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25話 休暇と登録
しおりを挟む3階層ボス、黄スライム騎士の対策品の買物が完了した。
まず買ったのは、1着5万円のレインスーツを2着。
職人専用のホームセンターで買ったどんな液体も通さない完全防水の高級レインスーツだ。
更に冒険者ショップで冒険者用の靴を買った。価格は10万円とかなり高かったが、完全防水に加えてかなり頑丈、対腐食性もあるとの事で即買いした。
そして、今回最も高額だった買い物は"小さい傘みたいな盾だ"
届くのは明日の為、今手元には無い。
ステンレス製のシルバー色で直径50cmの開いた傘型の盾
重量は15kgくらいあり、かなり重いが今のレベルアップした俺なら持てる。レベルアップ効果に感謝だ。
ちなみにダンジョン雑貨屋のカタログから購入したのだが特殊なコーティングをしているとの事で価格は50万円もした。
よし!
というわけで今日は休養日にするか。
だが、その前に
「またお前か」
家に帰ると玄関の前で1匹の猫が毛づくろいをしている。
俺のキッチンに侵入したアメショーとシャム猫のMIXのような猫だ。
俺に絶対気づいているだろうに気づいていないように毛づくろいをしている。
またお前か、と呆れたように言いつつも内心は結構嬉しかった。
心のどこかでまた会えないかなと思っていたからだ。
というか会うつもりでいた。
「ほい!チュールだ!」
俺は買ってきた猫用のおやつ"チュール"を開け、少しだけ中身を出す。
次あったらあげようと買ったチュールだ。
これは絶対美味いやつだ。味は王道のマグロ味。
うん?興味がない。
猫は一切こちらを見ない。
いや、鼻がめっちゃ動いている。
後、尻尾が少し慌ただしくなった。
これは……我慢しているな。
どうやら興味と警戒の狭間に揺れているようだ。
ならばと俺は更に買っていた小皿にチュールを出して、その場に置き、少し離れる。
「大丈夫だ。食べてみろ。猫用だから口にも合うはずだ。」
すると猫はゆっくりと小皿に近づいていき、一瞬止まり、俺の顔を見る。
「捕まえたりしないって。まぁ、誰もが俺のような人間と思ってはダメだけどな」
そういうと猫は再びゆっくりと小皿に近付いていき、慎重に舌先でチュールを少しだけ舐め、次の瞬間には一気に食べ始めた。
よほど美味かったんだな。
まぁ猫用の麻薬と呼ばれるくらいだもんな。
それにしても可愛いな。
猫がご飯を食べてるそれだけでほっこりする。
野良猫に餌をあげるのは良くないし、俺の行為は間違っているかもしれない。
だが痩せ細った猫を見ると、あげてしまうよな……
と、気づけば猫は完食し、俺の方を見ている。
「今日の分はもう無いぞ。また明日な」
俺は両の手の平を見せて、何も持っていないアピールをする。
すると猫はかなり小さめにニャッと鳴いて去っていた。
俺の家の中庭の方へ
え?
お前、もしかして俺ん家の中庭に住んでいるのか!?
昔ながらの家のため中庭は比較的広い。祖父母の代の時は綺麗に木や草を手入れしていたが、今ではジャングル状態。
確かに猫の1匹2匹住んでいてもおかしくは無いか…
ま、いっか!
とりあえず飯食ってスマホでも触りながらゴロゴロしよう!
****
うーん、面白い漫画ないかなぁ。
俺は漫画アプリで漫画を読んでいると、一番下のバナー広告の部分に既視感?のある文字が目に入った。
"ゼアーズ"
どこかで聞いたような。
どこだろう…………あっ!あの振られた男だ!
確か換金センターで魔法使い風の女性に見事に振られていたあの男が言っていたアプリだ。
気になっていた俺は試しに広告をタップして、サイトのHPに飛んでみる。
なになに~
"冒険者専用人材マッチングアプリ"
書いている事を要約すると、
このアプリに登録できるのは冒険者のみ
冒険者がダンジョンを一緒に探索する仲間を見つけられるアプリ
仲間にしたい冒険者の条件を検索機能で見つける事ができ、パーティ申請をして、申請された相手が受諾するとチャットを開始する事ができるみたいだ。
なるほど、あの換金センターの剣士は魔法使いのパーティメンバーを探していて、あの魔法使いの女性とマッチングしたんだろうな。
だが1回目のダンジョン探索の内容か?見え見えの下心のせいかで振られたんだな。
うーん、まぁ確かにこの先、パーティメンバーが必要になる時は必ず来るよな。
というのもソロの場合だと、俺が動けなくなった瞬間、"死"だもんな。
仲間がいれば、俺を連れて脱出とかもできる。
試しにダウンロードして登録してみよう。
------------------
【名前】桜山咲太郎
【性別】男
【年齢】32歳
【企業】未所属
【ギルド】未所属
【パーティ】無し
【冒険者ランク】ランクH
【戦闘スタイル】剣士〈短剣〉
【魔法】無し
【経歴】無し
【冒険者歴】1ヶ月前
【スキル】《斬撃》《移動》
【自己PR】
6級ダンジョンを攻略中。現在、3階層
武器は短剣で機動性を重視した戦闘方法
企業やギルドには入っておらず、ソロで活動しています。
よろしくお願いします。
------------------
こんな感じでいいだろう。
後、スマホのインカメラで自撮り写真を撮って、完成!
我ながらいい写真だ。
これで登録完了っと。
なに?こちらからパーティ申請するには年間料金10万円が必要だと……ちなみに女性とDランク以上の冒険者は不要らしい。
なんとも不公平な。
だが、こんなものだよな現実は。
ちなみに年間費用を払わないとパーティ申請はできないが、申請受託はできるらしい。
とりあえずは無料会員で登録だけでいいか。
今すぐにはパーティメンバーは必要ないし、もしかするとパーティ申請が数件来るかもしれないしな。
さぁ、アニメでも見ながらゴロゴロするとしよう。
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