137 / 249
第6章 アンアン魔界行
#40 アンアン、ミドルバベルへ③
しおりを挟む
いったん部屋へ行き、アンアンと阿修羅がおそろいのセーラー服に着替えて戻ってきた。
阿修羅まで着替えたのは、発火したせいで、身に着けていたタンクトップとショーパンが焦げてしまったからである。
「やっぱ、いいね、夏服は」
白いセーラー服に赤いスカーフ。
そして超ミニの紺色ひだスカートを履いたふたりを眺め、一ノ瀬が鼻の下を伸ばした。
僕も同感だった。
このふたりの戦闘服は、やはりこれだろう。
「玉も同じ制服着てるんですけど」
不満そうに玉が言ったけど、服は同じでもほかが色々違うんだから仕方がない。
「こっちですのん。お湯の取り入れ口は」
ろくろ首の女将さんに案内されて建物の裏に回ると、建物から伸びる太いパイプラインに突き当たった。
「どこに続いてるの?」
「はあ、裏の空き地に温泉が湧き出てまして」
「そこが異次元的に草津につながってるってわけね」
第一人格に戻った阿修羅が言う。
彼女はやはりこの美少女フェイズが一番である。
できればずっとこのままでいてほしいと思う。
が、パイプラインの終点まで来て、僕らは棒を呑んだように立ちすくんだ。
空き地の真ん中に、禍々しいものが鎮座している。
でっかいタンクを荷台に積んだ、武骨なバキュームカーである。
そのホースが、パイプラインの先に取り付けられているのだ。
「こいつのせいか」
アンアンが一歩前に踏み出した。
「けっ、見つかっちまったか」
運転席から顔を出したのは、ペリカンと天狗の合いの子みたいな妖怪だ。
「おまえは、陰摩羅鬼!」
阿修羅が叫んだ。
「いんもらき?」
首をかしげる一ノ瀬。
聞いたことがあるような、ないような。
するするとホースを巻き取ると、臭い茶色の液体をまき散らしながら、バキュームカーが走り出す。
「逃げるぞ! 玉、行け!」
アンアンが怒鳴る。
「え? 玉の出番ですか? そ、そんな、急に言われても」
泡を喰ってキョドる玉。
それでも四つん這いになって、プリケツ状態になる。
僕は手伝ってやることにした。
楽器ケースの蓋を開けると、
ウイーン!
でかいチンポコみたいなミサイルが一基、せり出してきた。
「おい、まさかこれ、核ミサイルじゃないだろうな」
「違います違います。これはただの冷凍弾です」
「冷凍弾?」
「撃ってみればわかりかすからあ」
「代わるよ」
阿修羅が戻ってきた。
玉の尻を支えて照準を定めると、
「どっちかわたしの身体を押さえて」
「え? いいの?」
うれしそうに阿修羅の腰に腕を回す一ノ瀬。
「おっぱいに触ったら、殺すからね」
「あ、はい、肝に銘じます」
どん。
腹に響く音がして、ミサイルが放物線を描いて飛んだ。
視界から消えようとしていたバキュームカーに、みるみるうちに接近していく。
パキ。
白い煙が上がり、
ぱりぱりぱりぱり。
澄んだ音を立ててバキュームカーが凍りつく。
「お見事」
腰に両手を当て、首尾を見守っていたアンアンが、満足げにうなずいた。
「やっぱ、ウンチは凍らせるに限るな」
阿修羅まで着替えたのは、発火したせいで、身に着けていたタンクトップとショーパンが焦げてしまったからである。
「やっぱ、いいね、夏服は」
白いセーラー服に赤いスカーフ。
そして超ミニの紺色ひだスカートを履いたふたりを眺め、一ノ瀬が鼻の下を伸ばした。
僕も同感だった。
このふたりの戦闘服は、やはりこれだろう。
「玉も同じ制服着てるんですけど」
不満そうに玉が言ったけど、服は同じでもほかが色々違うんだから仕方がない。
「こっちですのん。お湯の取り入れ口は」
ろくろ首の女将さんに案内されて建物の裏に回ると、建物から伸びる太いパイプラインに突き当たった。
「どこに続いてるの?」
「はあ、裏の空き地に温泉が湧き出てまして」
「そこが異次元的に草津につながってるってわけね」
