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第1章 転校生

#5 屋上へ

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 私にとり、学校生活でもっとも苦痛なのは、昼食の時間である。
 なぜなら、さすがの私も、食事の時はマスクを取らなければならないからだ。
 小学校時代は、私だけ別室で給食を食べさせられた。
 低学年の頃はまだそうでもなかったが、高学年になると、給食時に私の素顔を見て気分が悪くなり、嘔吐する生徒が続出したためだった。
 それは、美しいものと醜いものを見分ける価値観が、クラスメートたちの間に育ってきた証拠なのかもしれなかった。
 だから、入学後に私がまずやったことといえば、自分だけの食事の場所を確保することだった。
 弁当を食べている最中にまわりでゲーゲー吐かれるのは、正直、気分のいいものではなかったからである。

「屋上? へえ、いいね」
 昼休み。
 屋上で弁当を食べることを告げると、杏里は嬉しそうに目を輝かせた。
 クラスメートたちは、そんな私たちを、複雑な面持ちで遠くから眺めていた。
 本当は誰もが杏里に興味津々なのだ。
 根掘り葉掘り色々訊きたいところなのに、私がいるから近くに寄って来られないのである。
 杏里のような美少女と私みたいな化け物の組み合わせがよほど奇異に映るのだろう。
 誰もが羨望と嫌悪の色を顔に浮かべ、他愛のない会話の合間から、ちらちら私たちの様子を窺っているのが手に取るようにわかった。
 ざまあ。
 と私は心の中で笑ってやった。
 この子はもうすぐ私のものになる。
 おまえたちには、渡さない。

 顏の奇形に関係があるのか、私の手足は老婆のように委縮していて、筋力も低い。
 実際、入浴時などに裸になると、そのごつごつした体つきに心底いやになるほどだ。
「あそこから外に出られるんだ」
 屋上へ続く非常扉を見つけると、杏里は私を追い越して、元気よく階段を上り出した。
 マイクロミニ丈のスカートの中を間近に覗き込むことになり、私はそこから視線を逸らすことができなくなった。
 形のいい丸い尻に薄い布地がぴったりと貼りついている。
 杏里が足を動かすたびに、生地の下で発達した筋肉が交互にうねる。
 太腿の合間から見える股間はぷっくりと盛り上がり、下着がきつく食い込んでいるせいで真ん中にくっきりと筋が浮き出てしまっている。
 もともとアンダーヘアが生えていないのか、”唇”の形がそのまま見えるのだ。
 私はひどく興奮した。
 たぶんきょうの夜は、この映像を反芻しながらベッドの中で自慰に耽るのだろう、と確信した。
 前にも書いたが、私は人一倍性欲が強い。
 自分に正常な性行為は一生かかっても不可能だ。
 その潜在意識が自虐的に作用したのかもしれない。
 ”生贄”がいない時は、スマホの無料動画をオカズにする。
 一番のお気に入りはレイプもの。
 泣き叫ぶ被害者が徐々に喘ぎ出し、官能的な表情に変わっていく演出が特に好きだ。
 だが、実際やってみるとわかるが、現実にはなかなかそうはいかない。
 生贄は行為が終わるまでただひたすら苦痛に震えるのが常である。
 レイプされた女がその途中で快楽に目覚めるなんて、たぶん作り手と視聴者の共同幻想にすぎないのだ。
 だが、杏里なら。
 目と鼻の先で揺れる尻を凝視しながら、何の根拠もなく私は思った。
 杏里なら、私の理想的な生贄になってくれるのではないか。
 生贄というより、むしろ愛くるしいペットみたいに。
 

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