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#226 暗黒の塔⑳

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 ふ、不感症?

 ちょっと、そんなの聞いてないじゃない!

 どうせなら、もっと早く教えてよ!

 体勢を立て直し、アマゾネスのふたり組がのっしのっしと歩いてくる。

 虎革のビキニアーマーから露出した肉体は、男のボディビルダーよりも更にマッチョである。

「くう、行け! エア・バイブ!」

 苦し紛れに、もう一発、エロ魔法を発動させてみる。

 が、やはりだめだった。

 一時的に歩みが停まったものの、それもほんの一瞬のことで、ふたりはもう私に手の届くところまでやってきていた。

 こうなったら、周りの客を巻き沿いにするしかない。

 魔法を選んでなど、いられないのだ。

「エクスタシー・タイフーン!」

 両手を掲げ、淫夢の風を吹かせてやった。

「あふ」

「うぐ」

「はあ」

「き、気持ち、いい」

 とたんに店中で喘ぎ声の大合唱が沸き起こり、椅子から転げ出た客たちが通路をふさいだ。

 みんなこぞって慌ただしく服を脱ぎ捨て、その場でオナニーかセックスを始めている。

 女同士のグループは、突然レズビアンの集団と化し、3Pや4Pのレズプレイに余念がない。

「あん、だめよ、翔子、それを使っちゃあ」

 テーブルの下から這い出てきたソフィアが、後ろからしがみついてきた。

 ミニスカート型のアーマーをたくし上げ、私の太腿に股間をこすりつけてくる。

 その向こうでは一平が床にひっくり返り、短パンから鉛筆みたいなペニスを引っ張り出して狂ったサルのようにしごいている。

「またえらいことになったものだな」

 ラルクだけが例外で、苦虫を噛みつぶしたような顔で煙草を吸っているのはどういうわけだろう?

 が、肝心のアマゾネスふたり組は、強烈な淫風にさらされても涼しい顔をしていた。

 エクスタシー・タイフーンがまるで効いていないのだ。

「割礼されているのかもな。成人とともに女性のクリトリスを切除する。宗教的理由で、今でもそんな残酷な儀式を執り行う民族は数多い」

「じゃあ、あのふたりには、エロ魔法は効かないってこと?」

 ラルクの寸評に、私は青ざめた。

 それじゃ、いくら私のレベルが高くても、意味ないじゃない!

「いや、そうでもない。現に今のエクスタシー・タイフーンで、彼女らの足は足止めされている。そうした副次的な使い方もあるということだ」

 なるほど。

 客たちが床に転がり、めいめい性的行為に耽り始めたせいで、それが障害物になり、ふたりは立ち往生しているのだ。

 副次的なエロ魔法の使い方?

 つまり、あれですか。

 快感を与えることに主眼を置くのではなく、とにかく敵を行動不能にしろというわけね。

 業を煮やしたらしく、アマゾネスたちがテーブルに飛び乗った。

 テーブルの上を飛び石伝いに飛んでこられたら、万事休すというわけだ。

「なにか方法がありそうか?」

 眉をひそめてラルクが訊いてきた。

「うん。なんとか」

 私は自信満々でうなずき、そして両手をすばやく交差させた。

「アビリティ・Wエロ魔法発動! くらえ! 召喚魔法! 美尻ボンバー、&ローリング69!」



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