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シャワーを浴びてから、ベッドの上でディリオから貰った鞄の中身を全部取り出してシーツの上に並べてみる。
鞄にはローションのボトルと、色の違う3種類のオナホなるものが入っていた。オナホに触ってみると、ぷにぷにとした感触が手に伝わる。筒状で内側には小さな突起のようなものがいくつもあった。筒の片方は丸く閉じており、もう片方は開いている。この開いている方にペニスを突っ込むのだろう。3つのオナホを見比べてみると、どれも内側の突起の模様のようなものが違った。
とりあえず使ってみるかと、ズボンと下着を脱いだ。オナホの中にローションを垂らしてみる。ローションをどれくらいの量を使えばいいのか、いまいちよく分からないので、一先ずオナホの中がまんべんなく濡れる程度の量を入れてみる。中に入れたローションがシーツに垂れないように注意しながら、まだ萎えているペニスをゆっくりオナホに入れてみた。塗るつく突起がペニスを刺激する。根元までペニスを入れると、オナホごとペニスをやわやわと揉んでみる。ローションのぬるぬるした感触とペニスに触れる突起の刺激が割と気持ちいい。すぐにナイルのペニスは完全に勃起した。荒い息を吐きながら、オナホを動かす。気持ちいい。自分の手でただ擦るより全然いい。気づけばナイルはオナホの感触に夢中になっていた。激しくオナホを動かして、低く呻いてオナホの中に射精する。ハァハァと息を吐きながら中の精液が垂れないように、ゆっくりペニスを引き抜いた。なんだこれヤバい。
ナイルはオナホの魅力に目覚めた。






ーーーーーー
季節は過ぎ去り、トリット領に冬がきた。
凍えるように寒いなか、ディリオと並んでディリオの家へと向かう。ディリオは寒がりだそうで、かなり着ぶくれていた。
今日は泊まる日だ。こうも寒いと温めた酒が欲しくなる。しかし家主のディリオが飲まないのにナイルだけ酒を飲むのはちょっと抵抗がある。家に着いたら、とびきり熱い茶でも淹れてもらおう。

ディリオの家に着くと、寒い寒いと言いながらディリオが部屋の空調をつけた。しかし、家が割と古いため隙間があるのだろう。暖房の効きはあまり良くない。ディリオは家の中でもコートを着たまま台所に向かった。台所の方からすぐに料理の支度を始める音がしている。ナイルはコートを脱いで、椅子の背もたれにかけると、本棚からエロ本を取り出した。ディリオの家に通うようになって半年以上経つが、未だに全部は読みきっていない。兎に角本の数が多いのだ。最近知ったが、ベッドを置いてある部屋とは別の部屋にもエロ本が大量にあるらしい。たまに本棚の中身が入れ替わったりしている。ナイルが入ったことがないその部屋は、エロ本とオナホと実家から送られてくる保存のきく食料品で足の踏み場もろくにないそうだ。
ナイルは最近ハマりだしたシリーズもののエロ本を読み始めた。メインのヒロインよりも、ヒロインの友人の女の方がエロくて可愛い。主人公の男がヒロインと友人の女の3人でセックスを始めるところまで読み進めていると、夕食が出来上がったようで、ディリオが鍋ごとテーブルに運んできた。エロ本を閉じて本棚の元あった場所に戻す。


「今夜は水炊きでーす」

「なんだそれ?」

「肉とか魚とか野菜を出汁で煮て、酢醤油につけて食べるんですよ。粉末の唐辛子もお好みでどうぞ」


いい香りがする鍋の中を覗きこむ。ディリオが自分の皿に酢と醤油を入れ、少量の唐辛子も入れた。ナイルもディリオを真似して、皿に酢と醤油を入れる。唐辛子はとりあえず今は入れない。ディリオが肉や野菜をごっそり自分の皿によそった。ナイルも野菜と小さめの魚を箸を使って鍋から皿に移した。湯気の立つ熱々のキャベツを酢醤油につけて、口に入れる。熱いが、美味い。出汁の香りがいいし、酢醤油でさっぱりと食べられる。はふはふ言いながら、熱いうちに口に入れていく。半年も経てば、何年もあった食べ物を口に入れると感じる吐き気はだいぶ和らいでいた。然程抵抗なく魚も食べる。


