24 / 48
#23 あずみ、得意のパンチラで怪異を圧倒する⑤
しおりを挟む
ウウウウウ…。
参拝客たちが引き潮のように引いた境内の真ん中に、真っ黒な獣が2頭、牙を剥き出して周囲を睥睨している。
土佐犬とブルドッグが混ざったような岩の塊のような頭部。
筋肉の浮き出たたくましい四肢。
肩の高さは、小学校高学年の子どもの背丈ほどもある。
一見、野放しになった野良犬のように見えるが、僕の目はその傍らに立つ一対の石の台座を捉えていた。
あの台座には確か、さっきまで”あれ”が乗っていたはずだ。
ところが今は、肝心の”主人”がいなくなっている。
そう。
阿吽の呼吸で一対になった、狛犬の石像である。
あり得ないことだったが、僕は直感的に悟っていた。
あそこで今にも参拝客たちに飛びかかろうとしているどデカイ2頭の野犬。
あれこそが、つい先ほどまで石の台の上に鎮座していた狛犬の成れの果てに違いない。
「お兄ちゃん、ちょっと、これ持ってて」
あずみが僕にタピオカミルクティーのプラ容器を押しつけてきた。
「あ、あずみ、まさか、おまえ…」
僕の制止も聞かず、まっすぐ境内の中央に歩いていく。
固唾を呑んで人々が見守るなか、犬たちと向かい合って立つ。
ガウッ!
後ろ脚のばねを効かせて、やにわに1頭がジャンプした。
耳まで裂けた口を開き、牙を剥き出してあずみに飛びかかる。
境内を取り巻く参拝客たちの間から、口々に悲鳴が上がった。
が。
次の瞬間、あずみは間一髪のところで、狛犬の突進を阻止していた。
両手で巨大な犬の頭を挟み、顎のひと噛みを食い止めたのだ。
ガウッ!
牙を打ち鳴らして、狛犬があずみの頭に噛みつこうと口から白い泡を吹く。
だが、あずみの両腕はびくともしない。
それどころかー。
「いい気になるんじゃないよ!」
だしぬけに啖呵を切ると、目にも留まらぬ速さで狛犬の腹に膝蹴りの連打を食らわせ始めた。
あずみの強烈なキックを連続で食らい、狛犬の巨体がそのたびにバウンドする。
マルデックの戦士の末裔であるあずみの蹴りは、高層ビルを破壊するガントリークレーン並みに強力だ。
すぐに狛犬は口から舌を出し、眼球をぐるりとひっくり返して白目になった。
犬が完全に戦意喪失したところに、下顎にとどめのハイキックを炸裂させる。
血反吐の糸を引いて、狛犬の巨体が吹っ飛んだ。
が、安心するのは、まだ早かった。
蹴り上げたあずみの右足が地面につく瞬間、もう1頭の狛犬がダッシュした。
重そうな身体に似合わぬ敏捷さであずみに飛びかかると、よけようとしたあずみのスカートを牙で引き裂いた。
ただでさえ短いデニムのミニスカが腰のつけ根まで裂け、むっちりした太腿が丸見えになる。
「あああっー!」
あずみが叫んだ。
「やったなあっ! もう許さない! このエロ犬め!」
そして。
純白のビキニパンティを盛大に披露しながら、電柱の高さぐらいまで、一気に垂直ジャンプした。
参拝客たちが引き潮のように引いた境内の真ん中に、真っ黒な獣が2頭、牙を剥き出して周囲を睥睨している。
土佐犬とブルドッグが混ざったような岩の塊のような頭部。
筋肉の浮き出たたくましい四肢。
肩の高さは、小学校高学年の子どもの背丈ほどもある。
一見、野放しになった野良犬のように見えるが、僕の目はその傍らに立つ一対の石の台座を捉えていた。
あの台座には確か、さっきまで”あれ”が乗っていたはずだ。
ところが今は、肝心の”主人”がいなくなっている。
そう。
阿吽の呼吸で一対になった、狛犬の石像である。
あり得ないことだったが、僕は直感的に悟っていた。
あそこで今にも参拝客たちに飛びかかろうとしているどデカイ2頭の野犬。
あれこそが、つい先ほどまで石の台の上に鎮座していた狛犬の成れの果てに違いない。
「お兄ちゃん、ちょっと、これ持ってて」
あずみが僕にタピオカミルクティーのプラ容器を押しつけてきた。
「あ、あずみ、まさか、おまえ…」
僕の制止も聞かず、まっすぐ境内の中央に歩いていく。
固唾を呑んで人々が見守るなか、犬たちと向かい合って立つ。
ガウッ!
