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248.人生はいつだって難しい年頃
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「難しい、年頃っすよね……」
「ごめんな。失礼な息子で……」
二人きりになったオフィスで、ため息を吐く蓮さん。
「いや、俺も大人げなくズケズケ言っちゃって……」
「いいんだよ。明は甘やかされて育ってきたから。厳しい事を言ってくれる大人がいてくれた方が」
甘やかされて? 明が? 夢子ならばまだわかるけど。
「俺が口を出すような事じゃないかもですけど。蓮さん、明に厳しくないですか?」
「……そんな事ないよ」
これは『自覚あり』だな。
小難しい蓮さんの表情からそんな予測をしていたのだが……ハッと、今の状況のヤバさに気付いた。
まずい。人様を分析してる場合じゃない。
蓮さんが、俺と唯が出社する前から天井裏に潜んでいたのだとしたら……全ての会話が筒抜けだったって事だ。
「あ、あの、蓮さん」
「大丈夫だよ。俺も気付いてたから」
どもりながら蓮さんの顔を覗き込む俺に、そう言って微笑む蓮さん。
でも何を『気付いてた』のかがわからなくて、まだ胸をなでおろす事が出来ん。
すると優秀な社長は、そんな部下の心情をまるまる理解してくれたらしく。
「ああ、気付いてたっていうのは、さっき二人が話してた事を全部。っていう意味で。夢子の父親について仁が察している事も、あの時、唯は仁を受け入れてたって事も」
マジか。涼しい顔でそう言う蓮さんに、流石に驚いてしまう。
「それなのに……今日まで俺をここに置いてくれたんですか?」
「俺は置いてあげた、なんて思ってないよ。立場的に辛いのは仁の方だろ? それでも、俺達を傍で見守り続けてくれた。感謝しかないよ」
「蓮さん……」
嘘偽り無い笑顔。なんだかジーンとしてしまう。
「でも正直……まだ嫉妬しちゃう事はあるけどな。唯の心にはいまだに仁がいるから」
「もしそうなら、さっきみたいな話はしないですよ。俺との事は完全に過去の遺物っていうか。今の唯には蓮さんと子供達が全てですから」
「……うち8割は子供達が占めているけどね」
二人分のコーヒーを淹れながら、ボソっという蓮さん。
「蓮さんもしや……子供相手にもジェラシー感じちゃってます?」
「父親失格過ぎて……恥ずかしいんだけどね……」
「大丈夫です。話して下さい。病的に唯が好きな者として、理解できると思います」
「……同志……っ」
俺がそう言うと、俯いていた蓮さんは暗闇の中に光を見たような表情でハグをしてきた。
なんか、ずっと前にもこんな事があった気がするな。
なんて懐かしく想いながら……俺は、相変わらずたくましくて良いニオイのするナイスガイの背に、手を回すのだった。
「ごめんな。失礼な息子で……」
二人きりになったオフィスで、ため息を吐く蓮さん。
「いや、俺も大人げなくズケズケ言っちゃって……」
「いいんだよ。明は甘やかされて育ってきたから。厳しい事を言ってくれる大人がいてくれた方が」
甘やかされて? 明が? 夢子ならばまだわかるけど。
「俺が口を出すような事じゃないかもですけど。蓮さん、明に厳しくないですか?」
「……そんな事ないよ」
これは『自覚あり』だな。
小難しい蓮さんの表情からそんな予測をしていたのだが……ハッと、今の状況のヤバさに気付いた。
まずい。人様を分析してる場合じゃない。
蓮さんが、俺と唯が出社する前から天井裏に潜んでいたのだとしたら……全ての会話が筒抜けだったって事だ。
「あ、あの、蓮さん」
「大丈夫だよ。俺も気付いてたから」
どもりながら蓮さんの顔を覗き込む俺に、そう言って微笑む蓮さん。
でも何を『気付いてた』のかがわからなくて、まだ胸をなでおろす事が出来ん。
すると優秀な社長は、そんな部下の心情をまるまる理解してくれたらしく。
「ああ、気付いてたっていうのは、さっき二人が話してた事を全部。っていう意味で。夢子の父親について仁が察している事も、あの時、唯は仁を受け入れてたって事も」
マジか。涼しい顔でそう言う蓮さんに、流石に驚いてしまう。
「それなのに……今日まで俺をここに置いてくれたんですか?」
「俺は置いてあげた、なんて思ってないよ。立場的に辛いのは仁の方だろ? それでも、俺達を傍で見守り続けてくれた。感謝しかないよ」
「蓮さん……」
嘘偽り無い笑顔。なんだかジーンとしてしまう。
「でも正直……まだ嫉妬しちゃう事はあるけどな。唯の心にはいまだに仁がいるから」
「もしそうなら、さっきみたいな話はしないですよ。俺との事は完全に過去の遺物っていうか。今の唯には蓮さんと子供達が全てですから」
「……うち8割は子供達が占めているけどね」
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「蓮さんもしや……子供相手にもジェラシー感じちゃってます?」
「父親失格過ぎて……恥ずかしいんだけどね……」
「大丈夫です。話して下さい。病的に唯が好きな者として、理解できると思います」
「……同志……っ」
俺がそう言うと、俯いていた蓮さんは暗闇の中に光を見たような表情でハグをしてきた。
なんか、ずっと前にもこんな事があった気がするな。
なんて懐かしく想いながら……俺は、相変わらずたくましくて良いニオイのするナイスガイの背に、手を回すのだった。
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