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23.フロックリンのオーク騒動

尊敬されるデーブン

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僕たちは荷物運び情報ギルドに入り、受付にオーク討伐について行くためにはどうしたらよいのか聞いてみた。

僕たちの話しを聞いた受付の人は「ちょっと待っていてください。」と言って他の部屋に行ってしまった。

少し待っていると受付の人とは違う人が現れ、僕たちは別室に案内された。

「初めまして。先日お姿を拝見し、お声掛けさせていただきたかったのですが、ようやく願いが叶いました!」

お、おう。テンションが高い・・・。

「ちょっと丁寧すぎるよ。もうちょっと気楽に話してよ。」

「すいません・・・。憧れのデーブンさんから聞いていたお姿をこの目で拝見できたことに感動しています・・・。」

デーブンが、憧れ・・・。

「デーブンさんは常々ラウール達に敵対するなと言っています。そのラウールさんを生で見ることが出来るなんて・・・、感動です!」

「ちょっとわかったから話を聞いて。僕たちは荷物運び情報ギルドからオーク討伐の集団に入ることが出来る?」

「もちろんです! あなた様方が言う事に反対など致しません!」

ちょっとはギルドとして考えて・・・。

「じゃあ、僕たちはオーク討伐に行きたいからお願いするよ。」

「かしこまりました! 一応ですが荷物運び情報ギルドプレートをお貸しください。」

そう言われ僕たちはデーブンからもらっていたプレートを渡した。

「これが憧れのプレート・・・。このプレートを持つ者がいう事は、デーブンさんが言っている事と一緒と言うあの・・・。」

えっ、そんなプレートなの?
僕には見分けがつかないんだけど・・・。

「失礼しました・・・。これは我々の組織の一部の者だけが知る秘密です。更に言うと、デーブンさんが信頼してくれた者だけが知ることが出来る情報です! あー、この目で見ることが出来た・・。」

「そう、そうなんだ・・・。」

「そうですよ!」

興奮している職員だが何か手続きを進め、僕達にプレートを返してきた。

「この中で表面上一番ランクが高いのがヤマト様ですね。次がクロウ様。続いてラウールさん、サクラ様、ソフィア様です。」

なぜ僕とデーブンはさん?
それにクロウにもプレートがあったなんて・・・。

「あっ、説明していませんでした。我々はデーブンさんを親しみを込めてデーブンさんと言っています。そのデーブンさんの信頼するラウールさんも、こちらではさんをつけてお呼びさせていただきます。」

「それはいいんだけど、もう少し言葉を崩して。さんって呼んでるのに、そんなに丁寧に話されても。それに、他のメンバーも様はやめてあげて。」

・・・・
・・・・

「わかりました。それでは皆様をさんで呼ぶことにします。私の事も気安く読んでください。」

「いいよ。だけど名前は?」

・・・・
・・・・

「あ~! 名乗ってませんでした。私の事はシャムルと呼んでください!」

ようやく名前を知ったシャムル。
デーブンとは違い、どこかの執事のような中年男性だ。

その流れのまま僕たちはオーク討伐に同行できることになった。
内容は、冒険者と役割は違うので、後方で食料や回復薬などを運搬する。
魔道具も使用して安全に運ぶ。
現場と街の情報をつなぐ役割を持つ。
護衛に冒険者が付く。
撃ち漏らしたオークが向かってくる可能性もあるので、最低限は身を守ることが出来る人員を選ぶこと。
他にはこまごました仕事があるようだ。

僕たちはシャムルから依頼の受注証を受け取った。
出発は十日後で昼前に荷物運び情報ギルドに集合。
馬車はギルドで準備するが、自前の馬車も使用可。
冒険者百名に荷物運び情報ギルド員が十五名。
騎士は千名を予定し、物資はお互いに融通しあう事になっているそうだ。

そんな話を聞いて僕たちは一度領都を出てから間の森の拠点に戻った。

~~~~~

魔の森の拠点で僕たちは話し合いをした。

「僕とサクラは黒以外の装備にしよう。それに、クロウはどうしよう? ばれないと思うけど、クロウも目立つしな~。ソフィアとヤマトもどうする? 今回は冒険者でないけど。」

「俺は商人の格好でもいいぞ。他には、荷物運び情報ギルドの職員の格好でもいいぞ。」

荷物運び情報ギルドの職員・・・。
地球で言うポロシャツにチノパン・・・、模様は・・・。

「やめておこう。ヤマトは適当な革鎧に緑のマントにしよう。」

「私はどうしましょう? 冒険者とも商人とも違う格好とはどんなものが良いのでしょうか?」

「ソフィアも適当な革鎧に緑のマントにしようか?」

「ラウール、それじゃあみんなで緑のマントにしたらいいんじゃないの? わざわざ考えなくても。」

・・・・

「そうだね。それでいいね。」

「我は?」

「クロウも何か着るの?」

「我はこのまま!」

じゃあなぜ聞く・・・。
最近のクロウは言葉の成長が著しいな。

「装備は決まったけど、馬車はどうする? ゴーレムを馬に見せることが出来るから、自前の馬車で行く?」

「「「「もちろん」」」」

快適さには勝てなかった・・・。
僕もだけど、この世界の技術の馬車より快適だしね。

そんなこんなで十日後まで時間が出来てしまった。
その間は何をしていようかな?
商売に出るか、領都の店の価格調査をするか?
時間が出来て何をするか迷うラウールだった。
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