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7話 ダンジョン

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ついにこの日がやってきた。

ダンジョン初挑戦の日だ
この日に向けて筋トレも少ししたし、必要なものも買ったし準備は十分だ。

今の俺の装備はざっくり

頭 交通安全ヘルメット(白)/安全保護ゴーグル(クリア)
上 鎖帷子(上)/作業服(黒)
下 鎖帷子(下)/作業服のズボン(黒)
足 安全靴(黒)
手 軍手
他 リュック(大)

武器 短剣

こんな感じだ。
大体がワーク○ンで買い揃えた。
見た目は完全に工事する人だ。

一応、リュックの中には簡単な食料と応急処置用の医療グッズ、他にも色々入っている。

さて準備は万全、行くとしよう!
俺は自らの手で初めて水色の扉を開いた。

「すご……」

思わず声が出てしまった。
幅5メートルほどの土のトンネル、いや洞窟。
まさにイメージにあるダンジョンだ。
それにしても明るいな。
光源が無いのにかなり明るい。これがダンジョンの不思議。
ネットによると中に太陽があり、外のようなダンジョンもあるらしい。ダンジョンについては様々な諸説はあるが未だ解明されていない。

俺はダンジョン内に入り、扉をゆっくりと閉める。
そして、開ける。閉める。
開ける。閉める。うん、大丈夫。
閉じ込められる事はなさそうだな。

ついに冒険の始まりだ。

俺は短剣を抜いて、慎重に進んでいく。
これは現実、死んだら終わりだ。

ダンジョンを歩き進んでいくと、ひらけている部分が見えてきた。
俺は慎重に進んでいく。絶対何かあるよな

見えてきた。
俺は壁に背を付けて、開けた場所をそっと覗く。
やはり"いた"

かなり広い広場の中央にぽつんといたのは"魔物"
"スライム"だ。

見た目は水の塊だ。つぶらな2つの黒目がかわいい。
大きさは家にある90cmのバランスボールくらいで俺のイメージより大きめだ。
そして、体の中にサッカーボールくらいの赤い石が浮かんでいる。
あれがスライムの弱点である核のようだ。

スライムは最弱の魔物として有名だが侮ってはいけない。
年間多くの初心者冒険者が殺されている。
要因は奴の攻撃の一つである溶解液。
鉄をも溶かす溶解液を飛ばしてくるのだ。
また、奴の弱点である核はスライムの動きに合わせて揺れ動く。
それゆえに狙いが難しく、攻撃が失敗した所に溶解液の反撃を食らうのだ。

その為、多くの冒険者は初めてスライムを倒す場合は、仲間がスライムの周囲を走り回り、撹乱し、一人がその隙にスライムの核を破壊するのだ。

しかし、俺は一人だ。
囮作戦はできない。
だが問題ない。モーマンタイ!
落ち着いて確実に作戦を練っていけば倒せる敵だ。

まずは、スライムを知る。
ネットの情報で予習はしたが、同じ魔物でもダンジョン毎に違うこともあるらしいしな。

よし!やろう
俺は大きく深呼吸をして、心を落ち着かせる。

3.2.1、GO!!
心の中でカウントをとり、一気に広場に登場する。
相対する。スライムと俺
距離は10メートル程。

「さぁ、スライム!お前の攻撃みせてみろ!」

スライムはブルッと身体を震わせると次の瞬間
青い液体を飛ばしてきた。
俺は大きく横に跳んでそれを避ける。
どうやら溶解液の速度はそこまで速くないようだ。
避けた溶解液を見るとジュゥ~と言う音と共に地面をやや溶かしている。
全然避けれるが怖いな。

俺はスライムと一定の距離を保ちながら、スライムの溶解液を避け続けた。
それで分かった事は溶解液を一回放つと5秒程のインターバルがあり、また、溶解液を放つ瞬間は身体をブルッと震わせるようだ。
加えて溶解液を放ち過ぎたのか?スライムの身体が多少縮んだように感じる。
おかげで核が攻撃しやすい。

スライムについては十分知れた。
最初は心臓がバクバクしていたが、かなり落ち着いてきたし、そろそろ倒すか。
俺はスライムを中心に円を描くように走る。
すると溶解液が飛んできた。しかし、走っている俺に溶解液は当たらない。

ーー5秒以内

俺は一気にスライムに接近する。
短剣をスライムの核目掛けて横に薙ぐ。
スライムの体ごと核を切り裂いた。

「よっしゃ!」

核が斬られた瞬間、スライムの体は水のようになり、地面に崩れた。
更に数秒後、親指程の水色の石を残し、スライムは粒子なって消えた。

「ふぅ、勝った。」

ひと息ついた瞬間、全身に力の奔流が駆け巡った。

ーーこれは……これが!

レベルアップだ!!
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