかだった。そういえば、あの奇妙な感覚は消えている。ケルニオは“術が完了していない”と言っていたから、クーシェが妨害したことで中断されたのだろうか。
「クーシェ………」
「一端フェルヴィティール家へ運ぶか。ユフィもそれでいいな?」
「あ……はい」
「心配するな。クーシェだとて、高位精霊だ。ヤワな鍛え方はしていない。少し休めば問題ないはずだ」
「はい………」
「それよりも、お前の方が問題なんだぞ、ユフィ」
「えっ?」
なんだか気まずげにエルフィンが私に言い募る。そして何故か目元が赤い。
「間違いなく邪気が凝ってる影響で身体が動かないんだからな。前は意識を失ったから、今回はその程度で済んでるだけ、マシなのだろうが───はぁ。またあの苦行を体験しないと駄目か……………」
「???」
げんなりし始めたエルフィンに、私はわけが分からなかった。一体なんだというの………?
─────で、その後以前ラディ先輩から教わったという邪気を取り除く方法というのをやってもらったのだけど。
お願いします、みなさん。今度こそ何も聞かないでください。
『いっそ最後までいってしまえ』とか、スフィアラとかフォルティガがエルフィンに言ってたけど、なんのことだか分からなかった、とだけ言っておきます。その時エルフィンの眼に浮かんだ感情を見て、命的な方面ではない身の危険だけは感じました、とも言っておきます。
後々無事回復したクーシェが、『ホント、エルフィンは忍耐強いよね………』と遠い目をしたのは余談。
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私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
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