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第三章 上を目指して

第百六話 盗賊退治とそれから

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「あっ! 盗賊団の名前を聞いてなかった!……あーーパッショギルマス、ドラゴンはラーバンスト達が倒したので、僕達は盗賊を殲滅してきました。大体三百人で、門兵に預けてきて、後で冒険者ギルドに事情を聞きに来るから。そこはラーバンストが上手くやってくれたから。」


「……え――、はい……。」


……


  パッショギルマスに今回あったこと説明していると、国からの遣いが僕達とラーバンスト達とギルマスに会いに来た。


  「はじめまして、フランクリン・スタデンスと言う。伯爵で王都の治安を守っている。」


……スタデンス……あのジョーブンの父か……


「はじめまして。僕達はAランクの冒険者パーティー黒猫です。」
「ラーバンストとヒューズだ。」


  ん? ラーバンストは偉そうだな……貴族か?


「これはこれはラーバンストおうーー「んん!」……ラーバンストさーー「ウオホン!」……冒険者ラーバンスト、御高名は聞いております……ラーバンスト様とお呼びしても……」


「ああ、どうとでも呼んでくれ。」


「ありがとうございます……。それでは盗賊についてお聞きしたいのですが……それと、人間の顔をした魔物の事もお聞きしたいのですが……もう八人? も捕らえていると、何がなんだか……」


  僕達は知っていることをジャックの名前を出さずに説明した。その説明をラーバンストが追認するとフランクリン伯爵は納得していた。
  納得するのは状況説明の内容だけで、今魔物人間関連で起きている事は何もわからなかった。


……


「ありがとうございます黒猫の皆様。そしてラーバンスト様……。これから私達はどうしたら良いのでしょうね……ロード種並みの魔物……が八人…匹……」


「俺も何かを考えておこう。フランクリン伯爵も苦労をかけるが頑張ってくれ。」


  ん?


「はい、できる限りは……」


……


  僕達の聞き取りが終わった。何か偉そうなラーバンストも証言したからか、後で国からの報奨があるそうだ。……お金だけでいいからね……


  そんなことを考えていた僕達にパッショギルマスがまた話しかけてきた。すでにラーバンスト達はフランクリン伯爵と同じ頃に退室している。


「……それであなた達の予想は……ジャックの名前をあえて出さなかったように思えますが、どう考えているのですか?」


「我はジャックが何かしてると思うよ!」とクロウが急に話し出した。


「クロウ殿……それは何故ですか?」


「我が感じているのは、悪い気。ジャックって言う名前を呼んだあのボアから感じたのは、悪い気……そのジャックって言う言葉を聞くと、悪い予感がする! 世の中の他のジャックには悪いけど。」


  クロウが悪いと感じる? あのクロウが……


……


  その後はパッショギルマスと情報交換をする話題はなかった。ドラゴン討伐の依頼の報酬は貰ったし、ラーバンストはマジックバッグを持っていたので、素材は冒険者ギルドに提出されて売却額が分配された。
  僕達は受け取らなかったが、モイスさんは喜んでいた。さらにコーンス達には感謝され……なんとかこれからも頑張ると言われた。


  それからはまた大きな変化もなく、ジャックは気になるが旅に出ようか悩んでいた。まだ転移して一年も経過していないが、何かワクワクすることがない。


  だがそういうことを考えている時には何かが起きる……。僕達は冒険者ギルドに通って何日経過したときに、ラーバンストに声をかけられた。


「久しぶりだなラウール。……今何か依頼を受けているか?」


  あーー何か真剣に話されるから警戒してしまう。……ラーバンストはどこかのお偉いさんだろきっと……


「……今は何も受けていないけど……」


「ん、だったら頼みがある。」とラーバンストは真剣な表情をしながら僕達に話をしだした。


  僕達はラーバンストとヒューズに連れられて王都の外に出た。そこでヒューズが周りの気配を探った後にラーバンストが話し始めた。


「これは機密事項も含まれるが、黒猫に依頼を受けてほしいから話す。……魔物人間は――――盗賊は人間から変化したが、はじめに捕らえられたゴブリン、オーク、ボア人間は魔物から変化した姿だった。どうにか聞き出した情報を合わせると、アルグリアン王国だけではないようだが、魔物人間を増やしている存在があるそうだ。」


  あの魔物人間を? 確かに強いけど、ロード種程度だし数も少ないから、どうとでもなりそうだけど。


「何を企んでいるかがわかると一番いいが、この広大な地を調査するには、あの馬車を借りるか、一緒に行動してもらいたい。――――どうだろう?」


  あーー馬車か。確かに便利にしたしね。だけど貸すのも一緒に行動するのも嫌だな……


「それでだが……俺はアルグリアン王国の第二王子だ……だから褒美も冒険者ランク以上に出せる。国に貢献したとして、魔物人間の捕縛の貢や盗賊の殲滅の貢で叙勲も出来るかもしれないが、どうだ?」


  駄目押しの話がなかった方がまだ良かった……んーーどうしよう?


「……と言ってもファンフート王国で叙勲されているから、ファンフート王国に許可を得ないといけないから、無理だけどな。まーープッチモ王子はいいと言うだろうけど――――ふっ……知り合いだろ?」


「あーーちゃんと情報交換は終わってたんだね。」


「流石に黒猫で調査をしたぞ。お前らほどの存在を放ってはおけないからな。」


「んーーじゃあ正直に言って嫌! 手伝いも提供も無しで。」


「はーーやはりか……予想はしていたが、じゃあ……何かわかったときに俺やプッチモ王子に情報提供をするのはどうだ? 冒険者ギルドから連絡が俺に来るようにするぞ。……追加の情報でバイアント王国が戦争の準備を進めているそうだから……戦争につながる情報でもいいぞ! プッチモ王子からお前達の口の固さも聞いているからの打診だ。」


  戦争もか、この魔物人間騒ぎは陽動か戦力を削ぐためか?

  はーー東側の大陸でもう少し過ごすには、何か動かないといけないか……
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