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3章 3つ巴ベース編
69話 実力
しおりを挟む"やりづらい"
俺は高速で飛んでくる糸を切り裂く
ーー俺と塚平との闘いが始まった。
塚平のスキルは対魔族戦で見た
故に大体の対応はできると思っていた。
だが間違いだった。
"糸使い"
塚平の持っている"エキストラスキル"
極めて稀少な強力無比なスキル
それを身を持って実感していた。
まず、塚平の糸は糸であって糸でない。
まず硬い、斬った感触は鉄のようだ。
だが硬いだけで無く、柔軟性もあるため非常に切断しにくい。
更に粘着性もあり、伸縮性もある。
あれ?これ強すぎじゃないか?
改めて塚平のチートぶりに気づかされる。
「ははっ!やっぱり強くなってるね。」
塚平が爽やかな笑みを浮かべながら糸の塊を飛ばしてくる。
糸の弾丸だ。当たれば骨は折れるだろう。
俺は糸塊の軌道を読み、避け続ける。
うっ!
脇腹に鈍い痛みがはしる。
どうやら大きな糸塊に重なるように小さな糸塊を飛ばして来たみたいだ。
「どうしたんだい?避けてるばかりじゃ勝てないよ。」
そう言いながらも鉄のような糸塊を飛ばし続けてくる。
こうも打たれ続けるとフラストレーションが溜まるな
「ふんっ!そのドヤ顔、すぐに消してやる。そろそろ行くぜ……」
さて修行の成果を見せるとしよう。
俺の力がどこまで"和歌山最強"に通じるか
息を整え、精神を落ち着かせる。
【集中・改】
ーー感覚が研ぎ澄まされる。
まるで自分が世界に溶け込むような感覚
"集中・改"は"集中"が進化したスキル。
五感を限界以上に強化する。
その強化量は前スキル"集中"の非では無く、感覚的だが5倍は違うと考えている。
今回は"集中・改"を視覚に使用する。
視覚に使用する事で動体視力は勿論のこと、視野、視力も強化される。
俺は強化された視野で塚平を視る。
糸を放つ手、腕の動き、上半身、下半身、視線
塚平の全てを注視する。
徐々に視えてきた
俺は糸塊を左右に身体を揺らし避けていく。
手に注目して分かった事だが糸塊の放つ方向は指先の方向で決まるようだ。
要するに指の向き以外は全てフェイク
更に言えば、糸塊を放った瞬間動きが一瞬止まる。
おそらく糸塊の反動なんだろう
ならば、そこは狙わない手はない。
俺は深く息を吸い込み息を止める。そして発動……
【全力Ⅳ】
肉体を細胞レベルで過活動させ、限界以上の爆発的パワーを得る。
しかし、全力Ⅳを十分に扱うには通常の肉体では不可能。
初めて全力Ⅳを使用した時には、全身の筋肉が断裂した。
あれは人生史上で一番痛かった…
だが、お陰で俺の肉体をより鍛える事ができた。
超回復による強化ってことなのかもな
というわけで未だに口元に笑みを浮かべるクモ男の余裕を消してやるとしよう
ーー"三速"
【全力Ⅳ】を制御するために俺が身につけた技。
ーー5段回変速
数字が大きくなるほどスピードが増し、数字が小さくなるほどパワーが増す。
3速はスピード、パワーのバランスが最も良い。
全身が熱くなり、心臓の鼓動が速くなる。
筋肉が鼓動に合わせ、脈を打つ。
全身に力が漲る。しかし、一歩間違えば筋肉の膨張で骨が砕かれそうだ。
「どうしたんだい!動きが止まってるよ!!」
塚平が俺の異変を見逃さず糸塊を放っていく。
だが
ーー遅い!!
俺は地面を強く蹴り、糸塊に向かい突き進む。
加速して迫り来る糸塊を【集中・改】で動体視力を上昇させ、紙一重で避ける
「なっ!!」
塚原から驚きの声が漏れる。
予想通りのいい顔だ!
そのまま、距離を一気に詰める!
奴はまだ次の糸を用意できていない。
最大のチャンスだ!
俺は《心のナイフ》の峰でガラ空きの胴を狙う。
これで終わりだ!
"ダンっ!"
次の瞬間、俺の視界には地面が映り、直後に全身を強打した!
何が起きた!
パニックになる思考を一瞬で冷静に戻す。
おそらく俺は思いきり転けたようだ。
どうやら原因は足元。
俺の足元には奴の放った粘着性の糸が纏わり付いている。
地面に仕掛けたトラップによって脚が止められた。
クソ野郎が!
"一速"
俺は脚部に力を集中させ、糸の接着を強引に引きちぎり脱出。
その場から距離を取る。
「やってくれたな!」
頭に冷たい血の感触を感じながら塚平を睨みつける。
「へぇ~。やるね」
奴は余裕綽綽。
本当に腹が立つ。
「その余裕顔、今から消してやるよ!」
ここからが俺の本気だ!
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