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閑話 アルフリード・ヴァン・ファラキア

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 固まったままのティアに、噛んで言い含めるようにして話す。
 俺の声は震えていないだろうか――?せめて、想いを告げる時ぐらい恥ずかしい真似はしたく無い。

 「なのに、俺は――きっと前世の昴だった時から、君に惹かれてた……」

 ティアの目が、大きく見開かれた。「――……は?……」と声が聞こえた。何言ってるの?って感じに聞き返されて、少しだけ心が折れそうになる。それでも、想いを伝えると決めたのだ。

 「好きだよ。澪――愛してる……気持ち悪いと思うかもしれな――」

 と言った瞬間、ティアのひゅっと息を飲む音が聞こえた。
 手を振って、俺の言葉を遮って、あわあわと混乱したように「今ちょっと、変な単語が聞こえたよ?!待って?何て??聞き間違いでは無く???」と言うティア。
 顔中どころか、全身が朱に染まっているのが分かる。制服から覗く首元――長袖から出てる手首――全部が真っ赤だ。

 「待って、ちょっと待って?!――え??昴が?私を??何で??」

 何で、何でと言いながら、自分の顔に手を当てたり、髪を弄ったりと忙しい。
 うん。これ――少なくとも、気持ち悪いとは思われて無い――よな??多分。……――その、あれだ……少しくらい期待しても良い――よな??今は恋愛の意味で好きでは無くても、偽装婚約を本当の婚約に出来そうだろうか……。

 「好きって友達の好きじゃ無く――?あ、あああ、愛?――……愛って言ってた??そんな馬鹿な?!」

 ブツブツと言っている言葉を聞けば、完全に混乱しているのが分かった。流石に『愛してる』は重かったか??けど、好きだけでは到底この気持ちを現わせないって思ったんだ。
 俺は、混乱するティアに何故好きになったのかと言う事を話した。混乱してる言動を聞けば、告白を信じて貰えているように思えなかったからだ。
 前世の俺が自覚する事が出来無かった恋心から、転生して自覚したその気持ち――。降り積るように重なって来たティアへの想い――。
 高校生を良い年した男が好きになるなんて、気持ち悪いと思われるんじゃ無いかと思った事――それを言い訳にして、偽装婚約している状況を甘んじて受け入れていた事――そして――

 「……澪が嫌ならしつこく言い寄ったりしない。けど、少しでも嫌じゃ無かったら、その――俺の本当の婚約者になって貰えないだろうか」

 真剣な顔をしてそう言えば、ティアに「本気で?本当の、本当に??」と念を押すように確認された。その言葉に「あぁ」とだけ返す。

 「どうしよう――……私――、心臓壊れる」
 
 崩れ落ちるようにティアが座り込んだ。真っ赤な顔に涙目でそんな事を言われて心臓がドクドクと音を立てる。

 「澪?」と問いかけるように名前を呼んで、慌てて彼女の身体を支えた。
 うつむけた顔は真っ赤で、零れおちた髪の隙間から見える項から――甘い香気が立ちあがる。そこに口付たい衝動にかられて息を飲んだ。
 落ち着け、俺――。
 そうして静かに、答えを待つ。

 「えっと――うれしい、です」

 小さく囁くような声で答えられた返事――「求婚を受け入れてくれるって事??」と掠れた声で問い返せば「――求婚っ!」っと焦ったような声が返って来た。
 そっか、そっかぁ――結婚する事になるんだ――?と小さな呟きが聞こえる。
 これはOKって事だよな――多分。そう思った時だった――

 「――……えっと、はい――私も、その――昴が好きよ?……」

 恥ずかしそうに、そんな事を言われて、俺の思考が停止した。うん?俺の事が好きなのか??え?兄的な感じで好きだとかでは無く??気が付いたら「俺の事が好きなの??」とか馬鹿な事を聞き返してた。

 我ながら随分と間抜けな話だ。

 案の定ティアに「――何でそこでそう聞き返すのっ?!」と怒られた。
 そうは言っても、本気で兄ポジションだと思ってたんだよ……。だから、告白する事で意識して貰って、あわよくば婚約者としての立場だけは確保したかったと言うか……。
 前世だったら逆だろ?!って突っ込まれるような順番だけど、今世ではティアに婚約者がいない状況があれば、求婚者が列をなす。そんな事を看過できるような神経を俺は持ち合せていない――。
 ほとんどの連中が、偽装婚約に気が付かず仲睦まじいと思ってくれてるけれど、裏を返せば仲睦まじく見せている・・・・・・・・・・事に気が付いているヤツだっているのだ。
 元々これは政略結婚――幸い争い事がここ数十年無く、外敵がいない現状で内向きの団結を固めるために提示された婚約だ。
 少しでも隙を見せたらヤバい。特に隣国――バティス聖霊国の王太子とか、父の誕生祝いの公式行事に顔を出した時、興味津々でティアの事を見ていたし……。

