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第二章 冒険者活動
第七十四話 ハルーシア市の冒険者ギルドでの騒動
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ようやく現れた……
そしてギルドマスターの部屋に案内された。
僕達は泥酔したサーマンと共にギルドマスターの部屋にいる。
他にはナンスイにガイブン、あの受付と冒険者三人が集まった。
「この度は申し訳ありませんでした。こちらの……冒険者ギルドの失態です。……責任を取り、このモブデンは冒険者ギルドを解雇し、ボン、クラ、サンは冒険者ギルドを除名とします。」
いきなりの宣告……
素直には受け取らない……何か裏取引はあるだろう。その証拠に、絶望的な表情ではない。ただ僕達を見れないということは、僕達には今後も何もしてこないと思うが……
「何故このような状況になったのですか? ハルーシア市の冒険者ギルドはどうなってもいるんですか? 僕達は冒険者で騎士爵だけど貴族ですが、途中報告もなくこんなに待たせられたのは何故? あなた達も僕より爵位は高いのだろうけど、失礼なのではないですか?」
僕は待っている間にイライラは一度収まったが、ガイブンの顔を見てまたイライラが戻ってきた。
「大変申し訳ございませんでした。我々の話し合いが長引き、途中で中座が出来る人もおりませんでした。重ねてお詫び致します。……ただ冒険者ギルド内の破壊された物に関しては、全てをこちらで弁償は出来ません。黒猫様方にもいくらか負担をお願いします……」
は?
「何故僕達は悪くないって言っておきながら、弁償も僕達以外でするべきでしょ!」
ガイブンがニヤリとして話に入ってきた。
「お前らは馬鹿か? 冒険者ギルドの職員が悪かったことと、物を壊したのは別だろ? 人が悪かっただろうが、何もギルド内で破壊行為に及ばなくても良いだろ? 何なら私が肩代わりしてやろうか?」
は?
「それとも私が妖精を買い取るか?」
は?
「あーーガイブン様……妖精は冒険者ギルドが預かります。妖精の生態は知られていませんので、無料で冒険者ギルドに納める事になりますよ。申し訳ございません。その後はオークションにかけられるでしょう。」
は?
「おうそれは良いな。だが何故この冒険者には報酬が支払われないんだ?」
「冒険者の義務です。ハルーシア市の冒険者ギルドにはそういった規約があるのです。これは皆さんが見ることが出来る場所に置かれています。もちろんハルーシア市の冒険者ギルドに一歩でも足を踏み入れると、この規約の対象になります。」
そう言ってナンスイは冒険者ギルドの規約が書かれた冊子をテーブルに置いた。
は?
「これではこの冒険者は差し出す必要があるな! それでなければ除名と書かれているからな! ああ、こいつらが好きな証拠か?」
あ!?
「では修繕費と妖精を要求します。冒険者ギルド職員と絡んだ冒険者への罰は済みましたから、こちらからの要求です。」
ハハハハハハーーー!
心の中でもここまで来たら笑うしかないな 。おそらくサクラもだろうな。
「冒険者ギルドを閉めて修繕する場合、冒険者の代わりに騎士や兵士に魔物討伐を依頼します。更に休まざるを得ない冒険者への保証。商売に差し支える商人ギルドへの保証。その他一般の領都民への保証等があります。被害額の算定にも時間がかかりました。」
は?
「ですからすでに領主のハルーシア侯爵など主要な方々へは報告が済んでいます。……もし払えないのであれば、奴隷商も呼んでいますから、今日あなた方は奴隷となります。」
は?
「さあどうですか? 払えますか?」
ここは流石に失笑だ……ガイブンとナンスイは僕を睨み付けた。
そして実は内緒で泥酔状態を解除していたサーマンも吹き出していた。
「ブフォ! ブフーーーー! あーー、流石に無いな! それは無いな! 何だよこの冒険者ギルドはーー、ブフォ! ……俺はこのランクだからこれでもギルマスの知り合いがいるが……これは無いな!」
サーマンの発言を聞いたナンスイはやや不機嫌そうに返事をした。
「ここにはここのやり方があるのですよ。なんでしたらハルーシア侯爵に聞いてみなさい! あなた方はプッチモ王子様の護衛依頼でここに来たのでしょう?」
「は? 俺達が聞くべき人は、ホワイティアだろ? なーホワイティア統括!」
……
……
実は僕の肩に留まっているクロウは偽物だ!
