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#240 水の中の淫女たち⑭

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 阿吽の呼吸とでもいうべきだろうか。
 抜き手を切って泳ぎ去るマダムたち。
 待つほどもなく、あちらこちらでコースロープがはずされ、チエミとダダ子のもとに集まってきた。
 ロープをすべて撤去されたプールは、広々とした青い水面をたたえた四角い大きな湖のようだ。
「さあ、ちゃちゃっと縛っちゃいますから、もう少し待っててくださいね」
 ダダ子が言い、チエミに羽交い絞めにされた琴子に近づいた。
 まず右手首を手早く縛ると、その端を近くにいたマダムのひとりに手渡しして言った。
「これを南東のコーナーのフックにとりつけてきてくださいな。とりつけたら、そこでしばらく待機願います」
 そして、左手首も同じように緊縛すると、そのロープを別のマダムに渡す。
「これは、南西のコーナーのフックにお願いします。最後に長さを調節するので、そのまま待機してくださいね」
 二本のロープに引っ張られ、琴子が仰向けに水面に浮くと、ダダ子は今度は両足に取りかかった。
 またたくまに両足首を縛られ、衆人環視の中、全裸で大の字に浮かぶ琴子。
 足首を縛ったロープを携えたふたりのマダムがそれぞれ北西と北東のコーナーにたどり着くと、両手をメガホン代わりにして、コーナーで待機する四人に向かって、ダダ子が声を張り上げた。
「では、コーナーのみなさん、ロープをピンと張るまで引っ張ってください。限界まで引っ張ったら、解けないようにフックに縛りつけて、完了したら、こちらに戻ってきてください」
 女の力では大変と判断したのだろう。
 筋骨たくましいビキニブリーフ姿の監視員が四人現れ、それぞれのコーナーに分かれてマダムたちに加勢する。
「ああっ! や、やめてっ!」
 四方にロープを引く力が強まり、琴子の手足はみしみし音を立てて長く引き伸ばされていく。
 肉体的な痛みより、精神的な恥ずかしさのほうが強かった。
 広大なプールの四方の角に取りつけられた、四本の長いロープ。
 そのロープに両手両足を拘束され、琴子の躰は今や水面から出て、空中に浮いている。
 四方にロープで引かれることによって、水面すれすれの位置で、水平に宙に浮かんでいるのである。
 丸く大きな裸の尻に、時折冷たい波が当たる。
 水から浮上した釣鐘型の見事なフォルムの巨乳を、水滴が玉を作っては滴り落ちていく。
 平らな腹部に流線形に刻まれた臍の穴には透明な水がたまり、鈍角にこじあけられた股間には縁の赤い肉の割れ目が、隠れた会陰部にかけて縦にうっすらと淫らに口を開けてしまっている。
 剃毛されたその部分は、周囲がマネキン人形の股間のようにつるつるなだけに、恥丘の隆起が異様に目立つ。
 そういった本来ならば隠すべき多くの恥ずかしい部位が、細かい所まですべて、見ず知らずのセレブマダムたちの前に晒されてしまっているのだ。
「まるで女体盛りだねえ」
 オールヌードでプールの水面上に磔にされた琴子の姿態を舐めるように見て、チエミが言った。
「皆さんが心ゆくまで凌辱し終えたら、奥さんの女体の上にオードブルを盛ってお酒飲むのもいいかもね」
「それもいいけど、早く始めようよ。ダダ子、この躰、見てるだけでもう鼻血出そう」
「わかるう。琴子さんって、ほんと、スケベな躰してるもんねえ」
 チエミが言うと、プールサイドの方から、パチパチと手を叩く音が聞えてきた。
 見ると、セパレーツの水着の胸を揺らして、仁美が前かがみになり、こちらに身を乗り出している。
「さあさ、皆さん、楽しんでくださいな。あたしはここから見物させていただきますから」
 首から下げた双眼鏡を掲げて見せると、にっこり笑ってそう言った。 

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