聖獣大戦

戸影絵麻

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#6

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 心身ともに妙なダメージを受け続けたせいか、つい寝過してしまい、昼過ぎに起きると、秋津さんからメールが届いていた。
  ー鶴舞公園 子供広場 一七時ー
 それだけだった。鶴舞公園というのは、昭和区の桜の名所として有名な所で、つい先月大学の新歓コンパの花見で行ったばかりだ。それにしても夕方の五時とは、あまりに微妙すぎる。バイトと重なってしまうのだ。僕の始めたアルバイトはピザの宅配である。だからゴールデンウィーク中はむしろかき入れ時で、今日から三日間は連続で出勤することになっていた。どうしたものか。迷わずにはいられない。はたしてこれがバイトを休んでまで行くべきものかどうか、という問題である。石川君は「青龍を取ってこい」と言った。まず第一に、その青龍なるもの、そんなに簡単に取れるものなのか。ゲームやアニメじゃ、そういうときはたいてい試練というか、戦いがつきものだ。青龍というからには、ドラゴンみたいな化け物だろう。そいつと僕は戦うはめになるのか。だとしたら、そんなの、どうしたって勝ち目はないに決まっている。それとも、土壇場で何か超能力みたいなものが目覚めるとでもいうのだろうか。だったらいいが、今のところそんな兆候はこれっぽっちもないし、もし超能力が覚醒しなかったらどうするのだ。だいたい、そんなご都合主義的なものがこの僕に本当に備わっているのか。どう考えたってありえないだろう。
 それから、そもそも僕にその、地底人とやらと戦う義務があるのかどうか、という疑問もある。スーパーブルームとか東海大地震とか急に言われても、ピンとくるはずがない。まあ、たしかに例のウツボーズに煙草の吸殻をぶつけて怒らせたのはこの僕ではあるのだが、だからといって…。
いくら考えたところで答えが出ることではなく、石川君の時と同様に迷いに迷った末、僕はバイト先に電話をかけ、半ば強引に休みをもらった。結局出かけることにしたのは、僕が何もしないでいると、あのスーパーな元人妻、秋津さんひとりが割の合わない厄介事に立ち向かうことになると気づいたからだった。少なくとも彼女は僕の命の恩人なのである。地底人の脅威が実在しようとしまいと、それだけは確かなのだ。なら、恩は返さねばなるまい。
 午後五時というのは遅くて中途半端な時間だと思っていたのだが、いつのまにか部屋の時計は三時半を示しており、僕はあわてて着替え、いつもの喫茶店で軽く食事を摂ると地下鉄に乗って鶴舞公園に向かった。駅までは十五分ほどだった。地下鉄を降り、長い地下通路を走る。階段を駆け上るとそこは公園の端っこ、図書館の近くあたりだった。夏に向かって日が長くなっている地上はまだ十分明るく、初夏の温かさを運ぶ風が肌に心地よかった。
子ども広場に近づくと、子供たちの歓声が聞こえてきた。ジャングルジムやブランコ、砂場といったオーソドックスな空間に、幼稚園に入るか入らないかくらいの子供たちが数人群れており、周りを囲むベンチに母親と思しき女性たちが二、三人座っているのが見える。秋津さんはすぐわかった。ジャングルジムの脇に立ち、てっぺんに登っている女の子のほうを一心に見上げている。今日は淡いブルーのゆったりしたサマードレスを着ていた。が、長いドレスの裾から不似合いな真紅のブーツがのぞいていることで、彼女が戦闘態勢(?)でいることがわかる。案の定、すぐ後ろのベンチに置いてあるのは例の黒いギターケースだ。ジャングルジムの上から女の子が手を振りながら、彼女に何か一生懸命話しかけている。ポニーテールの、色白の可愛らしい女の子だった。この子が晴香ちゃんか。僕は何とはなしに頬が緩むのを感じた。二人はすごく仲がよさそうに見えた。そこには何か温かい二人だけの空気が流れていた。気軽に近づくのがはばかられる、ほのぼのとした世界。一瞬、本気でこのまま踵を返して帰ろうと思った。