「あ、具を食べきったら米を入れて雑炊にするんで、お腹に余裕残しといてくださいね」

「分かった」


熱々の野菜や魚で腹の中から身体が温もっていく。鍋の中身を殆どディリオが食べきると、鍋を持って再び台所に行った。熱い茶を飲みながら待っていると、そこまで待たずにディリオが鍋を持って戻ってきた。今度は蓋をしてある鍋をテーブルに置く。ディリオが蓋を取ると、熱い湯気と共にいい香りが鼻を擽った。見ると、米の上には溶いた卵がかけられていて、その上に緑色の刻んだネギが散らされている。
ディリオが持ってきた新しい皿に、食べられる量だけお玉でよそう。熱々の雑炊に息を吹き掛けて少し冷まし、口に入れる。肉や魚、野菜の旨味が出ていて、かなり美味い。ナイルは珍しくおかわりをした。

満腹の腹を抱えて風呂に入り、ベッドに寝そべってエロ本の続きを読んでいると、風呂上がりのディリオがベッドに腰かけた。


「班長」

「なんだ」

「一緒に寝てもいいですか?」

「は?」

「暖房つけてても、いい加減ハンモックはツラいんですよ。寒すぎて」

「……なら俺がハンモックで寝る」

「いや、一緒に寝てください。湯タンポになってくださいよ」


世話になっといてなんだが、男と同じベッドに寝るなんて普通に嫌だ。しかし、ディリオのお陰でかなり体調も良くなったし、食事もとれるようになってきた。母の夢を見て眠れないことも少なくなってきている。ナイルは少し悩んで、渋々頷いた。雑魚寝だと思えばいい。国軍に入隊したばかりの頃は、遠征訓練で野宿をして男ばかりで固まって寝たものだ。それと同じことだ。自分にそう言い聞かせてから、ベッドの端の方に移動した。ディリオが目を輝かせて、いそいそとベッドに上がる。そのまま2人並んでエロ本を読み、寝る時間になるとディリオが灯りを消した。ディリオに背を向けて布団に潜り込むと、ディリオが布団の中でぴったりナイルの背中に張りついた。


「……おい」

「あーったけぇー」


満足気な吐息をもらして、ディリオはすぐに寝息を立て始めた。確かに温かいが、男にくっつかれて割と不快だ。ナイルは溜め息を吐いて目を閉じた。背中にディリオをくっつけたまま、すぐに眠りは訪れた。

ふっとナイルは目が覚めた。目を開ければ、まだ部屋の中は暗い。首を捻ってベッドのヘッドボードに置いてある時計を見ると、まだ朝まで少し時間がある。寝直すか、と布団を口元にまで引き上げ、目を閉じた時に、それに気づいた。
尻に何か固いものがあたっている。位置的にあれか。ディリオのペニスか。勃起してやがるのか。ナイルは瞬時にディリオのペニスを握り潰すと決めた。しかし、ディリオの股間を鷲掴む前にもう1つのことに気づいた。自分も勃起している。朝勃ちだ。おそらくディリオも朝勃ちだろう。……ナイルは今回は見逃してやることにした。不快だが、男ならばしょうがない。単なる生理現象だからだ。ナイルは自分の尻の位置を少しずらしてディリオの勃起したペニスがあたらないようにしてから、今度こそ二度寝するために目を閉じた。

その日は2人とも仕事が休みだった為、昼近くまで眠っていた。
ディリオが作った朝食兼昼食を食べると、着替えてから2人で家の外に出た。買い出しの為に市場に向かうのだ。仕事の日はどうしても市場が開いている時間には行けない。一応勤務時間後にも開いている食品を扱っている店もあるが、市場で買うより高くつく。ディリオとナイルは休みの度に市場に買い出しに行って、食料品を大量にまとめ買いしていた。
冬は海産物が美味く、種類もいつもよりも多い。


「エビとイカ、どっち食べたいですか?」

「エビ」

「あ、カキもある。カキ飯もいいなぁ」


市場を回りながら、どんどん増えていく荷物を手分けして持つ。今夜はカキ飯とエビのすまし汁だそうだ。大荷物を抱えてディリオの家に戻った。買ってきた食料品を片付ける手伝いをして、終わるとベッドに上がって寝転がって、夕食が出来上がるまでエロ本の続きを読む。
休日は穏やかに過ぎていった。
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