僕は幸せになりたい

阿誰

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第1章 幼少期

誕生

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「あなた達が生まれた日、私はお母さんになったのよ」
お母さんは2人に囁きました。
「生まれてきてくれて、ありがとう。
私をお母さんにしてくれて、ありがとう」

       児童書・双子のミーナとリーナ より


*****





気がつくと、暗い場所にいた。
きつくて、苦しい。
隣でももぞもぞ動いている。
なんか、痛覚が少し戻っているみたい。



ここから出なきゃいけない。
でも、外の世界が怖い。


そう思ってぐずぐずしてると、ふいに少し締め付けが弱くなった。
どうやら、隣にいたもぞもぞ動いていたものが先に行ったみたいだ。

双子だったんだ。

僕も出ないといけない。
そう思って、体を思いっきりよじった。

すると頭のてっぺんが外気に触れて冷たくなった。


もう少し、もう少し。



そうこうしているうちについに足までするっと抜けた。


やった。


「おぎゃぁあぁぁぁぁ」


産声もあげれた。

無事に第一関門突破できてもう泣いちゃいそうだ。


あ、もう泣いてるか。


僕は産湯で洗われてベットに横たえられた。

ん?なんか空気がピリピリしてる?

目はよく見えない。

耳もよく聞こえなかった。

だけど、何年も人の顔色を伺って生きてきたんだ。空気を読むのは少し得意。

だからわかった。

大人達が僕を見て険悪ムードになっているのが。


まあ、今は眠いから寝よう。
もしかしたらゆっくり眠れる最後のチャンスかもしれないから。

そう思って目を閉じた。
なんと2秒で僕は意識を手放した。
自己ベスト更新だ。

それじゃ、おやすみなさい……
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