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第一部
その299 新パーティ結成!
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それは、ランクBのモンスター討伐の依頼を消化した後の打ち上げ中に、聖女アリスがあげた話題だった。
「パーティ名? そんなものが必要なんですか?」
「ミケラルドさん、あなたこれまでずっとソロだったんですか?」
「んー、まぁ大体は」
パーティ組んだのなんて、カミナと一緒にダンジョンに潜ったくらいだろう。
リィたんとのアレはパーティというより蹂躙というか、完全にアレは競争だったしな。
「毎回臨時パーティの申請は面倒という事で、パーティ自体をギルドに登録して手続きを円滑にするんですよ。その際、パーティの名前が必要になるんです。これから私たちは……そ、そこそこの時間を共有するんでしょうっ? なら、必要かなと思いまして!」
恥ずかしがる聖女も中々に可愛い。
「へぇ、数時間前とは大違いですね」
「それは私の態度がという事でしょうか?」
そしてとても良いジト目だ。
「それ以外にありましたっけ?」
「ミケラルドさんには、何らかの天罰があればいいと思います」
「罰ならアリスさんが与えればいいじゃないですか。パーティリーダーなんだし」
「私をリーダーに祭り上げたのはミケラルドさんだったと記憶してますけど?」
「仕方ないですね、これからは私を聖女ミケラルドと呼ぶといいですよ」
「それのどこが罰なんですか!」
「やだなぁ、言ったじゃないですか。私、聖女って呼ばれたくない系の冒険者なんですよ」
「それは! 男だからでしょ! というか、この状況すら楽しんでますよねっ?」
「失敬な、超楽しんでいるんです」
「……ミケラルドさん、少しだけ法王陛下に似てますね」
それには俺も同意である。
「つまり、高潔で心優しく愛に満ちた人だと?」
「そこまでは言ってません!」
「へぇ、法王陛下ってそこまでじゃないのかー」
「そ、そういう事でもありません! いいから! パーティ名を決めましょう!」
「【聖女ミケラルド】でいいんじゃないですか?」
聖女とミケラルドだし。
「ないです! いえ、確かにそうなんですけど、それはないです! あ、オレンジジュースおかわりくださーい! 何か他のないですか?」
「【聖女アリスと法王陛下似の男】」
「もしかして根にもってます?」
「【小娘と青二才】。あ、こっちにもエールくださーい」
「もう少しカッコいいのがいいです」
そうか、歳の頃合いだと中二くらいか。そうか厨二か。
なら、言い出せないだけだろう。こっちから聞いてみよう。
「アリスさんは何かないんですか?」
「え? えっと……【白き翼】……とか?」
「ぐっ!?」
「ど、どうしましたミケラルドさん!?」
「いえ、思った以上にダメージが……」
「ミ、ミケラルドさんの案よりマシなはずです!」
「我々の背に白い翼が生えたら考えるべきパーティ名ですよ、それは」
「こういうのは少しくらい盛るもんなんです! 昼間お断りされたパーティの名前も【青雷】っていうんですよ! ポテトおかわり!」
「【大盛りポテトフライ】とかどうです?」
「完全に適当じゃないですか!」
「盛ったじゃないですか」
「絶対わざとですよね!?」
「えー、だって楽しいじゃないですか。あ、こっち野菜スープくださーい!」
「そ、それは……否定はしませんけど……」
おや、それは意外だ。
まぁ、これまでずっと仲間がいなかったのだ。
こういう場は不慣れでも楽しくないはずがない。
そう思って打ち上げに連れてきたんだが、どうやら上手い事ハマってくれたようだ。
「ミケラルドさんのその手甲、オリハルコンですよね?」
「え? あぁそうですけど?」
「私の杖もオリハルコンなんです! どうでしょう、【オリハルコンズ】というのは!?」
ぬぅ、今回は事実を元にしているからか断りにくい。
……が、このキラキラと瞳を輝かせるアリスに対し、これ以上否定するのも気が引ける。
まぁ、ここが妥協点か。
「わかりました、それでいきましょう。パーティ名【オリハルコンズ】」
「はい! それじゃあ申請してきますねっ!」
トコトコと小走りに、そして嬉しそうに駆けて行くアリスの何と可愛い事か。ありゃ成長するとモテモテだろうなー。
俺は背もたれに寄り掛かりながら後方に座る一人の男、雑談をしているように見えつつもこちらを気にする三人組、今しがたポテトを持って来たウェイターの女をチラリと見た。【看破】で視ればいい感じの悪意が感じ取れるな。
そう、アリスは悪意にモテモテだった。
こりゃあれだな、闇ギルドの一味だろう。
実力はそこまでない。高く見積もってもランクB前後だから聖女アリスの監視ってところか。
昼間には監視の目がなかったから、おそらく俺が付いた事による警戒か。闇ギルドは一体何を考えている?
聖女アリスの【聖加護】が目覚めては困るのか?
魔王を倒す事が出来ないと自分たちにも被害があるのではないか?