だが、彼女に気取られないように立ち去ろうとした時、女の子が僕の方を見、続いて秋津さんが振り向いた。一呼吸遅れてぎこちなく会釈する。秋津さんは僕に小さくうなずき返すと、無言で女の子の方に向き直り、両手を伸ばして彼女を胸に抱きとった。そしてベンチの方へ歩いて行くと、そこに座っていた若い母親の一人に何か話しかけ、女の子を地面に下ろした。他の子供たちが二人、その周りに集まっていく。秋津さんと話していた女性は彼女に笑顔で二言三言答えると、立ち上がって三人の子供を連れ、歩きだした。秋津さんは子供たちの姿が見えなくなるまで同じ場所に立ってじっとその後ろ姿を見送っていたが、やがてベンチに置いてあったギターケースを背中に背負うと、僕の方を向き、ゆっくり歩を踏み出した。昨日と同じ、妙につきつめた表情をしていた。
「すみません、取り込み中のところを」
立場がよくわからないながらも、僕は頭を下げて謝った。
「いえ、呼んだのはわたしのほうですから」
 にこりともせず言い、先に立って大股に歩き始める。
「今日は保育園がお休みなので、お友達のママに晴香を預かってもらうことにしました」
公園を出て、公園に沿った道をどんどん歩いていく。
「いや、本当にお手数をおかけしてしまって…」
変な謝り方だとは思ったが、そう言うしかなかった。
「ところで、あの、どこへ行くんですか。その、青龍ってどこに…?」
「すぐそこです。八幡山古墳」
八幡山古墳ー。そういえば、名東公園の近くにそんな名前の小さな遺跡めいたものがあったような…。
「あそこです」
 信号を一つ渡り、少し歩いたところで秋津さんが前方に腕を伸ばして言った。
左手の方角に、緑の木々に覆われたこんもりとした小山みたいなものが見える。周りを柵で囲まれたそれは、古墳というにはあまりに小さかった。歴史で習った前方後円墳とは形状がかなり違っていて、見たところただの小高い丘だ。
「五世紀中ごろに造られたといわれている円墳です。わたしのときは熱田神宮の近くの古墳でした。四神が収納されている異空間へは、古墳の玄室からアクセスします」
「その、青龍とは戦うんですか? 真の勇者である証を見せるため、とかで」
一番気になっていたことを、僕は尋ねた。
「青龍は武器ですから、ただ取ってくるだけです。そのこと自体には、面倒はほとんどありませんよ。あなたが原種で、あらかじめ定められた所有者であるのなら」
「はあ…。でも秋津さん、それならなぜ鎌を持ってきてるんですか?」
「妨害される可能性が高いからです」
 秋津さんは足を速めながら僕を振り返ると、
「きのうの一件であなたは顔を知られてしまっている。無事で済むと思いますか?」
と、きれいな顔でいきなりそんなぶっそうな台詞を吐いた。
 古墳の周りの柵はどう見てもただの囲いといった感じで、侵入者防止の役はまるで果たしていないようだった。秋津さんは長い脚でひょいとそれをまたぎ超えると、ためらうことなく中へ入っていく。
「いいんですか、勝手に入っちゃって」
「平気です。ここはお花見の隠れた名所なんですよ。ほら、これはみんな桜の木です」
なるほど、小山の周囲を取り巻く木々は確かについ先頃まで花をつけていたと思われるソメイヨシノだった。古墳は外から見た印象と比べるとずっと大きかった。外周は中学校か高校の運動場のトラックくらいありそうだ。高さは十メートルほどだろうか。ただ、古墳全体を鬱蒼たる草木が覆い尽くしていて、どんな形をしているのか今一つよくわからない。
「直径八十二メートル。これでも東海地方最大級の古墳なんですよ。戦時中はこの上に高射砲の陣地が作られていたとのことで、形は以前と変わっているらしいですけど」
立ち止まった秋津さんの視線の先を見ると、古墳の山肌に人が一人通れるくらいの道がついているのがわかった。
「成立年代からして、竪穴式だと思います。入り口は頂上にあるんじゃないかしら」
「古墳に詳しいですね」
「朱雀鎌を取る時、いろいろ調べました。あのときは、何が何だかさっぱりわからなかったから、必死だったんです」
