8 / 70
1章 始まりの街
7話 レベルアップ
しおりを挟むーーどれくらい戦っているのだろうか
時間感覚が麻痺してきた。
この感覚は時間を忘れ残業したワーキングハイの時のようだ。
辺りに充満する血肉の臭い
死亡後は消滅するといえど、飛び散った血は消滅しないらしい。
地面に無数の転がる緑の魔石
まだ消滅前のゴブリンの死体も大量に転がっている。
ヤバイ……気を失いそうだ
調子に乗ってゴブリンを倒し過ぎた。
3本持ってきたナイフは全て刃が折れ、柄だけになっている。
武器を失った。何とか体術のみでさばき続けているが、そろそろヤバイ
何故なら、今俺は囲まれている
「「「ギャギャギャギャギャギャ」」」
「「「ギャギャギャギャギャギャ」」」
「「「ギャギャギャギャギャギャ」」」
「「「ギャギャギャギャギャギャ」」」
12体のゴブリンに
武器も無い状態でだ。
四方八方から襲いくる攻撃の嵐を全力で避け続ける。
正直、死にそうだ…ってか身体の所々の骨が折れている。
そして、何より出血により意識が朦朧としてきた
俺は全力で地面を転がり、ゴブリンの群れから抜け出す。
そして、全力で疾る!
人間死ぬ気になれば、何でも出来るのは実証済みだ。
俺は全力で走って、走って、拠点にたどり着いた。
拠点に戻った俺は残りの力を振り絞り、鍵を閉め、そのまま気を失った。
******
「うっ……」
霞む視界が鮮明になっていく。
起きた瞬間の妙な静けさが気持ち悪い。
どれくらい眠っていたのだろう
かなり眠っていたような気がする。
それにしても身体が軽い、というか力が漲る。
うーん、もしかして
「ステータス!」
*****
名前:宮川 秋
固有スキル :回復強化Ⅱ
*****
あれ?回復強化が回復強化Ⅱになっている。
何が変化したのだろうか?
《回復強化Ⅱ》
回復速度の向上
状態異常の半減
状態異常の半減が追加されたらしい。後、感覚でしかないが回復速度も上がった気がする。
うーん、だが、これじゃないんだよな
俺は毎日の筋トレ、スロー素振りにより自身の肉体を確実に把握している。
だからこそ分かる。
明らかに身体能力が向上している。
段階的に強くなったようだ。
そう、ゲーム的に言うとレベルアップのように
だがレベルアップの表示は無い。
しかし、戦闘による経験値のようなものがあるのかもしれないな。
レベルの存在を検証するため、俺はゴブリンを倒し続けた。
しかし、よくあるRPGのレベル制とは違うようだ。
敵を1体倒すことによって経験値が得られ、ある一定の値を超えるとレベルアップするのがレベル制
だが違った。
俺の検証で分かったレベルアップの条件仮は
・命を賭けた戦闘
・心身共に限界を超える
そのため、今の俺ではゴブリンを何体倒してもレベルは上がらなかった。
しかし、ゴブリンの巣らしき場所に突貫した際、50体程のゴブリンが襲いかかって来た際は、本当に死にかけた。
右腕は完全に折れ、全身は傷だらけ、そのまま拠点にも帰れず、生死を彷徨った。
正直、回復強化が無ければ死んでいただろう。
おかげでレベルアップは出来たが、やはり死の恐ろしさを痛感した。
もっと強くならねば、
俺は今の鍛錬量を1.5倍に増やそうと心にきめた。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる