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#358 若い牝③

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「それなんですけど」
 梨乃が口籠った。
「ちょっと複雑な事情がありまして…。実はうち、私と姉が学生の頃、父が病死してるんです」
 伏せた目のまつげが、地毛なのにとても長くて美しい。
 梨乃は清楚な白いブラウスに淡いピンクのスカート姿である。
 にもかかわらずテーブルの上に出ている胸のあたりのボリューム感はすごく、ボタンが今にもはじけ飛びそうだ。
 しかも薄い生地を通してピンクの下着が透けていて、ついついそこに目が行ってしまう琴子だった。
「昨年母が再婚したんですけど、その継父というのが、外面だけ紳士ぶったとんでもないエロ親父で…。私の入浴中に突然お風呂場に入ってきたり、私の部屋に勝手に上がり込んで下着を漁ったり、階段の下に隠しカメラをセットして私のスカートの中を写そうとしたりして…。本当に、ひどいんですよ」
 エロ親父なる俗語が梨乃の口から飛び出したのには度肝を抜かれたが、本人はそのことにも気づかないほど怒っているようだった。
「まあ…。おかあさまは、なんと…?」
「母はあの歳で再婚できたことに有頂天で、男に頭が上がらないんです。だから当然、何があっても見て見ぬふりを決め込んでいて…。私、もうあの家に住むなんて耐えられなくって、それで姉に連絡を取って、しばらく一緒に住まわせてもらうつもりだったんですけど…今回の淳一君の件で、それが難しくなってしまって…」
「ならばわざわざ私が出向かなくても、仁美さんが戻るまで、あなたひとり、お隣の部屋を使わせてもらえばいいんじゃない?」
「それが…」
 はにかむような表情を顔に浮かべ、琴子を見つめ返す梨乃。
「私ってば、すっごい寂しがり屋さんで、一人暮らしって、昔っから無理なんです。大学生になっても実家暮らしだったのも、実はそのことが一番の理由でして…。おかしいですよね。もうすぐ二十歳なのに」
「そうなんだ」
「それに」
 そこまで言って、突然、梨乃が声を潜めた。
「仁美姉さんから、琴子さんのこと、いろいろ聞いてるうちにすっごく興味がわいちゃって…。たとえばですね」
 にんまり口角を上げて周囲を見回すと、
「この匂い、何でしょう? なんだか生臭いような、生理の時の経血の匂いとも違う、この獣臭い匂い…」
 琴子の顔から血の気が引いた。
 ま、まさか…。
「私、気づいてたんですよ。初めっから。なので、今更、とぼけてもダメですよ、ね、琴子さん」
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