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先走りすぎはよくない。
あの夜の出来事について、少し話を戻そう。
なぜって、その怪事件こそが本格的な発端だという気がするからだ…。
都会ではコンビニというと24時間営業が基本って感じだろうけど、うちの店はそうじゃない。
夜の10時には店じまいしてしまう。
なんたって、こんな田舎じゃ、夜中なんて誰も外を出歩かないからだ。
それに、労働力の問題もある。
店番できるのは、私を含めた家族3人と、バイトの五郎君、そして今から紹介する由羅だけなのだ。
特に私と由羅は未成年で、法律上深夜勤務は無理である。
というわけで10時閉店。
でも、誰からもクレームがきたことなんてない。
五郎君に代わって遅番の榊由羅がやってきたのは、夜の7時を少し回った頃のことだった。
由羅は私よりひとつ年上の、高校1年生。
榊由羅と書いて、「さかきゆら」と読む。
岐阜市にある、あまり評判のよくない私立高校に通っている。
評判が良くないというのは、私の偏見ではない。
今時珍しく番長とかスケ番が闊歩してるって意味で、この界隈では有名な学校だからだ。
だから、当然由羅自身、バリバリの武闘派である。
花のJKという気配はどこにもなく、浅黒い肌と、逆立った髪の毛、そして目の周りに塗ったパンダみたいなシャドウがトレードマークの、いかにも田舎のヤンキー予備軍といった感じのコワモテ女子なのだ。
「わりいわりい」
カウンターの私を見るなり、由羅が悪びれたふうもなくそう言った。
迷彩色のタンクトップにショートパンツといった格好で、その間からのぞく腹筋は見事なまでに割れている。
学校帰りにキックボクシングを習っているからである。
ちなみに由羅がバイトに応募してきた理由は、そのジム代を稼ぐためらしい。
「遅刻分、給料から引くからね」
冷たい声で言ってやると、
「あんだとお」
コンビニ強盗みたいにカウンターに身を乗り出し、パンダの眼ですごんできた。
「あ、パワハラ発言。店長に報告するね」
「わかった。わかったって」
いつものあいさつだから、由羅も長く絡んできたりはしない。
「わかったら、さっさと着替えてきて」
「うざいちびだな」
「ふん、背の高さは変わんないでしょ。体重は由羅のが重いけど」
「ほっとけ」
その時である。
ギギギギと自動ドアが開いて、ふらりとあの奇妙な客が店に入ってきたのは。
あの夜の出来事について、少し話を戻そう。
なぜって、その怪事件こそが本格的な発端だという気がするからだ…。
都会ではコンビニというと24時間営業が基本って感じだろうけど、うちの店はそうじゃない。
夜の10時には店じまいしてしまう。
なんたって、こんな田舎じゃ、夜中なんて誰も外を出歩かないからだ。
それに、労働力の問題もある。
店番できるのは、私を含めた家族3人と、バイトの五郎君、そして今から紹介する由羅だけなのだ。
特に私と由羅は未成年で、法律上深夜勤務は無理である。
というわけで10時閉店。
でも、誰からもクレームがきたことなんてない。
五郎君に代わって遅番の榊由羅がやってきたのは、夜の7時を少し回った頃のことだった。
由羅は私よりひとつ年上の、高校1年生。
榊由羅と書いて、「さかきゆら」と読む。
岐阜市にある、あまり評判のよくない私立高校に通っている。
評判が良くないというのは、私の偏見ではない。
今時珍しく番長とかスケ番が闊歩してるって意味で、この界隈では有名な学校だからだ。
だから、当然由羅自身、バリバリの武闘派である。
花のJKという気配はどこにもなく、浅黒い肌と、逆立った髪の毛、そして目の周りに塗ったパンダみたいなシャドウがトレードマークの、いかにも田舎のヤンキー予備軍といった感じのコワモテ女子なのだ。
「わりいわりい」
カウンターの私を見るなり、由羅が悪びれたふうもなくそう言った。
迷彩色のタンクトップにショートパンツといった格好で、その間からのぞく腹筋は見事なまでに割れている。
学校帰りにキックボクシングを習っているからである。
ちなみに由羅がバイトに応募してきた理由は、そのジム代を稼ぐためらしい。
「遅刻分、給料から引くからね」
冷たい声で言ってやると、
「あんだとお」
コンビニ強盗みたいにカウンターに身を乗り出し、パンダの眼ですごんできた。
「あ、パワハラ発言。店長に報告するね」
「わかった。わかったって」
いつものあいさつだから、由羅も長く絡んできたりはしない。
「わかったら、さっさと着替えてきて」
「うざいちびだな」
「ふん、背の高さは変わんないでしょ。体重は由羅のが重いけど」
「ほっとけ」
その時である。
ギギギギと自動ドアが開いて、ふらりとあの奇妙な客が店に入ってきたのは。
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