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第二章 冒険者活動
第五十六話 移動手段は……
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いくらか考えたけど、今すぐに答えはでない。だが王子の頼みは聞くことにする。
僕が頼みを承諾すると返事をした時に、サクラが準備した食べ物が運ばれてきた。
軽いものと言ったが、炭水化物がなく、ただタンパク質の塊が目の前にはあった。
あーー脂質もあるかな?
旨そうな匂いがする。
この肉はアルスとデルタにも食べさせると言って、サクラはこの場から逃げ出した。
今日のサクラの気分は王子の相手をしたくないようだ。
「おいおい……ラウール……この肉はもしかしてーーまだドラゴンの肉を持っていたのか?」
流石に王子だ。この素材が何かかをすぐに当てた。
「残念ですが……また手にいれました。クロウ、今回は何ドラゴンだった?」
「今回は小さかったけど、赤い奴だよ! 我なら楽勝だけど、体のわりに速かったなーー。」
プッチモ王子の顔はまたかと呆れているようだ、
「……もう出所は聞かないことにする……倒してくれたならそれで良い……。さーー気を取り直して、食うぞ!」
プッチモ王子は何かを振り払うかのように大声を上げ、毒味を誰もしていないのにドラゴン肉にかぶりついた。
「ーー流石ドラゴン! 旨い! 旨いぞーー」
どこぞのアニメのように空を飛びそうな勢いだ。
……
……
少しの間だが食事に集中し、もう一度頼み事について確認した。
サクラはここにいないが、プッチモ王子について行くことは決定として、僕達はどうしていたら良いのか聞いた。
「ラウール達は旅の準備をしながら、引き続き俺や騎士達を鍛えてくれたら良い。出発の日が決まったらすぐに教えるぞ。その他は……特にはないな。」
「護衛だとして他にも誰かがいるの?」
「ああ、何人かいるぞ。俺以外では法衣貴族が一人か二人でその付き人が何人かいるな。そこに騎士団から必要人数の護衛が派遣されるな。あとは幾人かの冒険者にも依頼が出るぞ。旅に慣れた冒険者も重要だからな。そこにラウール達が入ることになるな。」
「大人数だったら、僕達も馬車を創って行った方が良いの?」
「馬車を作る? 今から作っても間に合うだろうが、馬車を牽く生物を手にいれたり大変だろ? んーーラウール達が良いように任せよう! 隊列を組んで進む予定だからな。」
そんな大まかな計画を聞いた後「また来るからな!」とプッチモ王子は何も手土産を持たず、ただ帰っていった。
……
どうしようかな色々と……
アルスとデルタのこと……
馬車、旅の準備……
プッチモ王子が帰ってようやくサクラも外から戻ってきた。
大体の事情をサクラに説明し、今後の方針を話し合った。
「そういうことなんだけど、サクラはどう思う?」
「……アルスとデルタはクロウに任せましょ! 良いでしょクロウ!」
「うん! 我に任せて! 魔法も使いながら一ヶ月で仕上げるよ!」
「これでアルス達は良いとして……馬車は……創りましょうよ! これからも旅をするだろうから、集めた素材が残っている今取りかかりましょ!」
まーーサクラならそう言うと思ったけどね。まだ快適ではない馬車がこの世界だと主流だしね。
「だけど何に牽かせるかね……。一般的なのは馬なんだろうけど、私達に世話が出来るとは思わないわ!」
自信満々に出来ない宣言だ……
「だけど魔物もゴーレムも、自走も目立つわよね……。何か良い案はないのラウール?」
「んーー目立っても良い場面ではないからね……。僕達だけの旅なら良いんだけど、一緒に移動する人もいるし……。そうなると魔物? 召喚でもしてみる? この世界ではまだ使ったことのない魔法だけど……」
「そうね、召喚なら移動していないときは、送還しておいたら世話は必要ないわね。」
「じゃあ召喚にする? 一応後で冒険者ギルドに行って、この世界の召喚魔法について聞いてみる?」
「そうね……もし冒険者ギルドでも分からなかったら、プッチモ王子を頼っても良いわね。こんな時は王族も役立ちそうね!」
サクラ……僕だけだから良いけど、他ではそんなことを言わないでね。
「召喚なら我も協力するよ! 魔力を多く込めるほど凄い魔物が召喚出来るでしょ! 龍だって召喚できるよきっと!」
おいおい、龍だとよっぽど高位の奴でないと小さくなれないだろ!
……
「だけど龍か……私はラウールよりも先に死んだから……ヤマトが懐かしい……。ヤマトは元気かな? ソフィアも大分能力が高くなっていたから、そろそろ亜神にでもなってるかな?」
「そうだね……こっちの世界と時間の進みかたが同じかはわからないけど、ソフィアならなってるかもね。」
「会いたいな……」
「会いたいね……」
「我も……」
「ヤマトも僕達といたときは大分高位な龍だったけど、ヤマトも何かに進化してたりしてね!」
「我はラウールが死んだ後にすぐここに転移したけど、本当はヤマトもソフィアも一緒に来たいって言ってたよ! だけどあの時は我だけって言われたから!」
「そっか……私達にはどうにも出来ないわね。神がクロウだけって言ったのなら、クロウだけなんだろうね……」
僕達はちょっとしんみりとしてしまった。
前世の仲間、何百年と一緒に過ごした大切な仲間……
召喚魔法から何故か話題がそれたが、夜遅くまで僕達はヤマトとソフィアとの思い出を語ってしまった。
僕が頼みを承諾すると返事をした時に、サクラが準備した食べ物が運ばれてきた。
軽いものと言ったが、炭水化物がなく、ただタンパク質の塊が目の前にはあった。
あーー脂質もあるかな?