後ろ脚のばねを効かせて、やにわに1頭がジャンプした。
耳まで裂けた口を開き、牙を剥き出してあずみに飛びかかる。
境内を取り巻く参拝客たちの間から、口々に悲鳴が上がった。
が。
次の瞬間、あずみは間一髪のところで、狛犬の突進を阻止していた。
両手で巨大な犬の頭を挟み、顎のひと噛みを食い止めたのだ。
ガウッ!
牙を打ち鳴らして、狛犬があずみの頭に噛みつこうと口から白い泡を吹く。
だが、あずみの両腕はびくともしない。
それどころかー。
「いい気になるんじゃないよ!」
だしぬけに啖呵を切ると、目にも留まらぬ速さで狛犬の腹に膝蹴りの連打を食らわせ始めた。
あずみの強烈なキックを連続で食らい、狛犬の巨体がそのたびにバウンドする。
マルデックの戦士の末裔であるあずみの蹴りは、高層ビルを破壊するガントリークレーン並みに強力だ。
すぐに狛犬は口から舌を出し、眼球をぐるりとひっくり返して白目になった。
犬が完全に戦意喪失したところに、下顎にとどめのハイキックを炸裂させる。
血反吐の糸を引いて、狛犬の巨体が吹っ飛んだ。
が、安心するのは、まだ早かった。
蹴り上げたあずみの右足が地面につく瞬間、もう1頭の狛犬がダッシュした。
重そうな身体に似合わぬ敏捷さであずみに飛びかかると、よけようとしたあずみのスカートを牙で引き裂いた。
ただでさえ短いデニムのミニスカが腰のつけ根まで裂け、むっちりした太腿が丸見えになる。
「あああっー!」
あずみが叫んだ。
「やったなあっ! もう許さない! このエロ犬め!」
そして。
純白のビキニパンティを盛大に披露しながら、電柱の高さぐらいまで、一気に垂直ジャンプした。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
理由なき殺意
ビッグバン
ホラー
ある日、親友達が謎の失踪を遂げた。唯一帰って来た主人公の弟も記憶や感情を全て失って帰って来た。唯一覚えている事は海岸沿いにあるという古びた神社の事だけ、主人公 田奥は親友達を探すため、その神社があるという場所まで行くが。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
死界、白黒の心霊写真にて
天倉永久
ホラー
暑い夏の日。一条夏美は気味の悪い商店街にいた。フラフラと立ち寄った古本屋で奇妙な本に挟まれた白黒の心霊写真を見つける……
夏美は心霊写真に写る黒髪の少女に恋心を抱いたのかもしれない……
極上の女
伏織綾美
ホラー
※他サイト閉鎖のときに転載。その際複数ページを1ページにまとめているので、1ページ1ページが長いです。
暗い過去を持つ主人公が、ある日引越しした先の家で様々な怪現象に見舞われます。
幾度となく主人公の前に現れる見知らぬ少年の幽霊。
何度も見る同じ夢。
一体主人公は何に巻き込まれて行くのでしょうか。
別のやつが終わったら加筆修正します。多分
茨城の首切場(くびきりば)
転生新語
ホラー
へー、ご当地の怪談を取材してるの? なら、この家の近くで、そういう話があったよ。
ファミレスとかの飲食店が、必ず潰れる場所があってね。そこは首切場(くびきりば)があったんだ……
カクヨム、小説家になろうに投稿しています。
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330662331165883
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5202ij/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる