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#16 ソフィアの決意
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一晩中、お互いの肉を貪るように乳繰り合っているうちに、疲れ果てていつの間にか眠っていたらしい。
目を覚ますと、すでに陽は高く上り、開いた窓からはそよ風と小鳥たちの鳴き声。
「おはよう」
声のしたほうに顔を向けると、すでに服を着こんだソフィアが椅子に座り、こちらを眺めていた。
「お、おはよう」
シーツで裸の身体を隠し、私は身を起こした。
快いけだるさが、全身を覆っていた。
昨夜のことを思い出し、そっとひとり、頬を赤らめる。
あれは、私にとって、初の性体験だったのだ。
女同士とはいえ、セックスがあんなにも気持ちいいものだったとは…。
私は生まれ変わったこの肉体に、初めて感謝した。
以前の、どっちが前か後ろかもわからないあの身体と比べたら、なんと感度のいいことか。
それこそ、20万キロ走った15年落ちの中古車と、新車のポルシェを比べるようなものだった。
この爆乳は肩が凝るだけで邪魔だと思っていたけれど、そうではなかった。
触られるとすごく感じるし、使いようによっては相手を気持ちよくすることもできるのだ。
第一、このエロ魔導士の肉体がなければ、ソフィアは私なんかに見向きもしなかったに違いない。
しかし、考えてみると、信じがたい出来事の連続だった。
釣りの途中で尿意を催し、草葉の陰で排尿しているところに運悪く隣国の弾道ミサイル落下。
死んで目覚めるとそこは煉獄。
女神さまから三角くじで、クリリングなるものをもらい、異世界転生。
転生先のサンフローレンスでモブに襲われる出戻り王女ソフィアを助け、いっしょに旅することに。
その間にいくつか魔法を覚え、今やエロ魔導士レベル20である。
「何考えてるの? 難しい顔して」
私の目をのぞき込むようにして、ソフィアが訊いた。
「ひょっとして、私のこと? 翔子、私のこと、好きになっちゃった?」
「あ、うん、いいえ。滅相もない」
私は曖昧にかぶりを振った。
「滅相もないって、何? どういう意味? 言っとくけど、私は翔子が好きよ。昨夜は本当にすごかったし、もう、男なんて要らない。翔子とは絶対に離れられないって、心の底から思ったもの。だから、いいのよ。私のこと、好きになっても。愛してくれてもね。ただね、私たち、幸せになる前に、やらなきゃならないことがある。あなたとの愛を深め合いたいのは山々なんだけど、まずは世界を救わなきゃいけないの」
「少し悲しそうな表情で、ソフィアが言った。
「オークのこと? 川の向こうに陣を張ってるっていう」
きのうの話を思い出して、私はたずねた。
「そうね。それもある。早いとこ、準備を済ませて、父や兄たちの加勢に行かなきゃね。でも、本当はもっと、根が深いんだ。オークの背後には、モブを操る魔王が潜んでるの。おそらく私が宮廷を追われたのも、魔王の陥穽に陥ったせい。百年ぶりに復活した魔王は、モブたちを配下にして、再びこの世界を闇で覆いつくそうとしているの。だから、私たちは、なんとしてでもその魔王を倒さなければならない。それにはまず、ミューズの鍵を手に入れて、幻界の扉を開き、幻界の女神さまのご加護を受けるのよ。私はそれこそが己の使命と信じてる。そして翔子、あなたは私の心強い右腕だわ」
ゆうべ、私の腕の中で乱れに乱れ、すすり泣いて愛撫を哀願した淫乱少女の面影は、今のソフィアにはかけらもなかった。
すっかり元の気高い女戦士に戻っている。
乱れるソフィアも好きだけど、私はこの凛々しいソフィアが何よりも好きだった。
「実は私も、煉獄の女神さまに言われたんだよ」
ガウンを羽織りながら、私は言った。
「このクリリングで、世界を救いに行きなさいって」
「クリリング?」
「これのこと」
股を開いて見せてあげる。
ソフィアの前では、羞恥心など吹っ飛んでしまったようだ。
「ああ、エロ魔導士の証ね」
「そうなのかな。とにかくね、そういうことだから、私も手伝うよ。魔王って何か知らないけど、レベルも順調に上がってるし」
「ありがとう」
ソフィアがにっこり微笑んだ。
「じゃ、さっそく服を着て。朝食の後、ギルドの登録と、武器屋と防具屋で準備を調えましょう」
「いいけど…。でも、私、この世界のお金、持ってないよ」
転生で財布もカードも消えてしまったのである。
たとえこの世界に銀行があっても、換金できないというわけだ。
「大丈夫。私に任せて」
ウィンクしながら、ソフィアが言った。
