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3章 3つ巴ベース編

67話 風呂

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「久しぶりの地上か……」

「ぷぅ……」

酷く久しぶりに感じる解放感と安心感
俺とパールは約一月ぶりに地上へと戻った。

「汚いな…」

俺はパールを見てボソリとつぶやいた。

「プっ!!?」

パールがギョッと目を見開いて俺から距離を取る。

どうやら俺の言葉を勘違いしたようだ。

「違うぞ……ダンジョン内は薄暗くて分からなかったんだが、俺たちの身体が汚れまくってるなって事だ」

「ププ??」

「要するに風呂入りに行くぞ。」

俺とパールは1ヶ月の汚れを落とすため風呂を探すことに


******

"ドンッ"

「来てやったぞ!」

俺はドアを押し開け、目の前の人物に開口一番言葉を発する。

「はぁ……」

目の前の人物は手を額に当て、深くため息を吐き

「いきなり過ぎないかい?後、ここは元高級ラウンジなんだ。その……泥だらけの靴と血塗れの身体で入ってくるのは…ねぇ?」

不愉快そうな面を向けてくるこの男は"塚原組"の組長。

"塚平 セツ"

紫のスーツを着こなした眼鏡の似合うインテリヤクザだ。
俺とパールは近くに風呂が無いかを探したが、見つからず。
いや見つけるのが面倒くさくなりここに来た。

「だんまりかい?僕は結構綺麗好きでね。あまり自分の領域が汚されるのは嫌いなんだ」

塚平から濃密なプレッシャーが放たれる。
そのプレッシャーは20回層のボス以上

本気で怒ってるな
このままだと闘いになりそうだ。

まぁそれもありだが

「汚してしまったのはすまない。風呂を借りに来た」

俺が理由を説明すると、塚平からのプレッシャーは消失した。

「ふぅ……君はいつも唐突だね。」

「すまない。ここなら風呂に入れると思ってな」

「あるよ。だからさっさと入ってきてくれ。誰か」

塚平は指パッチンを鳴らす
すると裏口のドアから黒スーツの屈強な男達が3人程現れた。

「「「お呼びでしょうか」」」

まるで軍隊のような揃った動作

「君達、彼をお風呂に連れて行ってあげてくれ」

「「「はい」」」

すると、こっちの方へ黒服の一人が歩いてきた。

「こちらの方へ。ちなみにサービスの方はどうされますか?」

「サービス?……いや無用だ。簡単な着替えを用意してくれるとありがたい」

おそらくサービスとはおそらく夜の街ならではのあれだろう。

「かしこまりました。ではまたこちらへ」

俺は黒服に導かれ、風呂へと向かった。


*********


風呂は予想以上に大きかった。
おそらく俺のために最高級の風呂を用意してくれたのだろう。
おかげで今まで汚れも疲れも吹っ飛んだ。

パールも身体を真っ赤にして喜んでいた。

「それにしてもパールまた大きくなったか?」

パールの身体を拭きながら改めて気づいたのだが、生まれた当初はサッカーボール大であったが、今では俺の腰くらいまではある。

「ぷぅ?」

可愛いのは変わらないが。
それにしても最初はゴブリン相手に苦戦していたが今では、ダンジョンのボス相手にも一人で立ち向かえる程になった。

「どんどん大きくなれよ」

俺はパールを優しく撫でる。

「ぷぅ~!」

つぶらな瞳を細めて喜ぶパール。
やはり可愛い

「さて、まだまだ修行をしたいのも山々だが、そろそろ行くか…大阪に」

「ぷぅ~!」

和歌山での準備は全て完了した。
ついに大阪の方角にある"最強への道"を探しに行くことができる。

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