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第四章 不思議な世界
第百四十一話 妖精の使い道
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僕たちはラーバンストから今の状況を聞いた。
何でもアルグリアン王国でもサポイタンヒュージュン病らしき病が流行り出した。これはまあ普通に治療出来るのだが、それでも治らない人が出てきた。
そんなときに余裕がある――――バイアント王国より余力があったアルグリアン王国が、妖精を素材にした薬品で治療できたと言う昔の論文を探し出した。
その論文を読んだラーバンストは早速素材である妖精を探しに旅に出た。――その旅先がナイデラ交易国だった。
ナイデラ交易国は貿易で何でも集まって来る国になっている。だから探し物が見つかると思って移動した。
そして移動後にオークションに出品されている妖精のことを聞いて、競り落としたら何かのヒントになるのではないかと考えたそうだ。
だが僕たちに会って、僕たちに依頼をしたらなんとかなる――――費用対効果でも僕たちに頼むみたい、――俺の気持ち的にも、とラーバンストが言った。
僕たちに何とかしてもらった方が確実だと考えたらしい。
……
……
「サポイタンヒュージュン病的な病気は僕たちも気にしてたけど……アルグリアン王国でも流行ったの?」
「ああ、国で把握しているのはオークション市――西大陸から感染が拡大していると分析されている。……だろ?」
「何も言うことはないよ――――Sランク冒険者の一般人だし」
「――Sランクがつくほどの冒険者のな……。だからこそ頼みたい、この病気に対抗する手段を!」
――ラーバンストが頭を下げた。
「ん~、ラーバンスト……呼称は付けないで話をした方が良いと思うから、このまま話を続けさせてもらうけど、流石に妖精を犠牲にするのはなしで動くからね。いくら大勢の人を助けるためって言っても、妖精族でしょ? それを材料にするって……」
「流石に俺でも命を奪うなどであれば考えんよ。だけど、言い訳かもしれないが羽だよ、羽が薬の材料として書かれている文献を見たんだ」
「羽? 羽も奪っちゃうと回復が大変でしょ! 下手をすると二度と生えないだろうし!」
「――ああ……」
僕たちは昼飯を食べながら話を続けた。
――結局はラーバンストが助けてほしいと懇願し、僕たちは妖精を材料にしないで何とかしよう! と言うことの繰り返しだったが。
……
……
「さてーーー、午後の部を始めますか! ――ここからは暗くなるまで続くので、よいこは気をつけて帰ってね~。最後までいるなら――――危険を感じたら我が精鋭を紹介しよう! ――格安で!」と言う司会の人の話でオークションが再開した。
僕とラーバンストはアルグリアン王国を助ける事では同意した。オーション市には弟子も多いから、何かはしてあげたい。
「――お~、これは八十万Eで落札です!」
……
「――おめでとう! あなたは幸運を百万Eで勝ったよ!」
……
「――ん、これがそんなに安く……」
……
「目玉商品を落札おめでとう!」
……
「魔法袋がそんな値段で……これはあなた! ――特級なマジックバッグですよ!」
……
「――あなたは何を作るのですか! ――竜の鱗であなたの守りも特級!」
……
……
「――さあ最後になりました……。勿論最後は目玉商品の一番目…………妖精だーーー!! ――この妖精を手にいれた方法は合法だぞ……。食べたいものを好きなだけ食べ、お金を全く持っていなかったんだ! ――だからこの妖精は、借金奴隷となる……。――今までこの情報は明かさなかったが、借金奴隷には非合法な事はされないからな! ――だがーーー、お前らは欲しいだろ!! ――さあ競るのだ! ――おそらくこの世で唯一――――妖精を奴隷にしていると言う称号を持て!!」
――アオルアオル――本当に唯一何て思ってないだろうに……
よくはわからないけど、唯一と言うほどレアではないだろう。
……
……
「――くっ! ――二千万!」
と、途轍もない金額まで、競っている金額が膨れ上がってきた。
「――二千四百!」
「――二千五百!」
……
「三千!」
……
「五千!」
「――七千万!」
「七千七百!」
……
さあ、僕たちの出番だ……僕たちが今までは稼いだお金がある程度なくなるが……
「――七億E!」
ふん、場が静まり返った。
……
……
……
「――それは本当に出せる金額ですか?」と司会の人が聞いてくる。
「勿論!」と僕は言うと、近くに来た係員に冒険者プレートを預け、預り金を見ることが出来る設定にしておいた。
……
……
静かになっていた会場だが、何となく僕たちを待つ雰囲気となっていた。
これ以上の金額を出せなくもないのだろうが、一気に上げすぎたか。
……
……
確認していただろう時間が過ぎ、司会の人がステージに現れた。
「…………では七億Eから再開です。――じゃあ! 七億――」
――
――
――通ったな。
……
……
「――誰もいませんか? ――いなければ、はい! ――もうあなた、あなたが勝者ですよ! 番号なんて言わなくてもわかるでしょ! あなたが落札です!」
お、決まったな!
だけど……番号は言わない……僕たちの落札……
――落札した証拠って、人前で、今回ならオークションに参加した人の前で番号が宣言されること。
これが競り落とした証になるんでなかったっけ?