「経費は全部、私が持つから」
おお。
私は感動した。
持つべきものは、お金持ちのレズ友である。
そう思ったのだ。
目を覚ますと、すでに陽は高く上り、開いた窓からはそよ風と小鳥たちの鳴き声。
「おはよう」
声のしたほうに顔を向けると、すでに服を着こんだソフィアが椅子に座り、こちらを眺めていた。
「お、おはよう」
シーツで裸の身体を隠し、私は身を起こした。
快いけだるさが、全身を覆っていた。
昨夜のことを思い出し、そっとひとり、頬を赤らめる。
あれは、私にとって、初の性体験だったのだ。
女同士とはいえ、セックスがあんなにも気持ちいいものだったとは…。
私は生まれ変わったこの肉体に、初めて感謝した。
以前の、どっちが前か後ろかもわからないあの身体と比べたら、なんと感度のいいことか。
それこそ、20万キロ走った15年落ちの中古車と、新車のポルシェを比べるようなものだった。
この爆乳は肩が凝るだけで邪魔だと思っていたけれど、そうではなかった。
触られるとすごく感じるし、使いようによっては相手を気持ちよくすることもできるのだ。
第一、このエロ魔導士の肉体がなければ、ソフィアは私なんかに見向きもしなかったに違いない。
しかし、考えてみると、信じがたい出来事の連続だった。
釣りの途中で尿意を催し、草葉の陰で排尿しているところに運悪く隣国の弾道ミサイル落下。
死んで目覚めるとそこは煉獄。
女神さまから三角くじで、クリリングなるものをもらい、異世界転生。
転生先のサンフローレンスでモブに襲われる出戻り王女ソフィアを助け、いっしょに旅することに。
その間にいくつか魔法を覚え、今やエロ魔導士レベル20である。
「何考えてるの? 難しい顔して」
私の目をのぞき込むようにして、ソフィアが訊いた。
「ひょっとして、私のこと? 翔子、私のこと、好きになっちゃった?」
「あ、うん、いいえ。滅相もない」
私は曖昧にかぶりを振った。
「滅相もないって、何? どういう意味? 言っとくけど、私は翔子が好きよ。昨夜は本当にすごかったし、もう、男なんて要らない。翔子とは絶対に離れられないって、心の底から思ったもの。だから、いいのよ。私のこと、好きになっても。愛してくれてもね。ただね、私たち、幸せになる前に、やらなきゃならないことがある。あなたとの愛を深め合いたいのは山々なんだけど、まずは世界を救わなきゃいけないの」
「少し悲しそうな表情で、ソフィアが言った。
「オークのこと? 川の向こうに陣を張ってるっていう」
きのうの話を思い出して、私はたずねた。
「そうね。それもある。早いとこ、準備を済ませて、父や兄たちの加勢に行かなきゃね。でも、本当はもっと、根が深いんだ。オークの背後には、モブを操る魔王が潜んでるの。おそらく私が宮廷を追われたのも、魔王の陥穽に陥ったせい。百年ぶりに復活した魔王は、モブたちを配下にして、再びこの世界を闇で覆いつくそうとしているの。だから、私たちは、なんとしてでもその魔王を倒さなければならない。それにはまず、ミューズの鍵を手に入れて、幻界の扉を開き、幻界の女神さまのご加護を受けるのよ。私はそれこそが己の使命と信じてる。そして翔子、あなたは私の心強い右腕だわ」
ゆうべ、私の腕の中で乱れに乱れ、すすり泣いて愛撫を哀願した淫乱少女の面影は、今のソフィアにはかけらもなかった。
すっかり元の気高い女戦士に戻っている。
乱れるソフィアも好きだけど、私はこの凛々しいソフィアが何よりも好きだった。
「実は私も、煉獄の女神さまに言われたんだよ」
ガウンを羽織りながら、私は言った。
「このクリリングで、世界を救いに行きなさいって」
「クリリング?」
「これのこと」
股を開いて見せてあげる。
ソフィアの前では、羞恥心など吹っ飛んでしまったようだ。
「ああ、エロ魔導士の証ね」
「そうなのかな。とにかくね、そういうことだから、私も手伝うよ。魔王って何か知らないけど、レベルも順調に上がってるし」
「ありがとう」
ソフィアがにっこり微笑んだ。
「じゃ、さっそく服を着て。朝食の後、ギルドの登録と、武器屋と防具屋で準備を調えましょう」
「いいけど…。でも、私、この世界のお金、持ってないよ」
転生で財布もカードも消えてしまったのである。
たとえこの世界に銀行があっても、換金できないというわけだ。
「大丈夫。私に任せて」
ウィンクしながら、ソフィアが言った。
「経費は全部、私が持つから」
おお。
私は感動した。
持つべきものは、お金持ちのレズ友である。
そう思ったのだ。
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