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第三章 上を目指して
第百十八話 バイアント王国での初冒険者ギルド
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バイアント王国の冒険者ギルドに初めて入ったが、思っていたよりは人がいた。他の国の都市並みにはいるのではないか?
不思議に思って思いきって話しかけやすそうな女の人に聞いてみると、他の滅んだ都市や町からも冒険者が流れて来ているそうだ。
その話を聞くと確かに殺られた人も多いだろうが、逃げ切る人もいるだろう。
そして国外に逃げない場合は、大きな都市の王都に集結するのだろうな。
……集結したところで、王都に入るまでの間にボロボロになった建物や人を見たが、ここも大分ヤバそうだと思うが……
それはそれで僕たちは冒険者ギルドの依頼を確認したが見事に防衛や討伐依頼が多かった。
採取依頼などは隅に追いやられて、とにかく魔物を倒す必要があるようだ。
この依頼を確認し、僕たちは受付さんに話しかけた。受付にはほとんど人が並んでいなかったので不思議に思ったが、討伐依頼は討伐証明部位だけ持ってきたら良い。防衛依頼も防衛したと騎士が証明する物を持たせるので、その物の種類によって報酬額が違うそうだ。
何でも急な戦いが多すぎて、依頼を受けてから動くと、もう手遅れになるかもしれないから出来た仕組みだそうだ。
……
僕たちはそのまま冒険者ギルドで情報収集を開始した。
冒険者の会話を聞いているだけでなんとなく今のバイアント王国がおかれている立場がわかってくる。
「またゴブリンだったようだぞ。」
「ああ、最近は攻めてくる魔物はゴブリンだけだからな……」
「それで動物も捕れないぞ……」
「ああ、肉が食いてえな……」
「保存食は飽きたな……」
「せめて食える魔物が出てくれたらな。」
「それはそれでヤバイだろ……」
「ここは王都だからまだましだろ?」
「ああ……」
「隣国の兵士は来てくれないか……」
「来るわけないじゃない! 国境でやらかしたのよこの国は!」
「ああ、領土を拡大しようとして失敗したからな……。あの王の事だ、謝ってもいないだろうな。」
「でしょうね。今の王族は傲慢だもの……」
「はん! こんなことを言ってたら、普段ならヤバイだろうな。」
「でも今は私たちみたいなCランクでも戦力が必要でしょ。」
「ああ、必要と言うか、今なら主力だろ。一番多いんじゃないかCランクが……」
「ここの顔ぶれも大分変わったわね……」
「ファンフートやアルグリアンから冒険者は来てくれてるようだぞ?」
「あ~? 来てくれてるのか?」
「ああ、だがこの中心部までは到達が出来てないらしい……ギリギリ守備隊が強いとしとか、ランクが高い冒険者が揃っていたところだけが中継地になるからな。」
「移動が大変だな……」
「ああ、よっぽど大きな集団や圧倒的に強い奴らだけが王都まで移動できるだろうな……」
「そんな強い奴がわざわざ来るかよ……」
「……だな……」
「お前、魔人を見たか?」
「見えたわけないだろ! ゴブリンの集団で手一杯だったぞ!」
「……そうか、あれはヤバイぞ……。見た目はただのゴブリンだったが……騎士が何人も簡単に吹き飛ばされてたぞ!」
「は~!? 吹き飛ばされたって……どうやってゴブリンを見分けるんだよ!」
「誰かが吹き飛ばされる?」
「あのノークンも殺られたぞ……」
「あのAランクがか!」
「ああ、強い奴らが前線で頑張ってたからな……」
「くーー、低ランクも大分犠牲になったじゃないか!」
「……どうなるんだろうな……」
「騎士団が再編されたそうよ。」
「へ~、大分ヤバイのね……」
「ええ、友達の騎士が言ってたもの。半数が死亡……更にその半分が戦闘には耐えられない……もともと王都の兵は、他の地から集まるつもりで編成してるでしょ? だからそこまで人数もいないし……」
「……じゃああとどれくらいの人数なの?」
「……ギリギリ二千くらいだそうよ……」
「……どこからそんな情報を仕入れてくるのよ……」
「内緒よ……まーー今だけよこんなに簡単に情報が漏れるのは……」
「は~……そうよね。」
「ゴブリンはどれくらいいるんだ?」
「知ってたら苦労しないさ。」
「……だな。」
「この前は百くらいだろ? で……その前が五百くらいか……そこで大分殺られたからな……」
「俺の知り合いはその前の三百くらいで攻められたときに……」
「そうか――普段出会うゴブリンくらいだったらな……」
「ああ、三匹や五匹くらいならな……」
「あーー肉が食いてーぜ!」
「せめてあいつらの肉が臭くなかったらな……」
「流石にゴブリンの肉は食えねーぜ!」
「おい、もうすぐ周期だろ?」
「そうね……」
「今度はどれくらいいるんだろうな?」
「また百匹単位じゃないの?」
「――そうだな。」
「――ねえ、生き残れたら私を……」
「――ん――」
フラグか? 何かいつ頃次の進行があるか聞きたかったんだけどな……あの雰囲気を壊すのは駄目だろうな。
だけどいくつかは良い情報があったな。
今攻めてくるのはゴブリンみたいだし、魔人となった奴もいるみたいだから、捕まえられたら何か情報を得られないかな。
疲弊しているここの人たちが犠牲にならないように少し派手にいこうかな。
噂話だけでは判断出来ないけど、今ここの貴族を相手に強気に出ても大丈夫そうだし、下手に何かをしてこないだろう。
良い印象がないバイアント王国だけど、今ここにいる人が皆悪い人ではないだろうしね。