……
……
「――ねえ宣言は?」
……
……
「僕たちの番号の宣言は?」
……
……
「ねえ!!」
……
……
もう金額に驚いているようでもないのに宣言がない。
このオークションの主催はどこだったかな?――僕たちが妖精を手に入れるのはまずいのか……それとも競り落とす人が決まっていたのか……
僕たちが競り勝った合図がないまま、会場が静かなまま、時間だけが過ぎ去って行った。
何でもアルグリアン王国でもサポイタンヒュージュン病らしき病が流行り出した。これはまあ普通に治療出来るのだが、それでも治らない人が出てきた。
そんなときに余裕がある――――バイアント王国より余力があったアルグリアン王国が、妖精を素材にした薬品で治療できたと言う昔の論文を探し出した。
その論文を読んだラーバンストは早速素材である妖精を探しに旅に出た。――その旅先がナイデラ交易国だった。
ナイデラ交易国は貿易で何でも集まって来る国になっている。だから探し物が見つかると思って移動した。
そして移動後にオークションに出品されている妖精のことを聞いて、競り落としたら何かのヒントになるのではないかと考えたそうだ。
だが僕たちに会って、僕たちに依頼をしたらなんとかなる――――費用対効果でも僕たちに頼むみたい、――俺の気持ち的にも、とラーバンストが言った。
僕たちに何とかしてもらった方が確実だと考えたらしい。
……
……
「サポイタンヒュージュン病的な病気は僕たちも気にしてたけど……アルグリアン王国でも流行ったの?」
「ああ、国で把握しているのはオークション市――西大陸から感染が拡大していると分析されている。……だろ?」
「何も言うことはないよ――――Sランク冒険者の一般人だし」
「――Sランクがつくほどの冒険者のな……。だからこそ頼みたい、この病気に対抗する手段を!」
――ラーバンストが頭を下げた。
「ん~、ラーバンスト……呼称は付けないで話をした方が良いと思うから、このまま話を続けさせてもらうけど、流石に妖精を犠牲にするのはなしで動くからね。いくら大勢の人を助けるためって言っても、妖精族でしょ? それを材料にするって……」
「流石に俺でも命を奪うなどであれば考えんよ。だけど、言い訳かもしれないが羽だよ、羽が薬の材料として書かれている文献を見たんだ」
「羽? 羽も奪っちゃうと回復が大変でしょ! 下手をすると二度と生えないだろうし!」
「――ああ……」
僕たちは昼飯を食べながら話を続けた。
――結局はラーバンストが助けてほしいと懇願し、僕たちは妖精を材料にしないで何とかしよう! と言うことの繰り返しだったが。
……
……
「さてーーー、午後の部を始めますか! ――ここからは暗くなるまで続くので、よいこは気をつけて帰ってね~。最後までいるなら――――危険を感じたら我が精鋭を紹介しよう! ――格安で!」と言う司会の人の話でオークションが再開した。
僕とラーバンストはアルグリアン王国を助ける事では同意した。オーション市には弟子も多いから、何かはしてあげたい。
「――お~、これは八十万Eで落札です!」
……
「――おめでとう! あなたは幸運を百万Eで勝ったよ!」
……
「――ん、これがそんなに安く……」
……
「目玉商品を落札おめでとう!」
……
「魔法袋がそんな値段で……これはあなた! ――特級なマジックバッグですよ!」
……
「――あなたは何を作るのですか! ――竜の鱗であなたの守りも特級!」
……
……
「――さあ最後になりました……。勿論最後は目玉商品の一番目…………妖精だーーー!! ――この妖精を手にいれた方法は合法だぞ……。食べたいものを好きなだけ食べ、お金を全く持っていなかったんだ! ――だからこの妖精は、借金奴隷となる……。――今までこの情報は明かさなかったが、借金奴隷には非合法な事はされないからな! ――だがーーー、お前らは欲しいだろ!! ――さあ競るのだ! ――おそらくこの世で唯一――――妖精を奴隷にしていると言う称号を持て!!」
――アオルアオル――本当に唯一何て思ってないだろうに……
よくはわからないけど、唯一と言うほどレアではないだろう。
……
……
「――くっ! ――二千万!」
と、途轍もない金額まで、競っている金額が膨れ上がってきた。
「――二千四百!」
「――二千五百!」
……
「三千!」
……
「五千!」
「――七千万!」
「七千七百!」
……
さあ、僕たちの出番だ……僕たちが今までは稼いだお金がある程度なくなるが……
「――七億E!」
ふん、場が静まり返った。
……
……
……
「――それは本当に出せる金額ですか?」と司会の人が聞いてくる。
「勿論!」と僕は言うと、近くに来た係員に冒険者プレートを預け、預り金を見ることが出来る設定にしておいた。
……
……
静かになっていた会場だが、何となく僕たちを待つ雰囲気となっていた。
これ以上の金額を出せなくもないのだろうが、一気に上げすぎたか。
……
……
確認していただろう時間が過ぎ、司会の人がステージに現れた。
「…………では七億Eから再開です。――じゃあ! 七億――」
――
――
――通ったな。
……
……
「――誰もいませんか? ――いなければ、はい! ――もうあなた、あなたが勝者ですよ! 番号なんて言わなくてもわかるでしょ! あなたが落札です!」
お、決まったな!
だけど……番号は言わない……僕たちの落札……
――落札した証拠って、人前で、今回ならオークションに参加した人の前で番号が宣言されること。
これが競り落とした証になるんでなかったっけ?
……
……
「――ねえ宣言は?」
……
……
「僕たちの番号の宣言は?」
……
……
「ねえ!!」
……
……
もう金額に驚いているようでもないのに宣言がない。
このオークションの主催はどこだったかな?――僕たちが妖精を手に入れるのはまずいのか……それとも競り落とす人が決まっていたのか……
僕たちが競り勝った合図がないまま、会場が静かなまま、時間だけが過ぎ去って行った。
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