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3章 3つ巴ベース編

50話 宝箱

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自然と目が醒めた。

どれくらい気を失っていたのだろうか?

しかし、身体の回復具合から数時間は気を失っていたのだろう。
まだ身体の節々が痛いが動けなくはない。

ーーパールは!?

気絶している場合ではなかった。
パールは相当重症だったはず

俺は身体の痛みも無視して飛び上がりパールのいる階段の方へ向かう。

パールが階段で横たわっていた。
良かった。気を失っているがまだ息もある。
だがかなり辛そうだ。

俺はパールを抱き上げる。

「絶対助けてやるからな。ほんとすまない!」

俺は傷ついたパールに謝り
急いで地上に戻ろうとしたが、頭の中で何かが引っかかり足が止まる。

そーいや、さっきのボス部屋に何かがあったような。
パールの元へ急いだからボス部屋の状況をしっかりと見てなかったが何かあったような。

「うーん、悩む時間がもったいない!」

俺は直感を信じ、ボス部屋へ戻る。

そこには、サイクロプスが消滅した後に残った"拳大の赤い魔石"と木製の宝箱が出現していた。

何か罠とかではないよな。
これが小橋君が言っていたボスのドロップアイテムなのか

俺はパールを抱いたまま、宝箱を慎重に開けた。

中には小さな巾着袋のようなものと緑色の液体が入った小瓶が入っていた。

確か異世界のアイテムには鑑定が使えるんだったな。
俺はその二つのアイテムに鑑定を試みる。

【中級回復薬】
傷を回復させる魔法薬。効果・中

【魔法袋・少】
50キロまで物を入れることが可能な魔法の袋


ーー回復薬!
効果から察するにこれをパールに飲ませれば

「パール、これを飲んでくれ」

俺はパールの口を手で開け、回復薬を流し込む。
すると変化はすぐ現れた。

パールの身体が淡く輝き、赤紫に変色した肌や傷が塞がっていく。
まさに奇跡の力だな

そして、光が収まった時、パールの傷はほとんどが治った。

「……ぷぅ?」

パチっとパールの目が開き、俺と目が合う。

「良かった。無事で!!」

俺はパールを強く抱きしめた。

「ーーぷっ…ぷぅっ!!」
「すまないっ!」

強く抱きしめすぎたようだ。
表面の傷は治ったようだが、まだ完全には治っていないみたいだ。

それにしても無事助かって良かった。
もしパールがと考えるだけで胸が痛くなる。
もはやパールは俺にとってかけがえのない存在になっているようだ。

「ぷぅ!」

パールが俺のすぐそばを見て短く鳴いた。

「どうした?」

パールの視線を追うと、そこにはサイクロプスの魔石が

「プゥ?」

「食べたいのか?」

「プゥ!!」

どうやら正解らしい。
おそらく、そこそこの価値はある魔石だろうが、今回の功労者はパールだしな。

「いいぞ!食べて」

「ぷぅーー!!!」

そういうとパールは魔石の方へとトコトコ歩いて行き、魔石にかじりついた。
ほんと美味しそうに食べるな。
魔物と魔石。もしかしたら何か関係があるのかもな

と思っていると、急にパールの身体がうっすらと発光した。
しかし、その発光はすぐに消えた。見た目には何も変化はない。

うーん、どういう事だ。
もしや……俺はパールを鑑定する。

********

名前 パール
種族 マルブー
スキル 食い溜め
    転がるⅡ
    弾力ボディII
    重量変化
             硬化

《ボールのように丸い豚の魔物。逃げ足が非常に遅いため魔物に狩られ尽くされ絶滅した種。》

********


あっ…増えている。

【硬化】のスキルが増えている。
おそらく名前からして身体の硬くするスキル
おそらくサイクロプスが使っていたスキルだろう

これはどういう事だ。
サイクロプスの魔石を食べたから獲れたのか?
でも他の魔物の魔石を食べても何も無かったが……うーん、考えても分からない。だが

「より強くなって良かったな!」

俺はパールの頭を撫でる。

「プゥ~!!」

どうやら新たなスキルをゲットできてパールも喜んでいるようだ。

ちなみにもう一つあった【魔法袋・小】は一言で言うと100キロの重量制限のある4次元ポケットだった。
生き物以外ならなんでも入るようだ。

これで物資の補給がずっと楽になる。
ボスドロップ万歳だな。

それにしても24時間は経っていないにしろ。
今日のところはここまでにして、そろそろダンジョンを戻るか。

初ダンジョンは波乱の連続だったが、成功と言っていいだろう。
こうして俺の初ダンジョン探索を終了した。
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