「ねえ皆、次のゴブリンの進行の時は頑張ろう!」
「「「「うん!」」」」
今はやれることをしようとパーティーで決めた。
不思議に思って思いきって話しかけやすそうな女の人に聞いてみると、他の滅んだ都市や町からも冒険者が流れて来ているそうだ。
その話を聞くと確かに殺られた人も多いだろうが、逃げ切る人もいるだろう。
そして国外に逃げない場合は、大きな都市の王都に集結するのだろうな。
……集結したところで、王都に入るまでの間にボロボロになった建物や人を見たが、ここも大分ヤバそうだと思うが……
それはそれで僕たちは冒険者ギルドの依頼を確認したが見事に防衛や討伐依頼が多かった。
採取依頼などは隅に追いやられて、とにかく魔物を倒す必要があるようだ。
この依頼を確認し、僕たちは受付さんに話しかけた。受付にはほとんど人が並んでいなかったので不思議に思ったが、討伐依頼は討伐証明部位だけ持ってきたら良い。防衛依頼も防衛したと騎士が証明する物を持たせるので、その物の種類によって報酬額が違うそうだ。
何でも急な戦いが多すぎて、依頼を受けてから動くと、もう手遅れになるかもしれないから出来た仕組みだそうだ。
……
僕たちはそのまま冒険者ギルドで情報収集を開始した。
冒険者の会話を聞いているだけでなんとなく今のバイアント王国がおかれている立場がわかってくる。
「またゴブリンだったようだぞ。」
「ああ、最近は攻めてくる魔物はゴブリンだけだからな……」
「それで動物も捕れないぞ……」
「ああ、肉が食いてえな……」
「保存食は飽きたな……」
「せめて食える魔物が出てくれたらな。」
「それはそれでヤバイだろ……」
「ここは王都だからまだましだろ?」
「ああ……」
「隣国の兵士は来てくれないか……」
「来るわけないじゃない! 国境でやらかしたのよこの国は!」
「ああ、領土を拡大しようとして失敗したからな……。あの王の事だ、謝ってもいないだろうな。」
「でしょうね。今の王族は傲慢だもの……」
「はん! こんなことを言ってたら、普段ならヤバイだろうな。」
「でも今は私たちみたいなCランクでも戦力が必要でしょ。」
「ああ、必要と言うか、今なら主力だろ。一番多いんじゃないかCランクが……」
「ここの顔ぶれも大分変わったわね……」
「ファンフートやアルグリアンから冒険者は来てくれてるようだぞ?」
「あ~? 来てくれてるのか?」
「ああ、だがこの中心部までは到達が出来てないらしい……ギリギリ守備隊が強いとしとか、ランクが高い冒険者が揃っていたところだけが中継地になるからな。」
「移動が大変だな……」
「ああ、よっぽど大きな集団や圧倒的に強い奴らだけが王都まで移動できるだろうな……」
「そんな強い奴がわざわざ来るかよ……」
「……だな……」
「お前、魔人を見たか?」
「見えたわけないだろ! ゴブリンの集団で手一杯だったぞ!」
「……そうか、あれはヤバイぞ……。見た目はただのゴブリンだったが……騎士が何人も簡単に吹き飛ばされてたぞ!」
「は~!? 吹き飛ばされたって……どうやってゴブリンを見分けるんだよ!」
「誰かが吹き飛ばされる?」
「あのノークンも殺られたぞ……」
「あのAランクがか!」
「ああ、強い奴らが前線で頑張ってたからな……」
「くーー、低ランクも大分犠牲になったじゃないか!」
「……どうなるんだろうな……」
「騎士団が再編されたそうよ。」
「へ~、大分ヤバイのね……」
「ええ、友達の騎士が言ってたもの。半数が死亡……更にその半分が戦闘には耐えられない……もともと王都の兵は、他の地から集まるつもりで編成してるでしょ? だからそこまで人数もいないし……」
「……じゃああとどれくらいの人数なの?」
「……ギリギリ二千くらいだそうよ……」
「……どこからそんな情報を仕入れてくるのよ……」
「内緒よ……まーー今だけよこんなに簡単に情報が漏れるのは……」
「は~……そうよね。」
「ゴブリンはどれくらいいるんだ?」
「知ってたら苦労しないさ。」
「……だな。」
「この前は百くらいだろ? で……その前が五百くらいか……そこで大分殺られたからな……」
「俺の知り合いはその前の三百くらいで攻められたときに……」
「そうか――普段出会うゴブリンくらいだったらな……」
「ああ、三匹や五匹くらいならな……」
「あーー肉が食いてーぜ!」
「せめてあいつらの肉が臭くなかったらな……」
「流石にゴブリンの肉は食えねーぜ!」
「おい、もうすぐ周期だろ?」
「そうね……」
「今度はどれくらいいるんだろうな?」
「また百匹単位じゃないの?」
「――そうだな。」
「――ねえ、生き残れたら私を……」
「――ん――」
フラグか? 何かいつ頃次の進行があるか聞きたかったんだけどな……あの雰囲気を壊すのは駄目だろうな。
だけどいくつかは良い情報があったな。
今攻めてくるのはゴブリンみたいだし、魔人となった奴もいるみたいだから、捕まえられたら何か情報を得られないかな。
疲弊しているここの人たちが犠牲にならないように少し派手にいこうかな。
噂話だけでは判断出来ないけど、今ここの貴族を相手に強気に出ても大丈夫そうだし、下手に何かをしてこないだろう。
良い印象がないバイアント王国だけど、今ここにいる人が皆悪い人ではないだろうしね。
「ねえ皆、次のゴブリンの進行の時は頑張ろう!」
「「「「うん!」」」」
今はやれることをしようとパーティーで決めた。
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