気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#82 そりゃ、キレたくもなるよね ~ジョーカー~

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 話題の『ジョーカー』、観て来ました。

 こんな話です。

 ゴッサムシティで病気の母親とふたりで暮らすアーサーは、コメディアンを夢見るしがない雇われピエロ。

 彼には、笑いの発作が起こると止まらなくなるという持病がある。

 地味で質素な生活を送るアーサーだったが、仕事中、ストリートギャングに袋叩きにされたあたりから徐々に人生が狂っていく。

 仕事を失い、失意のどん底で乗った地下鉄の中で彼は絡んできた証券会社のサラリーマン3人を殺してしまう。

 その事件は富裕層への反逆ととらえられ、社会現象にも発展するが、彼自身はその後、最愛の母親が自分をだましていたことを知り、病院で彼女を殺害、更に自分が仕事をクビになるきっかけを作った元同僚を殺害と、どんどん罪を重ねていく。

 最後に、ある理由で人気番組に出演することになった彼は、その場で自分が殺人犯であることを告白し、自分を侮辱しようとした司会者を射殺、警察に逮捕される。

 が、移送される彼を、ゴッサムシティに溢れ返る暴徒たちが救い、彼は一躍悪のヒーローとしてまつり上げられる…。

 
 この映画のすごいところは、コミックのヴィランを主人公に据えているにもかかわらず、圧倒的なリアリズムでじわじわ肌感覚で迫ってくるところ。

 こんなひどい目に遭えば、誰だってジョーカーになりたくもなるわな、と見る方は確実に彼に感情移入してしまいます。

 最近、世間を騒がせる陰惨な事件の数々を見るにつけ、わが国にもジョーカーが現れる素地は十分にあると思われます。

 ただ、ここで描かれたジョーカーはあくまでもまだ人間の範疇を出ておらず、彼が『ダークナイト』の悪党に成長し、『スーサイド・スクワット』でハーレクィーンを恋人にする境遇に至るまでには、まだまだかなりの修行が必要なのでしょう。

 ちなみに、バットマンとの因縁もきっちり描かれていますので、特にDCファンの方はお見逃しなきよう。
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