 絶対に婚約者の立場だけは手放せない。

 俺を責めるような顔をして見上げるティア。潤んだ目と、への字に曲がった柔らかそうな唇――。可愛らしい顔をされて理性を試されている気持になった。
 失敗したかもしれない。話す内容を考えて、研究室はどうかと聞かれて頷いた。けれど、人目の無い場所に二人きりはまずかった気がする――。「――まずは告白する事で男として意識して貰いつつ、婚約を本物にして――」とか――「てっきり澪は俺の事を兄みたいに思ってて、その、恋愛感情とかは無いものだとばかり……」などと言い訳にしか聞こえないような事を言って自分の気を逸らした。

 「昴は私のこと妹みたいに思ってるんだろうなぁって考えてた」

 私達って変な所が似てるのね?とクスクス笑うティアが愛しい。可愛い。何だろうこれ――こんな気持ち、俺は知らない……。「――でも、あんなに優しくされて、守ってくれようとしてる人がそばにいて――好きにならない方が、ね?その、オカシイと思うの……」そう言われて、思考が止まる。

 ティアは俺をどうしたいの??

 理性を試したいの??恥ずかしそうにチラチラと俺を見ながらティアが言った言葉は囁くようで、けれど、二人きりの部屋の中にやけに響いた。可愛い――可愛い、かわいい……
 脳が溶けて馬鹿になったみたいにその事しか考えられ無くて、気が付いたら抱きしめていた。ドクドクと鼓動を刻む俺の心臓と、かわらぬ音を立てるティアの鼓動が、混ざり合うようにして響いてくる。
 醜い嫉妬や、独占欲は焼きつくされて、ただただ愛おしいと心が叫ぶ。
 抱きしめられた事に驚いたのか、ティアが顔をあげた。掻き抱いていた力を緩めて、彼女の顔を覗きこむ。潤んだ目――上気した頬――甘い匂い、混じる吐息――。

 「――澪……」

 零れた言葉は掠れていて、名前を呼ばれてティアが目を見開く。
 あぁ――
 
 「――、愛してる、澪――」
 
 ティアが固まったのを良い事に、そのままキスした。
 自分が捕食者にでもなった気分だ。何度も食べるようにキスをして――気が付いたら、ティアが腕の中でぐったりしていた――。

 やりすぎだ――俺。

 自覚はある。暴走したって……。けど、やっと想いが通じた愛しいひとが腕の中にいて、可愛い顔をして見上げて来ているのを見て我慢しろとか無理だと思う。
 むしろ、我に返れた事が奇跡――いや、分かってる言い訳だって――。百戦錬磨の男ならあれを我慢出来るのだろうか……。俺は前世を含めて恋愛初心者なので、良く分からない。もっと自制心を強く持たなければ……。
 あの後、ティアが目を覚ますのを待って、手を繋ぎながら寮に送った。寮の前でボーっとしているティアと別れるのは不安だったけれど、女子寮に男は入れない。
 ゆっくりと、玄関ホールの階段を上って行くティアを見送ってから、その場を後にした――。
 そして自室に帰ってから、王城に連絡を入れる――

 『どうやら、上手くまとまったらしいじゃねぇか』

 ニヤニヤと笑う父を思わず睨みつける。
 睨みつけると言っても通信用の水晶球にだから、迫力も何もあったものじゃない。目の前にいたとしてこの父はどこ吹く風で睨んだ事を何とも思わないのだろうけど。
 まとまったと言うのは、おそらくティアとの事だ。あの顔を見ればすぐに分かる。

 「何で知っているのか聞いても??」

 『枝葉』

 「――……つけるのをやめたのでは?」

 楽しそうに言う父を思わず殴りたい気持ちになった。

 『まぁ、それで魔女の出現を見逃しちまったからなぁ……つけた。随分と締まりの無いツラになってるじゃねぇか。ま、お前の澄まし顔が崩れるのは、見てて面白いから好きだぜ!』

 グッと親指を立てる姿が余計に腹が立つ――これ報告だけじゃ無くて、映像付きで見られてるヤツか。さすがに研究室の事は分からないだろうけど、外で、手を繋ぎながら歩いている様子を報告されたらしい。

 「悪趣味」

 舌打ち付きで文句を言えば、カリカリと眉毛を掻いた父が真面目な顔をして口を開いた。

 『どこで、誰の目があるか分かんねぇんだからよ。一応、忠告な。まぁ、お前真面目だから、在学中にガキつくるような事ぁ無いだろうけどよ』

 「父上?」

 前半はまともな忠告なのに、後半をニヤニヤしながら言うな!!
 ――忠告は分からなくもない……が!そもそも、外で相応しく無い・・・・・・行動をする予定は無い。そこまで馬鹿じゃ無いしティアに変な噂を立てられても困る――。

 『嬉しい気持ちは分かりますし、目出度い事だと俺も思いますがね、お館様――からかうのはそれ位にした方がいいんじゃないですかね?』

 横から声が聞こえて、父が水晶の前から身体をどかした。現れたのは、狼獣人のセラクだ。壮年の男で、頭には狼の耳、今は見えないけれど狼の尻尾があるはずだ。
 獣人は人に近い形態、力が強い半獣の形態、完全な獣の形態を使い分ける種族だ。人みたいな形態が、今のセラクの状態で、半獣形態だと二足歩行の狼姿、獣の形態は大きな狼の姿になれる。
 
