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10.テザン皇国への旅路

テザン皇国への国境

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町から村、時に森の中で野営をしながら先へと進んだ。移動馬車や徒歩、時にはサクラと走って競争して。徐々にブレットンに近づいてきたが、追手に出会うことはなかった。
時々会うオークも、僕は一思いに殲滅するつもりでいたが、サクラの戦闘経験が少ないため、色々と試しながら倒していた。
それでもサクラが傷つくこともなく、僕たち2人は強いと感じることが出来る移動時間だった。
ブレットンへ案内する看板を見つけた後は、街道からそれて、南西の国境に向けて森の中を進んだ。
森の中でもオークがいたが、特に苦戦することもなく進むことが出来た。そして気配察知で人の気配が多く感じられ、国境がもうすぐのところまで到着した。

「サクラ、前に3人いる。おそらく敵だ。誰かを探しているのか、相手も気配を探っている様子がある。」
そうサクラに小声でつぶやいた。

「そう、やはり追手はいたのね。国境はもうすぐだっていうのに・・。どうするラウール?」

「僕はサクラにとってはひどい選択かもしれないけど、人を殺す経験をしてほしいと思っている。これから先、盗賊とかに会った時にためらわないように・・・、自分が傷つくことを避けるために。相手が敵対してるんだから、遠慮はいらないと思う。」

サクラは考えている様子だ。前世ではそんなことは一般人には不必要な行為だったから。それでもこの世界では必要なことだから。

「わかったわラウール。だけど、私も経験したことがないから、出来たら1人だけにしてもらえたら・・・。」

「もちろん。ありがとう、無理を言ったけどこちらこそお願いします。僕が2人を無効化するから、サクラは、右の人に集中して。」

「わかったわラウール。じゃあ行きましょ。」

2人は気配のある方向に近づいて行った。
そして、相手が気づく前にラウールが魔法を使い、左2人を葬った。エアカッターを一発放っただけであった。

そしてサクラは目の前で唖然としている人の目の前に姿を見せた。

「こんにちは?あなたは誰?」

目の前の男は視線をサクラに移した。
「お前が繁栄だな?ようやく見つけた。俺たちと一緒に来い!」

「は~、いきなり一緒に来いなんて下手なナンパ?一緒に行くわけないでしょそんな人と。」

「いいから来るんだ。お前もいい思いが出来るんだぞ!」
男はサクラに近寄りながら言葉を発していた。そして徐々に何かをわめきながら、もう5歩程度でサクラの手が届く所まで来て立ち止まった。

「できるだけ怪我をさせないように言われている。痛い目にあいたくなければおとなしくこっちに来い!」

「そんなところで叫ばなくても聞こえてるわよ。そして答えは・・・嫌・・・よ。」

その返事を聞いた男は懐からナイフを取り出しサクラに向かってきた。
「じゃあ少し痛い目を見るんだな!」
そういいサクラに向かって走り出し、ナイフをサクラの足に向け投げつけた。
サクラはナイフを躱し、剣を抜き男に向かって構えた。そして目の前で蹴りを放とうとしている男に向け、縦に、足をめがけて振りぬいた。
「ぎゃー!!」
と振りぬいた剣で足を切断された男は、叫び声をあげてバランスも崩し倒れこんだ。
「下手なフェイント。丸見えだけど。」
そういって、倒れた男の首に剣を突き刺した。

・・・・・・
・・・・・・・

「怖かった・・・。人と争うなんて・・。ギルドで目の前で怖い顔をしている人がいても、まだ現実感がなかったみたい。こうやって初めて刃物を人から突き付けられて・・・、初めて怖さを本当に感じた気がする・・・。魔物とは違う感覚・・・。」

「うん、頑張ったよ。それが生きてるって感覚。僕は0歳からで、そして両親と徐々にステップアップしていったからよかったけど、サクラはいきなりだから、ゲームのような感覚もあったと思うよ。」

・・・・・

「うん。ゲーム見たいだったと思う。けど、怖くて、やらないといけないと思って。けど時間をかけるほど恐怖が来ると思って・・・。これが、この感覚が・・・。」

「だけどこの世界で生きていくには必要なこと。僕も初めての時はもう、落ち込みすぎた。けど、僕の周りには僕を心配してくれる人がいた。だからサクラには僕がついてるよ。君は君の敵を倒した、そして倒した敵は、このままにしていたら、もっと不幸になる人を増やす。」

・・・・・・・

「・・・もう少し時間は頂戴ね。多分大丈夫、何とかなる・・・。」

そういって、サクラの初めての対人経験が終わった。
僕は安心した。ちゃんと敵だったと。使わないといった解析を使い、魂に刻まれた言葉、暗殺者と言う言葉が正しかったと。
これからは、味方には許可を得ないで使わないが、敵には解析も使用していこうと思えた。

「よし行こう、国境へ!」
そういってラウールは死体を魔法で穴に埋めて先に進んだ。
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