こちらから動いても波風を立てるだけ。
ならば泳がせる他ない……が、泳がせ方は俺が決められるはずだ。是非ともバタフライ遠泳で疲れてもらおう。
一瞬で背後の男に対し傷を付け、血をぺろり。
こちらの三人も気配を消して近付き、超スピードでぺろり。
何も知らず野菜スープを持って来たウェイターの女にも、
「失礼」
「え?」
爪の先を女の手の甲に刺し、血をぺろり。
指示は簡単。『上から命令の変更があった場合は知らせろ』という内容のみ。
彼らはいつも通り闇ギルドに仕える事だろう。
そして俺は、少しずつ闇ギルドの中核に迫るのだ。
「ミケラルドさん、終わりました!」
やる事が沢山だが、この聖女アリスの笑顔を見ていると元気が出てくるから不思議である。
「パーティ名? そんなものが必要なんですか?」
「ミケラルドさん、あなたこれまでずっとソロだったんですか?」
「んー、まぁ大体は」
パーティ組んだのなんて、カミナと一緒にダンジョンに潜ったくらいだろう。
リィたんとのアレはパーティというより蹂躙というか、完全にアレは競争だったしな。
「毎回臨時パーティの申請は面倒という事で、パーティ自体をギルドに登録して手続きを円滑にするんですよ。その際、パーティの名前が必要になるんです。これから私たちは……そ、そこそこの時間を共有するんでしょうっ? なら、必要かなと思いまして!」
恥ずかしがる聖女も中々に可愛い。
「へぇ、数時間前とは大違いですね」
「それは私の態度がという事でしょうか?」
そしてとても良いジト目だ。
「それ以外にありましたっけ?」
「ミケラルドさんには、何らかの天罰があればいいと思います」
「罰ならアリスさんが与えればいいじゃないですか。パーティリーダーなんだし」
「私をリーダーに祭り上げたのはミケラルドさんだったと記憶してますけど?」
「仕方ないですね、これからは私を聖女ミケラルドと呼ぶといいですよ」
「それのどこが罰なんですか!」
「やだなぁ、言ったじゃないですか。私、聖女って呼ばれたくない系の冒険者なんですよ」
「それは! 男だからでしょ! というか、この状況すら楽しんでますよねっ?」
「失敬な、超楽しんでいるんです」
「……ミケラルドさん、少しだけ法王陛下に似てますね」
それには俺も同意である。
「つまり、高潔で心優しく愛に満ちた人だと?」
「そこまでは言ってません!」
「へぇ、法王陛下ってそこまでじゃないのかー」
「そ、そういう事でもありません! いいから! パーティ名を決めましょう!」
「【聖女ミケラルド】でいいんじゃないですか?」
聖女とミケラルドだし。
「ないです! いえ、確かにそうなんですけど、それはないです! あ、オレンジジュースおかわりくださーい! 何か他のないですか?」
「【聖女アリスと法王陛下似の男】」
「もしかして根にもってます?」
「【小娘と青二才】。あ、こっちにもエールくださーい」
「もう少しカッコいいのがいいです」
そうか、歳の頃合いだと中二くらいか。そうか厨二か。
なら、言い出せないだけだろう。こっちから聞いてみよう。
「アリスさんは何かないんですか?」
「え? えっと……【白き翼】……とか?」
「ぐっ!?」
「ど、どうしましたミケラルドさん!?」
「いえ、思った以上にダメージが……」
「ミ、ミケラルドさんの案よりマシなはずです!」
「我々の背に白い翼が生えたら考えるべきパーティ名ですよ、それは」
「こういうのは少しくらい盛るもんなんです! 昼間お断りされたパーティの名前も【青雷】っていうんですよ! ポテトおかわり!」
「【大盛りポテトフライ】とかどうです?」
「完全に適当じゃないですか!」
「盛ったじゃないですか」
「絶対わざとですよね!?」
「えー、だって楽しいじゃないですか。あ、こっち野菜スープくださーい!」
「そ、それは……否定はしませんけど……」
おや、それは意外だ。
まぁ、これまでずっと仲間がいなかったのだ。
こういう場は不慣れでも楽しくないはずがない。
そう思って打ち上げに連れてきたんだが、どうやら上手い事ハマってくれたようだ。
「ミケラルドさんのその手甲、オリハルコンですよね?」
「え? あぁそうですけど?」
「私の杖もオリハルコンなんです! どうでしょう、【オリハルコンズ】というのは!?」
ぬぅ、今回は事実を元にしているからか断りにくい。
……が、このキラキラと瞳を輝かせるアリスに対し、これ以上否定するのも気が引ける。
まぁ、ここが妥協点か。
「わかりました、それでいきましょう。パーティ名【オリハルコンズ】」
「はい! それじゃあ申請してきますねっ!」
トコトコと小走りに、そして嬉しそうに駆けて行くアリスの何と可愛い事か。ありゃ成長するとモテモテだろうなー。
俺は背もたれに寄り掛かりながら後方に座る一人の男、雑談をしているように見えつつもこちらを気にする三人組、今しがたポテトを持って来たウェイターの女をチラリと見た。【看破】で視ればいい感じの悪意が感じ取れるな。
そう、アリスは悪意にモテモテだった。
こりゃあれだな、闇ギルドの一味だろう。
実力はそこまでない。高く見積もってもランクB前後だから聖女アリスの監視ってところか。
昼間には監視の目がなかったから、おそらく俺が付いた事による警戒か。闇ギルドは一体何を考えている?
聖女アリスの【聖加護】が目覚めては困るのか?
魔王を倒す事が出来ないと自分たちにも被害があるのではないか?
こちらから動いても波風を立てるだけ。
ならば泳がせる他ない……が、泳がせ方は俺が決められるはずだ。是非ともバタフライ遠泳で疲れてもらおう。
一瞬で背後の男に対し傷を付け、血をぺろり。
こちらの三人も気配を消して近付き、超スピードでぺろり。
何も知らず野菜スープを持って来たウェイターの女にも、
「失礼」
「え?」
爪の先を女の手の甲に刺し、血をぺろり。
指示は簡単。『上から命令の変更があった場合は知らせろ』という内容のみ。
彼らはいつも通り闇ギルドに仕える事だろう。
そして俺は、少しずつ闇ギルドの中核に迫るのだ。
「ミケラルドさん、終わりました!」
やる事が沢山だが、この聖女アリスの笑顔を見ていると元気が出てくるから不思議である。
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