クロウにはちょっと飛んでもらい、ホワイティアを呼んできてもらった。
そして姿も気配も消す魔法をかけて、誰もホワイティアがハルーシア市に入ったことは知られていない……まーーこれは違法なのだろうけど!
ホワイティアにはある程度秘密はばれても良いかと思っていたから、この際だから巻き込んだ!
あーーサーマンだな。サーマンにも念話で作戦を伝えていたからね。あれだけ待たされたんだから、こちらも何もしないわけがないだろう?
これでどうするナンスイは?
「えーと、今までのお話はしっかりと聞かせてもらいましたよ。」本物のクロウを肩に留まらせたホワイティアが言った。
……
……
「本物ですか? 流石にホワイティア統括でも、そんなことは……」
ナンスイは本物か疑ったようだが、ホワイティアは何か証を見せたようだ。
ナンスイの顔色が悪い。
「はーーナンスイ、あなたは冒険者ギルドで働けるような人ではなかったのですね……。さあ話し合いが必要ですね。」
「い……いえ……あのーー」
流石ホワイティア。本物のギルマスだね。
「黒猫とサーマンは帰っても良いですよ……ここからは冒険者ギルドの問題です。ーーーーあ、黒猫には何も請求はいきませんし、ナンスイが言ったことは全て却下です。あーーそこのガイブンさんでしたか……あなたも私に御用が?」
ホワイティアがガイブンに話しかけると、何も用事はないと勢いよく部屋を出た。
さあ後は任せて僕達も帰ろう。
サクラも作戦だから手を出さないようにこらえたし、今日は優しくしよう!
明日またホワイティアに会いに来なければ。帰りもしっかりと送らないとね!
そしてギルドマスターの部屋に案内された。
僕達は泥酔したサーマンと共にギルドマスターの部屋にいる。
他にはナンスイにガイブン、あの受付と冒険者三人が集まった。
「この度は申し訳ありませんでした。こちらの……冒険者ギルドの失態です。……責任を取り、このモブデンは冒険者ギルドを解雇し、ボン、クラ、サンは冒険者ギルドを除名とします。」
いきなりの宣告……
素直には受け取らない……何か裏取引はあるだろう。その証拠に、絶望的な表情ではない。ただ僕達を見れないということは、僕達には今後も何もしてこないと思うが……
「何故このような状況になったのですか? ハルーシア市の冒険者ギルドはどうなってもいるんですか? 僕達は冒険者で騎士爵だけど貴族ですが、途中報告もなくこんなに待たせられたのは何故? あなた達も僕より爵位は高いのだろうけど、失礼なのではないですか?」
僕は待っている間にイライラは一度収まったが、ガイブンの顔を見てまたイライラが戻ってきた。
「大変申し訳ございませんでした。我々の話し合いが長引き、途中で中座が出来る人もおりませんでした。重ねてお詫び致します。……ただ冒険者ギルド内の破壊された物に関しては、全てをこちらで弁償は出来ません。黒猫様方にもいくらか負担をお願いします……」
は?
「何故僕達は悪くないって言っておきながら、弁償も僕達以外でするべきでしょ!」
ガイブンがニヤリとして話に入ってきた。
「お前らは馬鹿か? 冒険者ギルドの職員が悪かったことと、物を壊したのは別だろ? 人が悪かっただろうが、何もギルド内で破壊行為に及ばなくても良いだろ? 何なら私が肩代わりしてやろうか?」
は?
「それとも私が妖精を買い取るか?」
は?
「あーーガイブン様……妖精は冒険者ギルドが預かります。妖精の生態は知られていませんので、無料で冒険者ギルドに納める事になりますよ。申し訳ございません。その後はオークションにかけられるでしょう。」
は?
