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10. 軍人対武士

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 まだ鼻息の荒い仁に向かって、近藤が歩み寄る。

「なかなか言うではないか、若造。仁とか言ったな。その黒い肌、異国人かと思ったが誰よりも武士の心を持っているようだ」

「近藤はん、織田信長に仕えちょったいう弥助ち知っちゅうがかえ?仁は、弥助の子孫じゃ」

 土佐勤王党の面々が驚きの声でざわついた。
 武市が弥助の筋肉を掴みながら話す。

「ほう……おまん、ほんに弥助の子孫ながか!そんでこげな逞しい体格しゆうがかえ!そん武器、相当な重さながじゃろ?軽々と使いこなすち、まっこと恐ろしい侍ぜよ」

 龍馬は、ふと「高杉晋作と中岡慎太郎は何処にいるのか?」と武市に聞いた。
 武市の顔が一瞬曇り、彼らもまた西郷隆盛と同じ理由で処刑されたと話した。

「仇は西郷どんだけやないがじゃな」

 龍馬は悔しそうに唇を噛み、俯いた。

「次は戦場で、と言っておったな。早速こっちも戦の準備だ。俺はもう行くぞ」

 土方の声に応えるようにして、土佐勤王党の面々、そして龍馬と仁は彼らが拠点にしているという東京の隅にある小さな村へと向かった。

 龍馬たちは、政府軍との決戦に向けて着々と準備を進め作戦会議を行った。



 まず、武市と龍馬、近藤と土方が中心となって戦術を練り直し、各隊の役割分担を決めた。

 斎藤一は特に武闘派として知られ、重要な戦力として位置付けられた。
 沖田総司は素早い動きで敵を混乱させる役目を担い、仁は方天戟を駆使して戦場を制圧する準備を整えた。
 龍馬は補給線の確保や弓兵隊の隊列位置にも気を配った。

 武市は、腕を組んで戦場の地図を見ていた。

「敵は二連隊、千人単位で波状攻撃に出てきゆうはずじゃ。榴弾砲りゅうだんほうまで持っちゅう」

「どう抗う気じゃ?」

「相手は、自分んらには『鉄砲』があるからち油断しゆうとこがあるながじゃ。それを活かして出来る限りおびき寄せて、接近戦に持ち込むぜよ」

 みな、自軍にとってこの戦がどれだけ不利なものか理解していた。
 その上で、決死の覚悟で戦場に立つのだ。
 この度の政府軍との戦いは、日本国家の将来と武士道の存続をかけた覚悟の表れでもあった。

 ◆

 幕末の志士として名を馳せた名だたる面々はついに戦場へと立った。

 龍馬と仁をはじめとする志士たちの目には、決意と闘志が燃えているのが見て取れた。
 武士の魂を胸に秘め、武士道の誇りを賭けて戦いに挑む龍馬たち。

 その姿を見て、マッカーサーは嫌な予感を覚えた。
 彼らの目には『死の覚悟』が宿っており、逆らうことのできない力強さがあった。
 戦場の空気は緊張と期待で満ち溢れ、決戦の刻がすぐそこまで迫っていた。

 しかし、軍力の差は激しく、政府軍1万に対し反乱軍1000名。
 なんと十分の一の兵力差であった。

 マッカーサーは龍馬に降伏勧告を突き付ける。



「コノ数の兵隊たちが見えマスカ?アナタたちに勝ち目はありまセン。刀と弓で何が出来マスカ?無駄に血を流すことはありまセン。コレが最後の機会デス。武器を捨てなければ、攻撃を始めマス。今スグ日本帝国軍に降伏すれば、危害は加えマセン。」

「しわいちや!御託はもうえい!はようケリつけようぜよ!」

 龍馬は叫び、マッカーサーからの降伏勧告をはね除け、ついに全面対決となる。

「Listen to me, all of you! The die is cast! One murder makes a villain, Millions a hero. Numbers sanctify!  You're quite the war heroes!!!(よく聞け、皆の者!賽は投げられた。1人の殺人は犯罪者になるが、100万人の殺人は英雄になる。人数が殺人を神聖化するのだ!君たちはこの戦の英雄だ!!!)」

 マッカーサーは自らが鍛え上げた兵隊たちに檄を飛ばした。
 まさに今、『軍人』対『武士』たちの戦いの火蓋が切って落とされた。
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