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18.王国貴族の手伝い

戦力確認と驚き

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次の日4人は街の外にいた。
サラシトの街から南東に行き、ラシーア帝国との国境線より手前にいる。
移動中もゴブリンをはじめ、ウルフ、ワーム、トードなど様々な種類の魔物が出現した。
これまで街の外を移動していて一番多い魔物の数だ。

道をそれて森の中に入っても同様で、今までのエンカウント率を大幅に上回っている。
何かは起きているようだ。

「じゃあこの辺でいいかな? 僕とサクラはここに来るまでの間魔物を倒してたから、もういいかな?」

そう、ラウールとサクラは魔物を確認すると同時に倒していた。
クロースとクリスは魔物が倒される場面しか見ていなかった。

「そうだな。ラウール達は昔以上に強いことだけはわかった。しかし、どこまで強いのかは俺の実力が低くてわからん。だが、俺とクリス、あとはクロウの実力の確認だな。」

「うん、なるべくクロウの敵は強いやつでね。クリスは一人で戦う? それともクロースと連携する?」

「私たちは危険もあるので、クロースと2人で行きます。もし怪我をしたら、回復をお願いします。」

「任せておいて。欠損部位迄なら治せるから!」

「それって、死ぬ手前までやれと!!」

「まーまー、あっちの方向から3匹の魔物が来てるから、任せてもいいかな?」

「おう! ちなみに魔物の種類はわかるか?」

「ただのオークかな。」

そう聞くとクロースとクリスは武器を構えた。
クロースとクリスは共に片手剣と小盾を構えた。

オークが僕たちに気づくと、突進してきた。
オークもこん棒のようなものを振り回しているが、危なげなく小盾で防いでいる。
そしてこまめに剣で切りつけ、傷をつけている。
何度かの攻防を経て、オークは残り1匹になり、クロースが首を切り落とし勝負がついた。

「やるじゃない! 危なげなかったね。まー私だったらロマン武器で3振りね!」

「サクラと比べられてもね~。でも私もクロースも強くなったでしょ?」

「うん、十分強くなったね。じゃあ次はクロウの出番だけどいい?」

「我頑張る!」

「「頑張りすぎない!」」

「我、ほどほどにする。」

クロースとクリスは何のことかわからないような顔をしている。
クロウが頑張るのはいけないのかと考えていた。

「我見つけた! あの魔物は? ラウール、あれでいい?」

先ほどよりも強い気配がする。
オークの次はオークソルジャーがいた。

「まー弱いけど、ほどほどにね?」

ラウールはオークソルジャーに向け意識を飛ばした。
その気配を感じたオークソルジャーはラウール達に向かってきた。

「我求む森の魔力 目の前の魔物を討て 風の踊り」

クロウがそう詠唱すると、次の瞬間にはオークソルジャーが細切れになっていた。

「クロウやりすぎ! クロースたちが何をしたのか分からない顔をしてるだろ!」

「我失敗!」

クロースは固まっていた。
クリスは目を見開いていた。
目の前で起こった現象が分からない・・・。
手加減・・・、しているんだよな?

「ラウール? クロウは・・・・、何者?」
クロースはようやく声を振り絞った。

「クロウは僕の従魔だよ?」
ラウールも何を言っているんだと言うようにクロースに返事をした。

「そうじゃなくてっ!」

4人でクロウについて話をした。
あまりの強さにお揃いた二人。
相手が弱くて、強さを見せることが出来なかったと思っている二人。
話がかみ合わない。

あーでもない、こーでもないと言いながらも、クロウの強さを説明している。
接近戦でも強いことも付けくわえると、クロースは天を仰いだ。

「クロウの強さはわかった・・・、と思う。」

~~~~~

「さて、じゃあ戦力もわかったことだし、どうやって依頼を達成したらいいのかな? クロースは何か聞いてる?カーシン伯爵は僕に何をさせたいのかな~?」

「そこに気づいてたか。そう、言葉では解決してほしいと言っていたが、実際は国でも調べている。家では話せないこともあるから、俺を通して詳しい情報を聞くことになる。」

「えっ? どういうことラウール? クロース?」
サクラは何も思いついていなかったようだ。

「いくら僕がSランク冒険者だって言っても、国と国の事を全面的に任せるってことはないよ。それに、僕達だけで行動したほうが魔物には負けないでしょ? それなのにわざわざクロースをねじ込んできたなよ。そこに何かがあると思うでしょ?」

「えっ? 何があるの?」

「さっきクロースが言おうとした続きだから、聞いてみようね?」

サクラとラウールはクロースの方を向いた。クリスはある程度の事情は分かっているようだ。

「じゃあ続きを言うぞ。俺はある意味伝令役だ。一緒に行動はするが、戦力として当てにしないでくれ。クリスと俺で、自分たちの身は守る。だから、【黒猫】として伯爵から魔物の討伐依頼を受けたことにしてくれ。できるだけ多くの魔物がいるあたりを殲滅してくれ。そうしているうちに、国かラウールに何かをしようとする奴が出てくると思う。その出来事が起きたら十分だ。後は国の方で何とかするそうだ。」

「もし何も動きがなかったら?」
サクラは疑問だった。もし何もなければ、無駄ではないかと。

「それは、魔物が増えていることで、犠牲になる人が増えている。だから、魔物を殲滅してくれるだけでも十分なんだ。それに、他の信頼できる人たちもそれぞれ行動している。その中で何か一つにでも反応があれば突破口が開けるんだ。」

サクラもなんとなく納得したようだ。

「じゃあ僕たちは強そうな魔物が出たと言う情報を集めて、順番に殲滅していく形でいいかな?依頼は冒険者ギルド経由でないけど、情報は誰かがくれるんでしょ?」

「おう! 俺が家に帰っているときに情報の受け渡しがある。すべての情報の中心は親父になる。だから親父の方針に従う事になるがな。」

ラウールとサクラは一応小声で話し合った。
一度引き受けたから受けないと言う選択はないのだが。
サクラも疑問が解けたのか、同意してくれた。

「じゃあ私もいいわよ。殲滅作戦で私たちは目立つの? それとも目立たないようにしたほうが良いの?」

「ん~、普通にと言いたいところだが、出来れば目立ってほしい。不本意かもしれないが・・・。」

ラウールが普段から目立ちたくないと言っていたことをクロースは覚えている。
そしてサクラも目立たないようにしていたことも。
だが目立ってっもらえたらそれだけ接触してくる人物が出てくると親父も言っていたから。
クロースは悩んでいた。

「いいよ。僕はそろそろ目立たないことをあきらめてきたから。サクラはどう?」

「私はまだ不安があるけど・・・。でも目立ってきても、何かあったらラウールは守ってくれる?」

「もちろん! 僕のチートに賭けても全力で守るよ!」

「じゃあ目立ってもいい! ここはニャンの者も登場する?!」

「それは・・・。」

「「ニャンの者?」」

ラウールとサクラは説明した。
あのダンジョンの出来事を・・・・。

説明した後は爆笑されたが、魔物殲滅作戦がこれから始まる緊張感が少なくなった一コマだった。

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