第一人格に戻った阿修羅が言う。
彼女はやはりこの美少女フェイズが一番である。
できればずっとこのままでいてほしいと思う。
が、パイプラインの終点まで来て、僕らは棒を呑んだように立ちすくんだ。
空き地の真ん中に、禍々しいものが鎮座している。
でっかいタンクを荷台に積んだ、武骨なバキュームカーである。
そのホースが、パイプラインの先に取り付けられているのだ。
「こいつのせいか」
アンアンが一歩前に踏み出した。
「けっ、見つかっちまったか」
運転席から顔を出したのは、ペリカンと天狗の合いの子みたいな妖怪だ。
「おまえは、陰摩羅鬼!」
阿修羅が叫んだ。
「いんもらき?」
首をかしげる一ノ瀬。
聞いたことがあるような、ないような。
するするとホースを巻き取ると、臭い茶色の液体をまき散らしながら、バキュームカーが走り出す。
「逃げるぞ! 玉、行け!」
アンアンが怒鳴る。
「え? 玉の出番ですか? そ、そんな、急に言われても」
泡を喰ってキョドる玉。
それでも四つん這いになって、プリケツ状態になる。
僕は手伝ってやることにした。
楽器ケースの蓋を開けると、
ウイーン!
でかいチンポコみたいなミサイルが一基、せり出してきた。
「おい、まさかこれ、核ミサイルじゃないだろうな」
「違います違います。これはただの冷凍弾です」
「冷凍弾?」
「撃ってみればわかりかすからあ」
「代わるよ」
阿修羅が戻ってきた。
玉の尻を支えて照準を定めると、
「どっちかわたしの身体を押さえて」
「え? いいの?」
うれしそうに阿修羅の腰に腕を回す一ノ瀬。
「おっぱいに触ったら、殺すからね」
「あ、はい、肝に銘じます」
どん。
腹に響く音がして、ミサイルが放物線を描いて飛んだ。
視界から消えようとしていたバキュームカーに、みるみるうちに接近していく。
パキ。
白い煙が上がり、
ぱりぱりぱりぱり。
澄んだ音を立ててバキュームカーが凍りつく。
「お見事」
腰に両手を当て、首尾を見守っていたアンアンが、満足げにうなずいた。
「やっぱ、ウンチは凍らせるに限るな」
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】わたしの娘を返してっ!
月白ヤトヒコ
ホラー
妻と離縁した。
学生時代に一目惚れをして、自ら望んだ妻だった。
病弱だった、妹のように可愛がっていたイトコが亡くなったりと不幸なことはあったが、彼女と結婚できた。
しかし、妻は子供が生まれると、段々おかしくなって行った。
妻も娘を可愛がっていた筈なのに――――
病弱な娘を育てるうち、育児ノイローゼになったのか、段々と娘に当たり散らすようになった。そんな妻に耐え切れず、俺は妻と別れることにした。
それから何年も経ち、妻の残した日記を読むと――――
俺が悪かったっ!?
だから、頼むからっ……
俺の娘を返してくれっ!?
あるバイク乗りの話~実体験かフィクションかは、ご自由に~
百門一新
ホラー
「私」は仕事が休みの日になると、一人でバイクに乗って沖縄をドライブするのが日課だった。これは「私」という主人公の、とあるホラーなお話。
/1万字ほどの短編です。さくっと読めるホラー小説となっております。お楽しみいただけましたら幸いです! ※他のサイト様にも掲載。
無能な陰陽師
もちっぱち
ホラー
警視庁の詛呪対策本部に所属する無能な陰陽師と呼ばれる土御門迅はある仕事を任せられていた。
スマホ名前登録『鬼』の上司とともに
次々と起こる事件を解決していく物語
※とてもグロテスク表現入れております
お食事中や苦手な方はご遠慮ください
こちらの作品は、
実在する名前と人物とは
一切関係ありません
すべてフィクションとなっております。
※R指定※
表紙イラスト:名無死 様
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる