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#25 早くも絶体絶命?

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 橋を渡り始めると、カイルたちがほうほうのていで駆け戻ってきた。

「撤退だ! 一時、要塞に避難!」

 脇に寄って人波をやり過ごしていると、男たちの中からソフィアの白い顔が現れた。

「翔子に兄者、ここは危険よ!」

「わかっている」

 私の陰に隠れていたラルクが偉そうに言った。

「しかし、誰かがあのトロルを止めなければならないのだ」

 ずしんと橋が震えた。

 怪物が橋を渡り始めたのだ。

 おわあああああっ!

 悲鳴とも喚き声ともつかぬ、異様な咆哮を上げている。

「じゃ、私も残ります」

 ソフィアが言い、剣を構えた。

 聖なる剣グランデルが、月光を浴びて青白く輝いた。

「さすがわが妹、よい心掛けだ。その剣なら、あの化け物にとどめを刺せるに違いない。だが、その前に、やつの動きを封じねばならぬ」

「それを、私にやれっていうわけね」

 私は背後のイケメンを振り返った。

 まったく、顔がよくなかったら、この橋から突き落としてやるところである。

「翔子、がんばって」

 ソフィアの声援を背に受け、誰もいなくなった橋の中央に立った。

 川底から吹き上げる突風が、長い髪と一緒に、短すぎるスカートのすそを舞い上げる。

 ぴちぴち白ブルマが丸見えだが、この際そんなことには構っていられない。

「行くよ! W魔法!」

 両手を天に突き上げ、私は叫んだ。

「発動! 全身さわさわ+エア・フェラチオ!」

 フランクフルトをくわえ、怪物の股間を凝視する。

 トロルは丸裸なので、剛毛に覆われた下半身からバナナのように巨大な一物がぶらぶら垂れ下がっている。

 そいつめがけて念をぶつけたつもりだったのだけど…。

 なぜか、何も起こらない。

「あれ?」

 私はうろたえた。

 いくらソーセージをちゅぱちゅぱやっても、トロルのあれが勃ってこないのだ。

「魔法が、き、効かない」

 たじたじとなって振り返ると、ラルクの生真面目な顔と目が合った。

「効かないんじゃない。MP切れだ」

 あっさりそういわれた。

「腕輪を見てみろ。ステータスのMPのところだ。残量ゼロになっていないか?」

「あ」

 なっていた。

 オーク相手に、エア・フェラチオを使い過ぎたのだ。

「範囲魔法はMP消費量が多いのだ。思った通りだったな」

 ラルクの奴、わが意を得たりとばかりに、しきりにうんうんとうなずいている。

「どうしたらいいの? どうすればMP回復する?」

 これがゲームなら、しかるべき薬かアイテムがあるはずである。

「ハイエーテルとかエリクサー、持ってないの?」

「なんだそれは」

 ラルクが眉をひそめた。

「エロ魔導士のMP回復法といったら、ひとつしかないだろう」

「何それ? 早く教えて」

 いらいらと私は言った。

 時間がない。

 トロルはすぐそこまで迫っているのだ。

 と、横からソフィアが口をはさんだ。

 なぜか頬を赤らめていた。

「セックスよ。エロ魔導士のMPは、セックスでしか、回復できないの」






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