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第6章 アンアン魔界行
#46 アンアン、ミドルバベルへ⑨
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追いかけてきたのは、顔じゅう口でできているような、あの有名なティラノサウルス・レックスである。
体長15メートルほどもあるだろうか。
しっぽをぴんと伸ばし、身体を前のめりにかたむけて、たくましい後ろ足で飛ぶように走ってくる。
たまに首を前に伸ばして巨大な口を開け閉めしては、一ノ瀬のすぐ後ろでガキッと牙を噛み鳴らす。
そのたびに、
「ひいいっ! 玉あ、アンアン、阿修羅あ、どうかお助けをっ!」
一ノ瀬が魂消るような悲鳴を上げた。
賭けてもいいけど、一ノ瀬のやつ、おそらくまたお漏らしをしてしまっているに違いない。
「ごめんなさいですぅ! ミサイルはまだ使えませぬ!」
僕の腰にしがみついた玉が、風の音に負けじと大声で叫び返した。
そうだった。
召喚獣であるアンドロイド玉の必殺技、”ミサイル攻撃”は、いったんミサイルを消費してしまうと、次に充填されるまでけっこう時間がかかるようなのだ。
どういう仕組みで新たなミサイルが転送されてくるのかは不明だが、今までの経験からして、補充までとにかく半日ほどかかるらしい。
「しょうがないな」
面倒くさげにつぶやいたのは、アンアンである。
ちなみに今、僕はアンアンの砂時計のようにくびれた腰に腕を回していて、夏服越しにそのかぐわしい背中に頬を押しつけている。
腕を後数センチ上にずらせば、間違いなくおっぱいにもタッチできるのだが、その行為がアンアンを喜ばせるか怒らせるかどちらかわからないので、いまだに実行に移せないでいた。
そのアンアンが、振り返って僕の肩越しに後方に視線を投げた。
「このままじゃ、追いつかれる。だけど、なんであいつ、あたしらを追いかけてくるんだ?」
「それはたぶん、もともとこのトリケラトプスが、あのティラノザウルスの餌だからだと思う。ここが白亜紀の地球と似た環境だとすると、まさしく弱肉強食の世界なんだ」
僕が豆知識を披露すると、
「蚊トンボを囮にして、あいつが蚊トンボを喰ってるあいだに逃げるって手もあるが」
アンアンがぶっそうな提案をした。
「まあでも、それはあまりにも可哀相だから、やめておくとしよう」
僕はあわてて懇願した。
「ああ、なんとか命だけは助けてやってくれ。ああ見えて、一ノ瀬にも一応家族があるし、とんでもなくマヌケでエロいけど、数少ない俺の友人だ。なんとか命だけは助けてやってくれないか」
「そうだな。元気がそこまで言うのなら」
アンアンがまさおの背中の上に立ち上がった。
僕の頭上でマイクロミニ丈の制服のスカートがひるがえり、もろに純白のパンティが見えた。
「いっちょ、美容体操代わりにバトってくるか」
アンアンはパンチラなどものともせず、大股に僕の頭をまたぎ越えて後方へと歩いていく。
「悪いね、アンアン、わたし、まさおの運転でちょっと手を離せないから、あなた、私の代わりになんとかしてくれない?」
そのアンアンに、でっかいフリル越しに阿修羅が声をかけてきた。
「任せろ」
うなずくなり、大ジャンプを敢行するアンアン。
空中高く飛び上がると、膝を抱えて回転し、盛大にスカートを広げてずざざざっと路面に着地する。
その時にはすでに、遠近法に狂いが生じていた。
着地して向き直ったアンアンと、突進してくるテイラノが同じ大きさに見えるのだ。
もちろん、僕の目がおかしくなったわけではなかった。
単純に言えば、そう。
アンアンが、巨大化したのである。
体長15メートルほどもあるだろうか。
しっぽをぴんと伸ばし、身体を前のめりにかたむけて、たくましい後ろ足で飛ぶように走ってくる。
たまに首を前に伸ばして巨大な口を開け閉めしては、一ノ瀬のすぐ後ろでガキッと牙を噛み鳴らす。
そのたびに、
「ひいいっ! 玉あ、アンアン、阿修羅あ、どうかお助けをっ!」
一ノ瀬が魂消るような悲鳴を上げた。
賭けてもいいけど、一ノ瀬のやつ、おそらくまたお漏らしをしてしまっているに違いない。
「ごめんなさいですぅ! ミサイルはまだ使えませぬ!」
僕の腰にしがみついた玉が、風の音に負けじと大声で叫び返した。
そうだった。
召喚獣であるアンドロイド玉の必殺技、”ミサイル攻撃”は、いったんミサイルを消費してしまうと、次に充填されるまでけっこう時間がかかるようなのだ。
どういう仕組みで新たなミサイルが転送されてくるのかは不明だが、今までの経験からして、補充までとにかく半日ほどかかるらしい。
「しょうがないな」
面倒くさげにつぶやいたのは、アンアンである。
ちなみに今、僕はアンアンの砂時計のようにくびれた腰に腕を回していて、夏服越しにそのかぐわしい背中に頬を押しつけている。
腕を後数センチ上にずらせば、間違いなくおっぱいにもタッチできるのだが、その行為がアンアンを喜ばせるか怒らせるかどちらかわからないので、いまだに実行に移せないでいた。
そのアンアンが、振り返って僕の肩越しに後方に視線を投げた。
「このままじゃ、追いつかれる。だけど、なんであいつ、あたしらを追いかけてくるんだ?」
「それはたぶん、もともとこのトリケラトプスが、あのティラノザウルスの餌だからだと思う。ここが白亜紀の地球と似た環境だとすると、まさしく弱肉強食の世界なんだ」
僕が豆知識を披露すると、
「蚊トンボを囮にして、あいつが蚊トンボを喰ってるあいだに逃げるって手もあるが」
アンアンがぶっそうな提案をした。
「まあでも、それはあまりにも可哀相だから、やめておくとしよう」
僕はあわてて懇願した。
「ああ、なんとか命だけは助けてやってくれ。ああ見えて、一ノ瀬にも一応家族があるし、とんでもなくマヌケでエロいけど、数少ない俺の友人だ。なんとか命だけは助けてやってくれないか」
「そうだな。元気がそこまで言うのなら」
アンアンがまさおの背中の上に立ち上がった。
僕の頭上でマイクロミニ丈の制服のスカートがひるがえり、もろに純白のパンティが見えた。
「いっちょ、美容体操代わりにバトってくるか」
アンアンはパンチラなどものともせず、大股に僕の頭をまたぎ越えて後方へと歩いていく。
「悪いね、アンアン、わたし、まさおの運転でちょっと手を離せないから、あなた、私の代わりになんとかしてくれない?」
そのアンアンに、でっかいフリル越しに阿修羅が声をかけてきた。
「任せろ」
うなずくなり、大ジャンプを敢行するアンアン。
空中高く飛び上がると、膝を抱えて回転し、盛大にスカートを広げてずざざざっと路面に着地する。
その時にはすでに、遠近法に狂いが生じていた。
着地して向き直ったアンアンと、突進してくるテイラノが同じ大きさに見えるのだ。
もちろん、僕の目がおかしくなったわけではなかった。
単純に言えば、そう。
アンアンが、巨大化したのである。
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