気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
89 / 207

#87 高校生の時に見たかった! ~ブラック校則!~

しおりを挟む
 この『ブラック校則!』は、テレビドラマと並行して封切られるという、あまり類を見ない戦略の映画です。

 出演者もテーマもほぼ同じ。

 ドラマがゆる~い展開で笑いの要素を前面に押し出しているのに対し、映画は短い分、熱さ全開。

 あらすじはこんなふう。


 さえない高校生・創楽(佐藤勝利)と親友の中弥(髙橋海人)。

 ふたりが通う高校は、生徒を理不尽なブラック校則でしばりつけている。

 ある朝、創楽はひとりの女生徒に心を奪われる。

 彼女の名前は希央(モトーラ世理奈)。

 生まれつきの栗色の髪を黒く染めるよう強要された希央は、不登校気味となり、退学寸前の状況に陥っていた。

 事情を知った創楽は、中弥とともに、希央ために校則を変えようと立ち上がる。

 
 かつて広瀬すずと神木隆之介が主演していた『学校の階段』っぽい派手な青春ものを期待していると、登場する俳優がほとんど知らない人たちばかりで、ストーリー展開も地味なので、肩透かしを食らうことになります。

 でも、実はそこがリアルでとてもいい。

 ヒロインは典型的なアイドル顔ではないし、ジャニーズの主演ふたりがいかにも高校生っぽく、初々しい。

 特にラストは私の好きなあのパターンでした。

 陸上部員だが、最近スランプに陥っている女子生徒会長。

 三点シュートの練習しかしないバスケ部員。

 吃音がひどく、会話が苦手だが、ラップでなら自己表現できる陰キャのクラスメート。

 守備はズタボロだが、肩だけは異様に優秀な野球部員。

 ふだんは敵味方に分かれている彼らが、ラスト、自分の特技を活かしてヒロインを救うべく奮闘する。

 この、「ダメダメだけどなにかひとつ特技があるメンバー」が、最後にその特技を活かして活躍するー。

 まさに山田正紀の冒険小説のノリ、映画で言えば、『小さな勇者たち~ガメラ~』の世界観でしょうか。

 色々世間の事情がわかってしまった大人が見ても面白い良作ではありますが、できればまっさらな高校生の時に見たかったというのが、正直な感想です。

しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...