「石川君が取りに行け、と?」
「そう」
 秋津さんが遠くを見るような眼をした。
「一か月ほど前のことです。わたしは離婚したばかりで身も心も疲れ果てていた。その上、晴香は重い病気で、すぐにでも入院させなければ命が危なかった。仕事に出られないでいるうちにパートは首になるし、本当にもう、どうしようもなくって、部屋でぼうっとテレビを眺めていた時に、突然彼が画面に現れて言ったんです」
「テレビの画面に?」
 僕は感心した。石川君の多彩な才能には舌を巻かざるをえなかった。
「晴香ちゃんは僕が助ける。その代わり、キミは断夫山古墳へ行ってくれ。そこで朱雀と同化してほしい。そして戦うんだ。地底人とーそう、言ったんです」
 断夫山古墳というのは、たぶんさっき彼女が口にした熱田神宮の近くの古墳のことなのだろう。朱雀鎌はそこにあったというわけだ。
「よくそんな戯言を信じましたね」
僕が口をはさむと、秋津さんはおもむろに振り向いて、
「離婚、失業、子供の大病と三重苦のわたしに他にどうしろと? 娘の命が救われるならそんなのお安いご用だと思いましたよ。だから、次の日の夜、その古墳に忍び込んで鎌を取ってきました。あっけないくらい、簡単だった。そこまではね」
「そこまでは、って?」
秋津さんはそれには直接答えず、
「石川君は約束を守ってくれました。彼の紹介だという大学病院のお医者さんから、翌日に電話がかかってきて、晴香は無事入院できました。治療費は、石川君の懇意にしている財団が全額肩代わりしてくれて、今じゃ晴香も見違えるくらい元気に…。ね、夢みたいな話でしょう?」
「すごいな…」
僕はうめいた。しかし、やつはいったい何者なのだ。三年前までは、僕と同じ単なる一地方の公立高校の生徒だったはずなのに。
「で、その代償をわたしはそれ以来ずっと払い続けている、というわけ」
秋津さんはギターケースを足元に置くと、背中のファスナーに手をかけ、僕に目をそむける暇も与えず、するりとサマードレスを脱ぎ捨てた。真紅の戦闘服に包まれた肉付きの良い肢体があらわになる。心もち両サイドに突き出した紡錘形の胸、ギュッとくびれた腰、見事に湾曲して張り出したヒップ、悩ましい網タイツに包まれた長く形のいい脚と、息をのむほどのスタイルだ。
思わず見とれてしまった僕を尻目に、秋津さんはかがんでギターケースを開き、これまた真っ赤な例の鎌を取りだした。かちり、と音をさせて折りたたまれていた鎌の長い刃をセットする。とたんに、微妙な振動が周りの空気をふるわせ始めた。秋津さんの顔に、この前と同じあの悪魔めいた派手なメイクがじわりと浮かび上がってくる。化粧ではなかったのだ。何かわからないが、鎌の属性が秋津さんの体に影響を及ぼしているようだった。長い髪が風もないのに扇形にふわっと宙に広がった。全身が帯電しているように輪郭がぶれて見える。
「さ、行きましょう。陽が落ちたら、十中八九、彼らが現れるわ」
薄暗いのは、周囲に茂る木々のせいばかりではなかった。いつの間にそんなに時間が経ったのか、腕時計の針はすでに午後六時を指している。秋津さんが音も立てずに古墳を駆けあがった。ほんの二またぎほどで十メートルはあろうかと思われる古墳の頂上に登ってしまう。目にもとまらぬ素早さだ。鎌が彼女の身体能力のレベルを一気に引き上げたかのようだった。身のこなしのキレが桁違いに良くなっている。僕はあわてて後に続いた。登り切っただけで息が切れた。古墳の上部は平らになっていた。が、地面がのぞいているのはほんの一部だけで、相変わらず身の丈ほどもある草や木々が周囲を取り囲んでいる。入り口を探すのはかなり骨が折れそうだった。僕は手近にあった岩に腰をかけ、無意識に煙草を取りだした。
「何考えてるの」
鎌が一閃して、指先の煙草がフィルターだけ残して消える。
「だめですよね、やっぱり」
 照れ隠しに、頭をかいた。
「懲りない人ね」
仁王立ちになった秋津さんが睨んできた。
「一応、携帯灰皿は持ってきたんですが」
「そういう問題じゃなくて」
 やれやれ、というふうにため息をつく。
「早く入り口を探さないと」
