1 / 79
プロローグ
action 0 終わりの始まり
しおりを挟む
始まりは、オーロラだった。
場所は、中部地方の太平洋側に位置する政令指定都市、那古野市。
4月30日未明、都市の周辺部で一斉に夜空にはためく極彩色の光の幕が観測されたのだ。
オーロラが消えると、そこに現れたのは不可視の”壁”だった。
空気と電波のみを通す透明な壁。
それが、ドーム状に那古野市を押し包んだのである。
次に、爆発が起こった。
市の東部にある国立大学の研究施設の一画が、謎の爆発で吹き飛んだのだ。
そして、何かが漏れた。
その”何か”は、瞬く間に人間に感染し、人々を血に飢えた野獣に変えた。
人口200万の閉ざされた大都市が、真の地獄に変わるのに、長くはかからなかった。
この物語は、そのリアル地獄に果敢に挑んだ、ひとりのヘタレの物語だ。
そのヘタレとは、何を隠そうこの僕のこと。
僕の正体は…。
なんて、もったいつけるほどの者ではない。
出雲明、20歳。
彼女いない歴20年。
知力も体力も常人に劣る、どこにでもいるようでなかなかいない、本物のヘタレ大学生である。
僕はこの場を借りて、ここ2か月の間に起こったあの大異変の顛末と真相を記そうと思う。
それはあまりにも常軌を逸していて、とても正気の沙汰とは思えない内容だ。
だからこれをお読みの皆さんも、途中で「そんな馬鹿な」と思ったら、遠慮なく読むのをやめていただいて構わない。
ただ、誰も読まなくなっても、僕はこの物語を最後まで書き続けるに違いない。
僕の最愛の妹、あずみとの思い出を、心の中に永遠に刻み込むために。
場所は、中部地方の太平洋側に位置する政令指定都市、那古野市。
4月30日未明、都市の周辺部で一斉に夜空にはためく極彩色の光の幕が観測されたのだ。
オーロラが消えると、そこに現れたのは不可視の”壁”だった。
空気と電波のみを通す透明な壁。
それが、ドーム状に那古野市を押し包んだのである。
次に、爆発が起こった。
市の東部にある国立大学の研究施設の一画が、謎の爆発で吹き飛んだのだ。
そして、何かが漏れた。
その”何か”は、瞬く間に人間に感染し、人々を血に飢えた野獣に変えた。
人口200万の閉ざされた大都市が、真の地獄に変わるのに、長くはかからなかった。
この物語は、そのリアル地獄に果敢に挑んだ、ひとりのヘタレの物語だ。
そのヘタレとは、何を隠そうこの僕のこと。
僕の正体は…。
なんて、もったいつけるほどの者ではない。
出雲明、20歳。
彼女いない歴20年。
知力も体力も常人に劣る、どこにでもいるようでなかなかいない、本物のヘタレ大学生である。
僕はこの場を借りて、ここ2か月の間に起こったあの大異変の顛末と真相を記そうと思う。
それはあまりにも常軌を逸していて、とても正気の沙汰とは思えない内容だ。
だからこれをお読みの皆さんも、途中で「そんな馬鹿な」と思ったら、遠慮なく読むのをやめていただいて構わない。
ただ、誰も読まなくなっても、僕はこの物語を最後まで書き続けるに違いない。
僕の最愛の妹、あずみとの思い出を、心の中に永遠に刻み込むために。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
【完結】選択肢〜殺す人間を選んでください
リオール
ホラー
「伊織ちゃんは明日死にます」
その黒い球体は俺にそう言って選択を迫った。
他人の命を奪い愛する伊織を救うか、他人の命を守って伊織を見殺しにするか。
俺が選んだのは──
===筆者注===
こちらは【サスペンスホラー】になります(予定)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる