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#51 四天王 その一⑪
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「だめえっ! 明かりをつけないで!」
意外なほど近くで、紗英が悲鳴を上げた。
ひどくしわがれた、不気味な声だった。
だが、遅かった。
一瞬の後、天井の照明が次々に息を吹き返すと、広場の周囲の壁面を占める専門店のすべてのショーウインドウが一斉に明るくなった。
「うぐっ」
防毒マスクの上から、思わず明は口を押さえた。
真昼のように照らされた噴水前広場は、まさに見るに堪えない有様だった。
地獄とはこんな光景を言うのではないか。
そんな気さえする壮絶さなのだ。
バキュームカーが横転して中身をぶちまけたかのような糞便の泥海の中ー。
ピンク色の巨大な尻が、半ば埋もれるようにして浮かんでいる。
二つに割れたつやつやの尻肉は、表面に無数の穴が開いていて、そこから溢れ出る鮮血で斑に染まっている。
尻ノイドが絶命しているらしいことは、遠目にもわかった。
割れ目から覗いた尻ノイドの顏は、何者かに両眼を潰され、絶叫の形に口を開いたままなのだ。
呆気ない終わり方だった。
これを、紗英がやったというのだろうか?
それにしても、その紗英はどこにいる?
明は目を凝らした。
さっき声が聞こえたのは、噴水のあたりである。
あそこか?
なんとなく、噴水を囲む浅い池の中に、紗英が潜っているような気がしたのだ。
その証拠にー。
明の右手はまだ紗英の尻尾を握っており、その尻尾はいつのまにかずいぶんと長く伸びて、池の水面へと続いているのだった。
意外なほど近くで、紗英が悲鳴を上げた。
ひどくしわがれた、不気味な声だった。
だが、遅かった。
一瞬の後、天井の照明が次々に息を吹き返すと、広場の周囲の壁面を占める専門店のすべてのショーウインドウが一斉に明るくなった。
「うぐっ」
防毒マスクの上から、思わず明は口を押さえた。
真昼のように照らされた噴水前広場は、まさに見るに堪えない有様だった。
地獄とはこんな光景を言うのではないか。
そんな気さえする壮絶さなのだ。
バキュームカーが横転して中身をぶちまけたかのような糞便の泥海の中ー。
ピンク色の巨大な尻が、半ば埋もれるようにして浮かんでいる。
二つに割れたつやつやの尻肉は、表面に無数の穴が開いていて、そこから溢れ出る鮮血で斑に染まっている。
尻ノイドが絶命しているらしいことは、遠目にもわかった。
割れ目から覗いた尻ノイドの顏は、何者かに両眼を潰され、絶叫の形に口を開いたままなのだ。
呆気ない終わり方だった。
これを、紗英がやったというのだろうか?
それにしても、その紗英はどこにいる?
明は目を凝らした。
さっき声が聞こえたのは、噴水のあたりである。
あそこか?
なんとなく、噴水を囲む浅い池の中に、紗英が潜っているような気がしたのだ。
その証拠にー。
明の右手はまだ紗英の尻尾を握っており、その尻尾はいつのまにかずいぶんと長く伸びて、池の水面へと続いているのだった。
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