「これだけ草が生い茂ってたら無理ですよ」
「大丈夫。日が暮れたから、もう印は現れているはず。?のマークを探すの」
「はあ?」
 僕はあっけにとられ、まじまじと彼女の顔をその立派なバスト越しに見上げた。
「ハテナのマーク、ですか?」
双丘の間から僕を見下ろす彼女の表情は、真剣そのものだ。
「そう。ハテナマーク。刻印が見えたあなたなら、きっと見つけられるわ」
「そんな、ゲームじゃあるまいし」
 あたりはかなり暗くなってきている。腹も減ってきていた。僕は少し投げやりな気分になって、そこらをぶらぶら歩きだした。と、一分もしないうちに、見えた。左手の草むらの中に、ぼうっと青い微光が浮かび上がったのだ。
「あった」
 まさしく、クェスチョンマークだ。どういう仕掛けなのか、生い茂る草を通して、地面に直径三十センチほどのそれが描かれているのが見えている。蛍光塗料などの人工的な発光の仕方ではなく、言ってみれば蛍の発する光に似ていた。
 近くまで行き、手当たり次第に雑草を引き抜いてハテナマークの描かれた地面をむき出しにする。さわってみようとして右手をのばしかけたとき、
「来たわ」
 背後で、秋津さんが低く囁いた。ギクッと振り向いた僕は、彼女の視線を追って、ふいに嫌な気分になった。
 僕らが登ってきた道の方向にそれはいた。
 犬だった。ドーベルマン並みにでかい。
 真黒な巨体には体毛が一本もなく、粘液でてらてら光っている。両目は白濁して、黒眼の部分がなかった。凶暴そうな口からは白い泡をぶくぶく噴き出している。個人的に犬は嫌いではない。いや、むしろ好きな方だ。だが、と思う。これは本当に犬なのか?
「なんか、いっぱいいますね」
 軽い口調で言おうとしたが、声が震えるのは抑えきれなかった。先頭の一匹の肩越しに、複数の影がひしめきあっている気配が伝わってくる。犬たちは耐えられないほどの悪臭を放っていた。それは腐臭にそっくりだった。こいつら、死んでいるのかもしれない、と直感的に僕は思った。言ってみれば、ゾンビ犬だ。本来ならあり得ないと笑い飛ばすところだが、目と鼻の先に現物が存在するのだから仕方がなかった。
 そうだ。こんなときこそ石川君だ。
また隼一号みたいな気の効いたアイテムを用意してくれるかもしれない…。
しかし、ジーンズの尻ポケットを探って、僕は青ざめた。ない。携帯がない。今日目覚めたとき、秋津さんからのメールを読もうと出して、そのまま部屋に忘れてきてしまったらしい。
思わず、天を仰いだ。
「伏せて」
 ふいに、秋津さんが鋭く叫んだ。
 朱雀鎌を両手に握り、両腕を後ろに大きく伸ばすと、前傾姿勢のまま体を一旋させた。のけぞった僕の顔の真上を赤い閃光が走ったかと思うと、次の瞬間、四方で獣たちの絶叫が一斉に上がった。大量の臭い液体が頭上から降り注ぎ、たくさんの肉塊が周囲にぼたぼたと落ちてきた。
「早く中に入って」
叫びながら、秋津さんは振り切った鎌を今度は逆方向に旋回させた。すごい力だ。ぶんと唸りをあげて遠心力でパワーを増した大鎌が、飛びかかってきた犬たちの第二陣を一撃のもとに粉砕する。見る間に僕らの周りは肉片と腐臭と血の臭いで地獄と化した。
「きりがないわね」
 犬たちがひるんで麓の方にいったん退却するのを見届けて、秋津さんが言った。
 彼女の言うとおりだった。いまや、古墳全体がゾンビ犬の大群に取り囲まれてしまっていた。四方八方から、あの嫌な臭いと、不気味なざわめきがおし寄せてくる。
「どうやって中に入るんです? マークはあったけど、取っ手も何もないですよ。これはただの地面…」
 言いかけた僕を、秋津さんが鎌を持っていない方の右手をのばして、どんと突いた。
「わ、な、何を」
 ハテナマークの真上に倒れ込む形になった僕は、焦ってその中央に両手を着こうとした。
 が、できなかった。
 両手の下で、突然地面が消えたのだ。
 悲鳴を上げる暇もなく、僕はそのまま、深い闇の中に頭から落下していった。
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