臓物少女

戸影絵麻

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♯103 再起は茨の道⑦

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「速射砲的2次元クズ野郎、か…。確かに、言われてみればそうかもしれない。だが」
 明は寝技をかけるように紗英の脚に絡みつき、床に引き倒した。
「今はそんな大喜利みたいなことをやりあっている場合ではないんだ。すぐにでも特訓を始めねば」
 目の前に息づく紗英の胸は相変わらず豊乳だ。
 Tシャツを持ち上げるそのふたつの紡錘形は頂点に謎のポッチを宿し、明の目をくぎ付けにする。
 が、明が優位に立っていられたのはほんの数秒間のことだった。
 くるりと態勢を入れ替えると、あっという間に紗英が明の上に馬乗りになったのだ。
「あんたのいう通りにすれば、本当にあいつに勝てるっていうの?」
「ああ、もちろんだ。俺を誰だと思ってる」
「早漏変態ゴミクズ野郎」
「むう…。さっきより酷い言われ方のような気がするが、そうではない。俺は君を創った大神博士の一人息子だぞ」
「それは…そうだけど」
 紗英がひるむ気配が、明に伝わってきた。
 ようし、もう一押しだ。
「つまり、父亡き後、君のことを誰よりも熟知しているのはこの俺しかいないと、必然的にそういうことになる」
「…」
 紗英はそれでも不満げだ。
 ただ、幸いなことに、さっきまでのような激しい敵意は感じられなくなっている。
「俺に任せなよ。悪いようにはしない。それに、俺はただスケベ心からだけで、言ってるわけじゃないんだから」
「少しは、あるんでしょ。スケベ心」
「まあ、ほんのわずかに、だが」
「やっぱり…」
 このままじゃ、埒が明かない。
 ここは一気に押し切ろう。
「ね、わかったでしょ」
 決意を胸に明は振り向き、明るい声で女刑事に呼びかけた。
「やっぱり彼女を救えるのは、俺しかいないんですよ」
「そうねえ」
 笹原刑事は耳に当てていたスマホをスーツのポケットにしまうと、
「今、上層部から報告があったわ。都心の商業施設に、あのチンポコ野郎が出現したって。この前の出現は舞台がここだったから、幸か不幸か被害者は紗英ちゃん一人で収まったけど、今度は大惨事になってる。あの巨根野郎、年齢美醜に関係なく、女性とみればことごとく襲い掛かり、後ろから前からレイプを繰り返しているらしい。このままでは、日本はあのチンポコ野郎の子孫でいっぱいになってしまう。早いところ、なんとかしないと」
「だからこそ、アダルトグッズです」
 床に仰臥したまま、明は力説した。
「お願いです。俺にやらせてください。きっと彼女を宇宙一のセフレ、あ、いや、戦士にしてみせます」
「わかった。信じる」
 ため息をつき、額にかかったほつれ髪を指先で掻き上げると、笹原刑事が愁いを帯びた目で2人を見た。
「県警の経費で、このリストにあるアダルトグッズをひとつ残らず注文してあげる。その代わり、あなたたち、地球の未来を頼むわよ」
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