 「セラク!――もしかして見つかったのか?」

 彼が水晶に映された事で、もしかして探し物が見つかったのかと問いかける。
 けれど、セラクは緩く首を振った。

 『残念ながらまだですねぇ――若様。一応、20階層までは踏破したんですがね。例のモノはおそらく60階層位だと思うんですが――詳細な目録はあれど、場所がゴチャゴチャになってましてね。お恥ずかしい話、俺の何代か前の先祖が腑抜けで腰ぬけで面倒くさがりだったからなんですがね。まさかここまで雑把になってるとは……』

 どうやら、宝物庫はダンジョンみたいになっているらしかった。
 しかも、使った宝物庫の中の物を定位置に戻せば良いのに、戻さなかったセラクの先祖。戻すのが面倒だったり、奥に降りるのが怖いだったり理由は様々らしいけど、それが宝物庫がゴチャゴチャになった原因だとか……。
 その先祖が亡くなった後も、それを直さず、まぁいっかで済ませて来たと……セラクに代替わりしてから、積極的に定位置に戻して地図を作ってたみたいだが。――……狼獣人は大らかで大雑把なのが多いんだ……。
 宝物庫の管理人の仕事としてどうなんだ?とは思うけれど……。
 定位置に戻す作業は、まだ10階層位までしか手がつけられて無かったようで、多分目標物は60階層にあると思われる・・・・という状況になってしまったらしい。何処に何があるのか、目録をあてに出来ないので時間がかかっているようだ。
 現在は、浅い階層を探す組と60階層を重点的に探す組に分けて探しているらしい。

 「手間をかけさせる――」

 『お気になさらず、今の一族にはそんな怠け者いやしませんからな。祖母ばぁさんの代で学者の血が入ったせいか、皆、好奇心旺盛でして。急ぎだとは分かってるんですが、宝探ししながらマッピングしてる気分を味わわせて貰ってますよ』

 仕事はしっかりやるんで安心して下さいとセラクに言われた。
 まぁ、その辺はあまり心配していない。セラクは真面目だし仕事も丁寧だ。今後、定位置に戻さないような事が無いように、対策も考えてくれているらしいので任せて大丈夫だと思う。
 それにしても、俺の先祖は宝物庫の惨状に気が付いて無かったのだろうか?
 そんな俺の疑問に気が付いた父曰く、良く使う物は取り出しやすい場所にあったらしく、取って来るように言って出てくれば宝物庫の何処に何があるのかを気にしないからとの事だった。
 それって、歴代の王が宝物庫にあまり関心が無かったと言う事では??というか、俺の先祖も父みたく大雑把だったのだろう……そりゃあ、セラクの一族と気が合うはずだ。

 『まぁ、剣奴をしていたウチの先祖と何故か意気投合して、奴隷から解放して一緒に冒険者になってダンジョン潜ってたのが若の先祖ですし――……そりゃ、気が合うでしょうな。それが縁で王家の宝物庫番になったらしいですよ?』
 
 俺の先祖も、セラクの先祖も大雑把だな――と言ったら、おかしな事実を告げられた。
 ……何処に突っ込めば良い??剣奴に??冒険者に??王が冒険者な事に??しかも、何故宝物庫番??元、剣奴で冒険者をやるくらいだ。とても強かったはずなのに、何故宝物庫番??

 「待て――冒険者になった後、何故宝物庫番になるんだ?というか、王が冒険者??」

 疑問を口にすれば、『俺も王太子の時、セラクと冒険者してたぜ?』と余計な言葉が聞こえてきた。王太子――何やってる……。俺は父の言葉は無視した。
 聞いて欲しそうな雰囲気を出している父。無視したのは、聞けば話が絶対に長くなるので面倒だったからだ。

 『何でも、宝物庫の最奥に眠る宝が、若の先祖と俺の先祖にとって大切なものだったらしいですよ?で、それを守るのに信頼出来る相手として、俺の先祖が選ばれたらしいですね』

 俺の父への対応に苦笑しながらセラクが言った。

 『あぁ、元ダンジョンコアか?』

 「待って下さい……宝物庫がダンジョン化してるのはそれが理由では??」

 『だろうな』『そうでしょうね』と言われて頭が痛くなった。ダンジョンコアは自然発生的なダンジョンに必ずあるもので、状況によっては破壊するべきものだ。
 そのダンジョンコアを何故か持って帰って来て改造したのが、モンスターの出ないダンジョン宝物庫らしい。部屋が満杯になると一階層増える仕組みだとか……けど、現状を考えれば傍迷惑な気がするのは俺だけだろうか……。
____________________________________________________

 2021.04.16 設定の変更につき、少し変更しました。
 普通は破壊するべきものだ→状況によっては破壊するべきものだ。
 それを破壊せずに持って帰って来て→そのダンジョンコアを何故か持って帰って来て
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