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戸影絵麻

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#146 自身最速レビュー? ~ブレット・トレイン~

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『ブレット・トレイン』は、伊坂幸太郎の『マリアビートル』をハリウッドが映画化したもので、

 主演ブラッド・ピットという異色作。

 映画版のタイトルは、『弾丸列車』という意味(だそう)です。

 そして監督は『デッドプール2』のデヴィッド・リーチときたら、さてどんな映画になりますか?

 と期待も膨らみます。

 封切は、ちょうどこれを書いている今日、9月1日。

 私には珍しく、封切当日の最速レビューです。



 あらすじはこんなふう。

 
「列車からブリーフケースを奪ってほしい」。
 ハンドラーのマリアからそんな依頼を受けたセラピー中の殺し屋レディバグ(ブラッド・ビット)。
 東京発の高速鉄道に乗り込んだ彼は、いとも簡単にケースを探し出すものの、品川で下車しようとしたところ、そこになぜかメキシコの殺し屋ウルフが乗車してきて、殺し合いになる。ウルフは結婚式の披露宴で妻を毒殺したのがレデイバグだと思い込み、殺しにやってきたらしいのだが、実はこの列車にはほかにも、プリンス、みかん、レモン、キムラ、ホーネットなど、世界各国から多くの殺し屋が乗車していたのだ。

 殺し屋たちの背景の説明は全編タランティーノ風。前半の印象はコメデイ要素の強い『キル・ビル』か。
 後半の新幹線をクラッシュさせるシーンなどはさすがハリウッド。『スパイダーマン』もかくやの迫力です。
 伊坂幸太郎原作の映画といえば、『ゴールデンスランバー』『アヒルと鴨のコインロッカー』など、邦画の傑作が多いので、果たしてハリウッドの大味な脚本であの複雑な伏線回収ができるのかという懸念もありましたが、そこは何とか無事クリアしていたといえるのではないでしょうか。

 故意にデフォルメしたド派手な日本の描写といい、真田広之の剣戟シーンで突然流れる麻倉未稀の『ヒーロー』といい、本当にJAPANが好きな人が作ったんだなあ、と全体を通してうれしくなる出来に仕上がっています。
 主人公のブラッド・ピットはとぼけたユーモアを醸し出しながらもやっぱり一番強いし、老人扱いされながらも真田広之は相変わらずかっこいいし、殺し屋レモンとみかんのコンビも実にキャラが立っています。
 (いかにも伊坂幸太郎ぽい台詞を吐くブラッド・ピットというのは、非常に新鮮でもあります。)

 惜しむらくは、中盤をもっとタイトにして、終盤への求心力を強化するために謎の訴求に時間を振り分けたほうが、狭い列車内でのアクションシーンの連続という単調さをもう少し払しょくできたのではないかと思います。

 まあ、見終わった後で振り返ってみると、私が見落としていた伏線や暗喩も色々あったようで、あまりえらそうなことは言えないのですが・・・。

 とにかく、伊坂幸太郎とタランティーノが好きな方には手放しでお薦めの一本ですね。

 
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