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#4 告白
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「いい加減にしろよな」
明は吐き捨てた。
「南極だの人肉なんとかだの、はっきり言って意味不明。いい訳ならもっとマシなの考えろよ」
10年前。
ある日突然父が帰って来なくなった。
それまでも大学の研究室に泊まり込むことが多かったため、初めは大して大ごとだとは思わなかった。
当時、すでに大学生だった明は、父との二人暮らしに息苦しさを感じていたところだった。
だから、父が国立大学の研究者だということは知っていたが、研究の内容になど興味もなかった。
そのため、正直、最初の頃は、佐平の不在を心ひそかに喜んだものである。
それから一週間ほどして、絵ハガキが届いた。
今となってはどんな絵柄だったか、覚えていない。
はがきの表面は、ひょっとして、南極の氷河の写真だったというのだろうか。
とにかく、裏面にはひと言、『海外へ行く』と下手糞な字で殴り書きされていただけだった。
そうしてひと月が経ち、半年が過ぎ、帰らぬ父を待つのも馬鹿らしくなった明は、たくわえが底をついたのを潮に大学を辞め、フリーターとしての生活を始めたのである。
「話さなかったか。私の研究の内容を」
ゴホ、ゴホッと耳障りな咳をしながら、佐平が続けた。
「万能細胞を使って、人間のすべての器官を複製し、手軽で安価な臓器移植を可能にする。そのために、大学の研究室で、日夜実験に励んだのだ。だが、普通のIPS細胞では培養に時間がかかり過ぎ、なにより結果が不確かだ。ようやく完成にこぎつけても、臓器自身の生命力が弱く、すぐに死んでしまう。その時だ。失意のどん底にあった私に、アメリカのの友人から、衝撃的な情報がもたらされたのは。南極の地底湖で、不死の生命体が発見されたというのだ。その生物は、アミガサクラゲという新種のクラゲで、成長して老化が始まると、再び幼体であるポリープに戻り、若返りを図るという」
明は吐き捨てた。
「南極だの人肉なんとかだの、はっきり言って意味不明。いい訳ならもっとマシなの考えろよ」
10年前。
ある日突然父が帰って来なくなった。
それまでも大学の研究室に泊まり込むことが多かったため、初めは大して大ごとだとは思わなかった。
当時、すでに大学生だった明は、父との二人暮らしに息苦しさを感じていたところだった。
だから、父が国立大学の研究者だということは知っていたが、研究の内容になど興味もなかった。
そのため、正直、最初の頃は、佐平の不在を心ひそかに喜んだものである。
それから一週間ほどして、絵ハガキが届いた。
今となってはどんな絵柄だったか、覚えていない。
はがきの表面は、ひょっとして、南極の氷河の写真だったというのだろうか。
とにかく、裏面にはひと言、『海外へ行く』と下手糞な字で殴り書きされていただけだった。
そうしてひと月が経ち、半年が過ぎ、帰らぬ父を待つのも馬鹿らしくなった明は、たくわえが底をついたのを潮に大学を辞め、フリーターとしての生活を始めたのである。
「話さなかったか。私の研究の内容を」
ゴホ、ゴホッと耳障りな咳をしながら、佐平が続けた。
「万能細胞を使って、人間のすべての器官を複製し、手軽で安価な臓器移植を可能にする。そのために、大学の研究室で、日夜実験に励んだのだ。だが、普通のIPS細胞では培養に時間がかかり過ぎ、なにより結果が不確かだ。ようやく完成にこぎつけても、臓器自身の生命力が弱く、すぐに死んでしまう。その時だ。失意のどん底にあった私に、アメリカのの友人から、衝撃的な情報がもたらされたのは。南極の地底湖で、不死の生命体が発見されたというのだ。その生物は、アミガサクラゲという新種のクラゲで、成長して老化が始まると、再び幼体であるポリープに戻り、若返りを図るという」
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