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#54 迷宮の女王④

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 女王アリの動きが止まっていた。

 次の指令を待つかのように、アラクネをじっと見下ろしている。

 が、そのアラクネは、すでにもう、それどころではなかった。

 私のエロ魔法が発動して、忘我の境地に陥りかけているのだ。
  
 両手を頭の後ろに回し、身をくねくねさせているのは、全身さわさわが効いている証拠だろう。

「ああん」

 悩ましい声を漏らしながら網タイツの太腿をこすり合わせているのは、エア・クンニが猛威を振るっているからに違いない。

「どう? もっと気持ちよくなりたいと思わない?」

 もう一度ささやきかけてみる。

 と、ようやく私の存在に気づいたらしく、アラクネが顔を上げ、あっと小声で叫んだ。

「な、なんだおまえは? 捕虜のくせに、ここで、な、なに…を、ああ。あふ、くう」

「見てわからない? 私はエロ魔導士。ただの雑魚とは違うのよ」

「エ、エロ魔導士? の、野良のエロ魔導士なぞ、き、聞いたことがないぞ? ん、あ。あはあ」

 可愛い唇が、快感に歪んでいる。

 私がイメージの中で、アラクネの”アワビ”をべろべろに舐めたくっているからだ。

「さ、どうなの? もっと気持ちよくなりたいの? なりたくないの?」

 アワビの上の方で次第に大きくなる真珠を、ヴァーチャルな舌でつつき回しながら詰問する。

「な、なりたい」

 ついにアラクネは観念したようだった。

 仮面の奥から覗く目に、淫蕩な光がゆらゆら揺れている。

「じゃ、まずこの手錠を外して」

 私はアラクネに背中を向けた。

「に、逃げるつもりじゃ、な、ないだろうな? う、うふん」

「逃げるなんてとんでもない。エロ魔導士の務めは、皆にエロスを振りまくこと。あなたを蛇の生殺しにはさせないわ」

 といいつつ、もちろんこれは嘘も方便で、私は逃げる気満々だ。

「や、約束だぞ」

 アラクネが胸元から小さな鍵を取り出しながら、言う。

「私は長旅でちと欲求不満なのだ。おまえの力で一気に昇天させておくれ」

「任せなさい」

 自由になると、私はアラクネのビスチェの胸元に右手を突っ込んだ。

 思った通り、まあるい乳房のてっぺんで、乳首がトキントキンに尖っていた。

 頭の中で真珠をしゃぶり倒しながら、指先で勃起乳首を思いきりつまみ上げる。

 ラジオのボリュームを上げる時みたいに、ぐいと180度ひねってやった。

「ふあああああああっ」

 悶え狂うアラクネ。

 すでに彼女の意識はこの世界にはない。

 チャンスだった。

 私は振り向くと、アリ人間たちの足元に倒れているラルクとソフィアに向かって、大声で叫んだ。

「ふたりとも、できるだけ遠くに逃げて! 一気にカタをつけるから!」
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