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4:堪らない熱

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 ビオンダの誰も受け入れたことが無いまんこの孔を、メリメリと押し拡げるようにして、熱くて硬いものが入ってくる。鈍く痛むが、それ以上に敏感な粘膜同士が擦れ合う快感の方が強い。ビオンダの狭い膣を押し拡げながら、どんどんマルチェロのペニスが深く入り込んでくる。痛いが、気持ちがいい。ビオンダはシーツを強く掴んで、熱い息を吐いた。深く入り込んでいたマルチェロのペニスが漸く止まった。何気なく自分の股間を見れば、黒い陰毛が生えたマルチェロの股間と自分の股間がぴったりとくっついていた。マルチェロのペニスの先っぽが当たっているところが、かなり痛い。それでも、酷く興奮して、痛みは然程気にならない。
 マルチェロがビオンダの立てた両膝を握って、クックッと楽しそうに笑った。


「アンタ、名器かよ」

「めいき?」

「めちゃくちゃ具合がいいまんこってこと。奥の方がざらついてる。すげぇちんこに絡みついてくるし、マジで堪んねぇわ。動くぞ」

「はっ、あっ、あっ、あっ、んうぅっ、あっはっ! あぁっ! やべぇっ!」

「ははっ! 処女なのにもう感じてんのか? すげぇな。アンタ」


 ビオンダの中で、マルチェロのペニスが暴れ始めた。ビオンダの中を味わうかのように、ゆっくりと大きくペニスを抜き差しされたかと思えば、指で弄られたところや腹の奥の方をぐりぐりされて、腹の一番奥、突かれると鋭く痛むところもペニスの先っぽでぐりぐりされる。もう痛いのか、気持ちがいいのかも分からない。唯、熱くて堪らない。脳みそが蕩けてしまいそうだ。
 ビオンダは喘ぎながら、身体をくねらせ、なんとなく自分の膝を掴んでいるマルチェロの手に自分の手を重ねた。マルチェロが楽しそうにニヤニヤと笑いながら、ビオンダの手を握り、指を絡めた。両手の指を絡めたまま、マルチェロが激しく腰を振り始めた。ビオンダは激しい痛みと強烈な快感に大きく喘ぎながら、マルチェロの腰に両足を絡めた。この行為に愛なんてない。でも、なんだか『愛されている』と錯覚しそうなくらい、マルチェロの熱は情熱的で、気持ちがいい。
 腹の奥深くを小刻みにガンガン激しく突き上げられる。脳天に突き抜ける鋭い痛みと、目の裏がチカチカするような経験したことが無い強烈な快感で、もう訳が分からない。ビオンダは絡めた指にぎゅっと力を入れた。マルチェロの動きが益々激しくなり、マルチェロが一際強く、ビオンダの腹の一番奥を突き上げた。腹の中で、マルチェロのペニスがほんの微かにピクピクと震えている感覚がする。

 ぜぇ、ぜぇ、と荒い息を吐きながら、マルチェロを見上げれば、マルチェロが気持ちよさそうな顔をしていた。多分、射精しているのだろう。腰をゆるゆると振るマルチェロの顔は、僅かに紅潮して、気持よさそうに蕩けている。夫人とのセックスでは、見たことが無い顔だ。ビオンダは不思議に思って、マルチェロに声をかけた。


「夫人とのセックスより気持ちよかったのか?」

「ははっ。そりゃあもう。アンタ、マジで名器過ぎ。めちゃくちゃ早く出ちまった」

「ふーん」

「アンタをイカせまくるつもりだったんだけど、ちょっと休憩してからな。クソ暑い」

「あぁ」


 マルチェロが、ふーっと大きく息を吐いて、ゆっくりとビオンダのまんこの孔からペニスを引き抜いた。じんじんとまんこの孔と腹の奥が痛む。マルチェロが、ころんとビオンダの隣に寝転がったので、ビオンダは自分のまんこに手を伸ばした。自分の濡れたまんこをぬるりと指先で撫で、自分の顔の前に指を持ってくれば、白濁した液体に混ざって、微かに赤い血がついていた。そのまま口に含めば、青臭いエグみのある味と、鉄臭い血の味がした。精液と自分の血の味である。
 マルチェロが隣で煙草を吸い始めながら、クックッと楽しそうに笑った。


「舐めるか? 普通」

「舐めないのか? 普通」

「さぁな。アンタはいつも舐めてるのか? 自分の出したやつ」

「いつもじゃないが、舐める時が多い」

「ふーん。煙草吸うか?」

「吸う」


 ビオンダはマルチェロから煙草を1本貰って、借りた着火具で煙草に火をつけた。マルチェロが身体を起こして手を伸ばし、窓枠に置いていた吸い殻入りのワイン瓶を手に取った。煙草の灰をワイン瓶に入れながら、マルチェロが細く長く煙を吐き出し、煙草を咥えたまま、再びビオンダの隣に寝転がった。マルチェロが、ビオンダとマルチェロの間にワイン瓶を置いたので、ビオンダは煙草の灰をワイン瓶に落とし、すーっと深く煙草を吸いこんで、細く長く煙草の煙を吐き出した。全開の窓から、生温い風が入ってくる。火照った身体を撫でる風が心地よい。煙草を吸い終えたマルチェロが、起き上がって、新しい安物のワイン瓶を袋から取り出して、コルク栓を開けて飲み始めた。ごくごくと喉を鳴らしながら半分程ワインを飲むと、マルチェロがビオンダに飲みかけのワイン瓶を手渡してきた。ビオンダは火のついた煙草を片手に起き上がり、マルチェロからワイン瓶を受け取って、直接瓶に口をつけて飲み始めた。安物で大して美味い訳じゃないワインが、今は甘露のように渇いた身体に染み渡る。ビオンダは一気に残りのワインを飲み干すと、ぷはっと大きく息を吐き、短くなった煙草を吸った。

