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3章 3つ巴ベース編
38話 少年少女
しおりを挟むなんだ…これは
「おい、逃げんなっ!」
「殺されろヤァ!」
広場に出れば、魔物は既にいなく5名のブレザーを着た高校生くらいの少年少女が転がるパールに対して攻撃を行っていた。
おそらくパールを魔物と勘違いしているのだろう。
俺は急いで割って入る。
「待て!そいつは俺の眷属だ」
俺の言葉に少年少女達の動きが止まる。
「プゥーー!」
その間にパールが俺の元に駆け寄ってくる。
ちなみに魔物を眷属にする者の存在は珍しいが、人々の間では既知の事実らしい。これも剛健隊の隊長から聞いた話だ。
それもあって俺は簡単に解決できると考えていた。
「あ、そうなんだ」
金髪のやんちゃそうな少年がポツリと呟いた。
「あぁ、そういう事だからじゃあな」
ここにいても仕方ないし元来た道を一旦戻ろう
俺が踵を返そうとした時、俺の真横を何かが通った。
はっきりとは見えなかったが、石のようなものだった。
「なんの真似だ?」
拳程度の石であれ、当たれば死ぬ可能性もある。
明らかに常軌を逸した行為だ。
「まぁ待てよ、その丸い豚置いてけ」
金髪の少年がパールを指差して言う。
「何を言っている?」
イラッとゲージが僅かに上がる。
だが落ち着け、こいつらはただのイキった高校生なんだから
「はぁ、お前アホなの?その豚は俺らがもらう。置いてけ」
金髪のイキった少年がわざとらしくため息をつく。
ふぅー、我慢だぞ……俺
「お兄さぁーん、その豚ちゃん置いて逃げた方がいいよー」
からかうように忠告してきたのは隣の茶髪の少女
「ガチで諦めるのが身のためだぜ。正人の強さ半端ねぇから!」
「ってか動けないじゃね?」
「えー私もその豚欲しいなぁー」
少年少女達が勝手に話を進めていく。
はぁ、完全に俺を舐めている。
そして、再び正人と呼ばれた金髪の少年が口を開いた
「おい、はやく豚よこせよ。どうせ低ランクの魔物だろ?」
「無理に決まっている」
「はぁ、じゃあ少し痛い目にあってもらうぜ」
「お兄さん!やばーい」
「死ぬんじゃね、あの男」
「俺らも手伝おうか?」
「豚は生け捕りにしてねー」
「助けはいらねぇよ!あ、そうだ。一つ教えといてやるよ。俺は"夜明けの鐘"のダンジョン選抜メンバーだから」
"夜明けの鐘"は学生のみで構成されたベースと聞く。しかも、その規模は巨大で近畿内にて各支部が存在するらしい。
この金髪のイキった少年は、その集団の中でダンジョンを捜索する事を許された。いわゆる戦闘力に自信があると言う事か
「それで?」
選抜メンバーとか夜明けのがとか正直俺にはどうでもいい事だ。
「お前舐めてんのか?ぶち殺す!!」
どうやら金髪の怒りに触れたらしい。
ウエストポーチの中から野球の球くらいの鉄球を取り出し、振りかぶった。
「死ね!【投擲】!!」
スキル名を叫ぶタイプってわけか
金髪の放った鉄球が俺に向かって飛んでくる。スキルの力だろうかかなり命中精度だ。
だが俺の動体視力はしっかり捉えている。故に避けることは容易い
「なっ!運のいい奴だ!死ね!」
続けて鉄球を投げてくる金髪
かなりの速度だが正直当たる気がしない
ひたすら避け続ける俺 。すると
「避けてんじゃねぇぞ!!!」
勝手にキレ出した金髪
「おい、お前らも手伝え!」
「いいよー」
「そこそこやるみたいじゃん」
「よし出番キタァ」
「はーい」
他の4人もどうやら参戦するみたいだ
正直、これくらいじゃねぇと訓練にもならないしな
後、流石の俺も腹が立っているしな
「おい、さっさとかかってこいよ。ちょっと教育を施してやる」
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