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36話 3度目のレベルアップ
しおりを挟む結論から話すと銀スライムはまさにメ●ルスライムだった。
というのも5階層のボスを倒してもレベルアップしなかったが銀スライム1体でレベルアップする事が出来た。
実際銀スライムの方がかなり苦戦したし、当たり前といえば当たり前かもしれないが、タムタムに至ってはまたレベルアップしてるようだし、やはり銀スライムは膨大な経験値をもっているみたいだ。
体感的には以前のレベルアップより大きく強くなった気がする。
特に身体能力が以前とは比較にならないほど増した。
今なら少年漫画ばりの壁走りも出来そうだし、ジャンプで成人男性を飛び越える事も余裕で出来そうだ。
次の戦いで試すのが楽しみだな。
更にスキルも強化されたようで
【斬撃】は溜め時間が半減
10秒が5秒で威力が最大になるようになった。
これはかなり嬉しい。
更に通常時の【斬撃】での直接攻撃が1.5倍に
【飛ぶ斬撃】の範囲は3mにもなった。
正直、当初のスキルとは別物だよな。
次に【移動】は10連続発動が可能になり、インターバルは1秒
1度の移動距離も最大2mになった。
これって、もはや瞬間移動じゃね?
しかも体勢の移動も使えるし。
化けたねぇ~俺のスキル
あぁ強くなるって楽しい。
強くなるってこんなに楽しいのか
戦闘民族の気持ちがわかるな
「オラ、ワクワクすっぞ!」
「ニャ…?」
つい言葉に出てしまった。
どうやらレベルアップで気持ちがかなり高揚しているようだ。
普段なら絶対言わない言葉がほぼ無意識に出てしまった。
「オイ、やめろその目つき」
タムタムがめっちゃ冷めた目で見てる。
大丈夫か?こいつ、みたいな視線だ。
少しばかり冷静に戻された。
それにしてもタムタム、更にバージョンアップしたな
毛が更にもふもふになり、手足がゴツくなった。
少し小さめの虎のようなフォルムだ。
めっちゃかっこいいな
というか動物の場合、変化が激しいな。
もはや猫って範疇は超えてるもんな。
それにしてもタムタムを見てるとある欲求が溢れてくる。
「なぁ、お願いがあるんだが」
「ニャ?」
「おなかに顔を埋めさせてもらってもいいか?」
もふもふを堪能したいのだ。
俺は手を合わせて頼み込む
「……」
タムタムの返答は無し
"シュッ"
だが代わりに刃こぼれしたペティナイフがとんでもない速度で俺の額を掠めた。
髪が数本、ひらりと視界を舞う
「あっぶな!!何すんだっ!」
「シャァッ!」
俺が怒鳴るとそれを上回る怒りでタムタムは折れたペディナイフの切っ先をこちらに向け浮かべる。
ヤバい……これは本気の怒りだ。
「えーと、、そんなに腹を触れるのが嫌か?」
「ニャア」
その通りだとばかりに頷くタムタム
どうやらこの猫のガードはかなり硬いようだ。
目の前に極上のもふもふ天国があると言うのに触れないとは辛すぎる。
だが、こいつは俺の大切な相棒でもある。
ここは我慢だ。我慢。
「分かったよ。触らないからナイフを下ろせ」
「ニャニャ」
分かったならいい、次から気をつけろよ
と言っているようだ。
全く怖い猫だ。
それにしても、いつの間にか俺もタムタムも元の5階層のボス部屋に移動している。
勿論、ボスはいないし、銀スライムの扉も消えている。
どうやら銀スライムを倒すと出されてしまうみたいだ。
ゲームとかであるボーナス部屋みたいなものだろうか?
5階層のボスを倒せば銀スライムの扉が出現するかまた確認しないとだな。
それより5階層で終わりじゃなかったんだな。
最下層のボスを倒すとダンジョンの心臓と呼ばれるダンジョンコアと脱出の魔法陣が現れるらしいからな。
「どうする?6階層少し覗くか?」
「ニャン!」
勢いよく返事するタムタム
タムタムの武器は壊れているが、様子見だけだし大丈夫だろう。
「じゃあ、少しだけ見に行くか」
俺とタムタムは5階層のボス部屋の扉を開けたままの状態にして、6階層へ階段を降りた。
いつもより階段の段数が多いな
うん?両開きのドア?
今までは片開きのドアだったのに、ここにきてドアの形式が変わった。
「タムタム、油断するなよ」
こういう場合は必ず何か変化がある。
俺はタムタムに声をかけ、両扉をゆっくりと押し開いていく。
開いた扉の隙間が漏れ出す眩い光
「へ?……これは外?」
両扉を開けた先
そこは外の世界だった。
広がる青空、眩しい太陽
全身を突き抜ける爽やかな風
視界にいっぱいに広がる大草原
壁なんて一切見えない。
ガチでこれどうなってるんだ?
まさに異世界転移だ。
「今まで洞窟だったから解放感がハンパないな」
「ニャァァァ~」
タムタムも前脚を伸ばして、思いっきり背伸びをしている。
まさかここに来てダンジョンがオープンワールドになるとは……
それにしてもこの階層ってどれくらいの広さがあるのだろうか?
草原だが地形に起伏がある為、エリアの全貌が分からない。
草も場所によってはかなり生い茂っている所もあるし、警戒が必要だな。
俺が第6層について考えていると
「ニャ」
タムタムから声がかかった。
「うん?どうした?」
「ニャニャ」
見てみろ?
俺はタムタムの視線を先を見る。
ここからは数百メートル離れた場所に見える大木の近くに"そいつら"はいた。
子供くらいの身長に醜悪な容姿。
額に生える小さな角
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これは準備を万全にして臨まないとな。
「タムタム、一旦戻ろう。」
「ニャ」
俺とタムタムは準備を整えるためにダンジョンを後にした。
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