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第2部 ヒバナ、フィーバードリーム!
#1 出会い
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「おつかれさまあ」
「はい、おつかれー」
「ヒバナ、気をつけてね。また、通り魔とか出るとやばいから」
「そういうくまちゃんこそ。私なんかより、ずっと狙われやすそうだし」
「クマはいいんだよ。ちゃんとお迎えが来るから。それより、なんならヒバナ、おいらが送って行ってやろうか?」
「そんなこと言って、まっちゃんは送り狼になるつもりでしょ?」
「いいです。私、家、近いですし」
深夜喫茶『アイララ』は、午前2時閉店である。
ほかのメンバーより一足先に外に出ると、ヒバナはママチャリにまたがった。
きょうは母が仕事休みなので、自転車が空いていたのである。
さすがにこの時刻になると、商店街のすべての店が、シャッターを下ろしている。
常夜灯が通路を照らしてくれているからいいようなものの、ここを一人で帰るのは、いつまで経っても慣れるということがない。
商店街の出口、大猫観音の石段の前に差し掛かった時だった。
パタパタという軽い足音が聞こえた気がして、ヒバナはふと顔を上げ、自転車を止めた。
神社の境内を、こっちに向かって、小柄な人影はかけてくる。
ブルーのワンピースを着た、中学生くらいの少女である。
ショートボブの髪型。
ほっそりした手足。
この暑いのに、首にピンクのマフラーみたいなものを巻いている。
「どうしたの?」
思わずそう声をかけた時だった。
少女の背後から、巨大な影が現れた。
筋肉の盛り上がった裸の上半身。
腰から下は、剛毛に覆われ、脚は山羊のそれのような角度に曲がっている。
逆光でよく見えないが、頭には2本の角が生えているようだ。
とにかく。
と、ヒバナは思った。
どうみてもあれ、人間じゃないだろう。
シルエットからして、鬼?
それとも悪魔?
異界への扉がどこかでまた開いたのだろうか。
あるいはレオンがさっそくダンジョンを見つけてくれたのか。
だとすれば、これはチャンス。
レベリングの大チャンスじゃん!
石段を下りかけたところで、少女が転んだ。
自転車を倒し、ヒバナは飛び出した。
走りながら、左手首のリングを右手でひねる。
ずん、と衝撃が来た。
表皮に格子状の模様が現れた。
そして、すぐさま硬い本物のうろことなって全身を覆いつくす。
次は、筋肉の増強だ。
ほっそりした手足の筋肉がトップアスリートの強靭さを有し、太い縄のように盛り上がる。
二の腕と太腿の外側、そして背中に、逆三角形の大きなひれが生えた。
臀部から先の尖った尾が伸びる。
眼が大きく、そして切れ長になり、シャープさを増した。
両の眉が2本のひげに代わり、、ピンと立つ。
「あなたは?」
変身したヒバナを見上げて、少女が言った。
「私は竜戦士ヒバナ。なーんちゃって」
ヒバナがにっと笑ってみせた時、
グオオオオオオッ!
怪物が雄叫びを上げ、突進を開始した。
「はい、おつかれー」
「ヒバナ、気をつけてね。また、通り魔とか出るとやばいから」
「そういうくまちゃんこそ。私なんかより、ずっと狙われやすそうだし」
「クマはいいんだよ。ちゃんとお迎えが来るから。それより、なんならヒバナ、おいらが送って行ってやろうか?」
「そんなこと言って、まっちゃんは送り狼になるつもりでしょ?」
「いいです。私、家、近いですし」
深夜喫茶『アイララ』は、午前2時閉店である。
ほかのメンバーより一足先に外に出ると、ヒバナはママチャリにまたがった。
きょうは母が仕事休みなので、自転車が空いていたのである。
さすがにこの時刻になると、商店街のすべての店が、シャッターを下ろしている。
常夜灯が通路を照らしてくれているからいいようなものの、ここを一人で帰るのは、いつまで経っても慣れるということがない。
商店街の出口、大猫観音の石段の前に差し掛かった時だった。
パタパタという軽い足音が聞こえた気がして、ヒバナはふと顔を上げ、自転車を止めた。
神社の境内を、こっちに向かって、小柄な人影はかけてくる。
ブルーのワンピースを着た、中学生くらいの少女である。
ショートボブの髪型。
ほっそりした手足。
この暑いのに、首にピンクのマフラーみたいなものを巻いている。
「どうしたの?」
思わずそう声をかけた時だった。
少女の背後から、巨大な影が現れた。
筋肉の盛り上がった裸の上半身。
腰から下は、剛毛に覆われ、脚は山羊のそれのような角度に曲がっている。
逆光でよく見えないが、頭には2本の角が生えているようだ。
とにかく。
と、ヒバナは思った。
どうみてもあれ、人間じゃないだろう。
シルエットからして、鬼?
それとも悪魔?
異界への扉がどこかでまた開いたのだろうか。
あるいはレオンがさっそくダンジョンを見つけてくれたのか。
だとすれば、これはチャンス。
レベリングの大チャンスじゃん!
石段を下りかけたところで、少女が転んだ。
自転車を倒し、ヒバナは飛び出した。
走りながら、左手首のリングを右手でひねる。
ずん、と衝撃が来た。
表皮に格子状の模様が現れた。
そして、すぐさま硬い本物のうろことなって全身を覆いつくす。
次は、筋肉の増強だ。
ほっそりした手足の筋肉がトップアスリートの強靭さを有し、太い縄のように盛り上がる。
二の腕と太腿の外側、そして背中に、逆三角形の大きなひれが生えた。
臀部から先の尖った尾が伸びる。
眼が大きく、そして切れ長になり、シャープさを増した。
両の眉が2本のひげに代わり、、ピンと立つ。
「あなたは?」
変身したヒバナを見上げて、少女が言った。
「私は竜戦士ヒバナ。なーんちゃって」
ヒバナがにっと笑ってみせた時、
グオオオオオオッ!
怪物が雄叫びを上げ、突進を開始した。
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