旨そうな匂いがする。
この肉はアルスとデルタにも食べさせると言って、サクラはこの場から逃げ出した。
今日のサクラの気分は王子の相手をしたくないようだ。
「おいおい……ラウール……この肉はもしかしてーーまだドラゴンの肉を持っていたのか?」
流石に王子だ。この素材が何かかをすぐに当てた。
「残念ですが……また手にいれました。クロウ、今回は何ドラゴンだった?」
「今回は小さかったけど、赤い奴だよ! 我なら楽勝だけど、体のわりに速かったなーー。」
プッチモ王子の顔はまたかと呆れているようだ、
「……もう出所は聞かないことにする……倒してくれたならそれで良い……。さーー気を取り直して、食うぞ!」
プッチモ王子は何かを振り払うかのように大声を上げ、毒味を誰もしていないのにドラゴン肉にかぶりついた。
「ーー流石ドラゴン! 旨い! 旨いぞーー」
どこぞのアニメのように空を飛びそうな勢いだ。
……
……
少しの間だが食事に集中し、もう一度頼み事について確認した。
サクラはここにいないが、プッチモ王子について行くことは決定として、僕達はどうしていたら良いのか聞いた。
「ラウール達は旅の準備をしながら、引き続き俺や騎士達を鍛えてくれたら良い。出発の日が決まったらすぐに教えるぞ。その他は……特にはないな。」
「護衛だとして他にも誰かがいるの?」
「ああ、何人かいるぞ。俺以外では法衣貴族が一人か二人でその付き人が何人かいるな。そこに騎士団から必要人数の護衛が派遣されるな。あとは幾人かの冒険者にも依頼が出るぞ。旅に慣れた冒険者も重要だからな。そこにラウール達が入ることになるな。」
「大人数だったら、僕達も馬車を創って行った方が良いの?」
「馬車を作る? 今から作っても間に合うだろうが、馬車を牽く生物を手にいれたり大変だろ? んーーラウール達が良いように任せよう! 隊列を組んで進む予定だからな。」
そんな大まかな計画を聞いた後「また来るからな!」とプッチモ王子は何も手土産を持たず、ただ帰っていった。
……
どうしようかな色々と……
アルスとデルタのこと……
馬車、旅の準備……
プッチモ王子が帰ってようやくサクラも外から戻ってきた。
大体の事情をサクラに説明し、今後の方針を話し合った。
「そういうことなんだけど、サクラはどう思う?」
「……アルスとデルタはクロウに任せましょ! 良いでしょクロウ!」
「うん! 我に任せて! 魔法も使いながら一ヶ月で仕上げるよ!」
「これでアルス達は良いとして……馬車は……創りましょうよ! これからも旅をするだろうから、集めた素材が残っている今取りかかりましょ!」
まーーサクラならそう言うと思ったけどね。まだ快適ではない馬車がこの世界だと主流だしね。
「だけど何に牽かせるかね……。一般的なのは馬なんだろうけど、私達に世話が出来るとは思わないわ!」
自信満々に出来ない宣言だ……
「だけど魔物もゴーレムも、自走も目立つわよね……。何か良い案はないのラウール?」
「んーー目立っても良い場面ではないからね……。僕達だけの旅なら良いんだけど、一緒に移動する人もいるし……。そうなると魔物? 召喚でもしてみる? この世界ではまだ使ったことのない魔法だけど……」
「そうね、召喚なら移動していないときは、送還しておいたら世話は必要ないわね。」
「じゃあ召喚にする? 一応後で冒険者ギルドに行って、この世界の召喚魔法について聞いてみる?」
「そうね……もし冒険者ギルドでも分からなかったら、プッチモ王子を頼っても良いわね。こんな時は王族も役立ちそうね!」
サクラ……僕だけだから良いけど、他ではそんなことを言わないでね。
「召喚なら我も協力するよ! 魔力を多く込めるほど凄い魔物が召喚出来るでしょ! 龍だって召喚できるよきっと!」
おいおい、龍だとよっぽど高位の奴でないと小さくなれないだろ!
……
「だけど龍か……私はラウールよりも先に死んだから……ヤマトが懐かしい……。ヤマトは元気かな? ソフィアも大分能力が高くなっていたから、そろそろ亜神にでもなってるかな?」
「そうだね……こっちの世界と時間の進みかたが同じかはわからないけど、ソフィアならなってるかもね。」
「会いたいな……」
「会いたいね……」
「我も……」
「ヤマトも僕達といたときは大分高位な龍だったけど、ヤマトも何かに進化してたりしてね!」
「我はラウールが死んだ後にすぐここに転移したけど、本当はヤマトもソフィアも一緒に来たいって言ってたよ! だけどあの時は我だけって言われたから!」
「そっか……私達にはどうにも出来ないわね。神がクロウだけって言ったのなら、クロウだけなんだろうね……」
僕達はちょっとしんみりとしてしまった。
前世の仲間、何百年と一緒に過ごした大切な仲間……
召喚魔法から何故か話題がそれたが、夜遅くまで僕達はヤマトとソフィアとの思い出を語ってしまった。
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