 乱れたシーツの上で胡坐をかいているマルチェロが、ニヤニヤと品のない笑みを浮かべた。こういう顔は、夫人の前ではしない。きっと、夫人の前では、夫人に気に入られるように、上品に振る舞っているのだろう。


「休憩はできただろ。続きしようぜ」

「ん」


 ビオンダは吸っていた煙草の煙をふーっと吐き出すと、吸い殻が入ったワイン瓶に、吸っていた煙草を放り込んだ。何気なく壁に掛けてある古ぼけた時計を見れば、まだ夕方にもならない時間だ。もう少し、この極上の男を独占して、快感に溺れることができる。ビオンダは機嫌よく、ゆるく口角を上げて、シーツの上を移動して、胡坐をかくマルチェロの股間に顔を伏せた。

 ビオンダは四つん這いになって、マルチェロのペニスをまんこの孔で受け入れていた。先程までとは、中を擦れるペニスの角度が変わっていて、これはこれで堪らなく気持ちがいい。痛みが強かった腹の奥深くを硬いペニスでぐりぐりされると、そのうち、痛みよりも強烈な快感の方が勝ってきた。はっはっと飢えた獣のような荒い息を吐きながら、ビオンダは腰をくねらせた。

 マルチェロが愛液で濡れたビオンダのアナルを指の腹でくるくると円を描くように撫でてきた。顔だけで振り返れば、マルチェロが楽しそうにニヤニヤしていた。


「こっちにも挿れたいが、浄化剤が手元にねぇ。持ってくればよかった」

「そこは、挿れる、とこ、じゃない」

「挿れるところでもあるんだよ。相手にもよるが、それなりに気持ちがいいぜ」

「ふーん。はっ、あぁっ! いいっ! もっとっ、突いてくれっ」

「ははっ! やーらしーい。ほらっ。ほらっ」

「あぁっ! んうっ! いいっ! 堪んねぇっ!」

「アンタの身体、最高だな。クッソ気持ちいい」

「あぁっ!? はげしっ、あっあっあっあっあっ!!」


 マルチェロがビオンダの腰を両手で掴み、小刻みに激しく腹の奥深くを突き上げ始めた。痛みはまだある。でも、それ以上に気持ちがいい。目の裏がチカチカする程の強烈な快感が、身体の中を暴れ回っている。快感が弾け飛ぶ瞬間が訪れる予感がして、ビオンダは思わず口角を上げて、大きく喘いだ。ガンガン腹の奥深くを突き上げられる度に、脳みそが痺れる快感が身体中に広がっていく。
 ビオンダはシーツを強く掴んで、背をしならせ、吠えるような声を上げながら、漏らすように潮を吹き出し、マルチェロのペニスをまんこの孔で咥えこんだままイッた。

 ビオンダは、ぜぇ、ぜぃ、と掠れた息を吐きながら、何気なく窓の方を見た。窓の外は、すっかり暗くなっている。何回イッたのか、覚えていない。マルチェロがもたらす快感に、何時間もひたすら溺れていた。休憩を挟みながら、何回もマルチェロとセックスをした。最初で最後のセックスは、とにかく気持ちがよくて、マルチェロの熱が心地よくて堪らなかった。
 すぐ隣に寝転がって荒い息を吐いているマルチェロが、ふーっと大きな息を吐いた。窓から目を離して、マルチェロの方を見れば、汗にまみれたマルチェロが、満足そうにゆるく笑った。


「あー。楽しかった」

「それはよかったな」

「アンタは?」

「楽しかった」

「そりゃ何より。疲れたから、ちっとだけ寝たら帰る」

「あぁ」


 マルチェロが目を閉じ、すぐに寝息を立て始めた。ビオンダはなんとなく裸のままのマルチェロにくっついて、自分も目を閉じた。お互いにまだ身体が熱を持っていて、くっついていると素直に暑い。それでも、全く不快ではない。
 愛のない行為でもこんなに楽しくて気持ちがいいのなら、愛があればどれだけ気持ちよくなれるのだろうか。結局、キスはしていない。今回のセックスは、単なるマルチェロの気紛れだ。
 ふと、ビオンダの胸の奥に虚しい風が吹いた気がした。マルチェロがビオンダなんかを愛することはない。誰もビオンダみたいな中途半端な身体の冴えない人間を愛することはない。セックスを経験できてよかったと思う反面、この熱と快感を知りたくなかったと思う自分がいる。知ってしまえば、きっとまた欲しくなる。自分で慰めるだけじゃ満足できなくなる。ビオンダは今更ながらに、早まったかと思ったが、後の祭りである。
 ビオンダは、せめて今だけでも幻想の中にいたいと思って、マルチェロの身体に寄り添い、そのまま穏やかな眠りに落ちた。

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