「おうそれは良いな。だが何故この冒険者には報酬が支払われないんだ?」
「冒険者の義務です。ハルーシア市の冒険者ギルドにはそういった規約があるのです。これは皆さんが見ることが出来る場所に置かれています。もちろんハルーシア市の冒険者ギルドに一歩でも足を踏み入れると、この規約の対象になります。」
そう言ってナンスイは冒険者ギルドの規約が書かれた冊子をテーブルに置いた。
は?
「これではこの冒険者は差し出す必要があるな! それでなければ除名と書かれているからな! ああ、こいつらが好きな証拠か?」
あ!?
「では修繕費と妖精を要求します。冒険者ギルド職員と絡んだ冒険者への罰は済みましたから、こちらからの要求です。」
ハハハハハハーーー!
心の中でもここまで来たら笑うしかないな 。おそらくサクラもだろうな。
「冒険者ギルドを閉めて修繕する場合、冒険者の代わりに騎士や兵士に魔物討伐を依頼します。更に休まざるを得ない冒険者への保証。商売に差し支える商人ギルドへの保証。その他一般の領都民への保証等があります。被害額の算定にも時間がかかりました。」
は?
「ですからすでに領主のハルーシア侯爵など主要な方々へは報告が済んでいます。……もし払えないのであれば、奴隷商も呼んでいますから、今日あなた方は奴隷となります。」
は?
「さあどうですか? 払えますか?」
ここは流石に失笑だ……ガイブンとナンスイは僕を睨み付けた。
そして実は内緒で泥酔状態を解除していたサーマンも吹き出していた。
「ブフォ! ブフーーーー! あーー、流石に無いな! それは無いな! 何だよこの冒険者ギルドはーー、ブフォ! ……俺はこのランクだからこれでもギルマスの知り合いがいるが……これは無いな!」
サーマンの発言を聞いたナンスイはやや不機嫌そうに返事をした。
「ここにはここのやり方があるのですよ。なんでしたらハルーシア侯爵に聞いてみなさい! あなた方はプッチモ王子様の護衛依頼でここに来たのでしょう?」
「は? 俺達が聞くべき人は、ホワイティアだろ? なーホワイティア統括!」
……
……
実は僕の肩に留まっているクロウは偽物だ!
クロウにはちょっと飛んでもらい、ホワイティアを呼んできてもらった。
そして姿も気配も消す魔法をかけて、誰もホワイティアがハルーシア市に入ったことは知られていない……まーーこれは違法なのだろうけど!
ホワイティアにはある程度秘密はばれても良いかと思っていたから、この際だから巻き込んだ!
あーーサーマンだな。サーマンにも念話で作戦を伝えていたからね。あれだけ待たされたんだから、こちらも何もしないわけがないだろう?
これでどうするナンスイは?
「えーと、今までのお話はしっかりと聞かせてもらいましたよ。」本物のクロウを肩に留まらせたホワイティアが言った。
……
……
「本物ですか? 流石にホワイティア統括でも、そんなことは……」
ナンスイは本物か疑ったようだが、ホワイティアは何か証を見せたようだ。
ナンスイの顔色が悪い。
「はーーナンスイ、あなたは冒険者ギルドで働けるような人ではなかったのですね……。さあ話し合いが必要ですね。」
「い……いえ……あのーー」
流石ホワイティア。本物のギルマスだね。
「黒猫とサーマンは帰っても良いですよ……ここからは冒険者ギルドの問題です。ーーーーあ、黒猫には何も請求はいきませんし、ナンスイが言ったことは全て却下です。あーーそこのガイブンさんでしたか……あなたも私に御用が?」
ホワイティアがガイブンに話しかけると、何も用事はないと勢いよく部屋を出た。
さあ後は任せて僕達も帰ろう。
サクラも作戦だから手を出さないようにこらえたし、今日は優しくしよう!
明日またホワイティアに会いに来なければ。帰りもしっかりと送らないとね!
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