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ACT8 帝国の秘密
#7 リコ②
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火照って桜色になったつるつるの肌を、お湯のしずくが玉になってすべり落ちていく。
『なあ、イオ、何もしてないのに変身するなんて、いったいありゃ、どういうことなんだよ?』
限界まで熱くしたシャワーの湯を全身に浴びせながら、リコは頭の中のイオに話しかけた。
『それが、私にも何が何だか…。乳首の起動装置を経由しないで、未知のパワーがリコの神経中枢にダイレクトに注入された…。そうとしか言いようがないのですが…』
イオも相当戸惑っているらしいことが、その”口ぶり”からわかった。
『未知のパワーだって? じゃ、そいつはどこから来たっていうのさ?』
『リコの性器から…。私はそんな印象を受けたのですが…』
『性器って、おま〇こか? あの時うちのおま〇こを弄ってたのは、確かアリア…』
『ええ。アリアです。あの娘には、謎が多すぎるようです。リコ、注意すべきなのは、ハルよりむしろアリアのほうかも』
『そうかもな。腸詰帝国が血眼で追い回すくらいだ。うーん、アリアには、確かに何か重大な秘密がありそうな気がするな』
むだな摩擦を避けるために露出度の少ないスウェットの上下に着換えると、タオルで髪を拭きながら、リコは浴室を出た。
食堂に顔を出すと、すでにアリアとハルは顔をそろえていて、テレビのニュース番組を見ているところだった。
「待たせたな」
ふたりから少し距離を置いて、リコは椅子に腰かけた。
「それで、手掛かりってのは、何なんだ?」
単刀直入にそう切り出すと、
「そうだな。説明しよう」
振り向くなり、ハルが言った。
「あのマンションの部屋に、これが落ちていた」
テーブルの上にハルが滑らせてよこしたのは、首にかけるひものついた四角いビニールケースである。
「なんですかあ? ネームプレートみたいですけどお」
リコのほうに寄ってきて、アリアが横から口をはさんだ。
アリアのいう通りだった。
ケースの中には品のいいデザインの厚紙が入っていて、
毛珍坊
というネームが恥ずかしげもなく堂々と印刷されている。
「店の名前を見ろ」
ハルの指摘に目を凝らすと、
「あ、これ、カニバルバーガーだ!」
リコよりひと足早く、アリアが声を上げた。
「今もCMでやってたよ! 『みんなもぐもぐカニバルバーガー!』って」
「そう、カニバルバーガーだ。少し調べてみたが、最近急速に店舗を増やしている新興のハンバーガーチェーンらしい」
「そんなのあるのか。ハンバーガーなんて、マックかモスしか知らないぞ」
「このエリアにも出店している。人口の多い港区あたりだ」
「で、どういうことなんだ? つまり、あの怪人が、このハンバーガーショップの従業員だったって、そういうことなのか?」
「ネームプレートが偽物でなければ、そういうことになるだろう」
「ひゃあ、アリア、いやですぅ。あんな変態お猿のいる店のハンバーガーなんて、誰が食べるものですか!」
「気持ちはわかるが、行ってみる価値はあると思う」
アリアの抗議を遮るようにして、ハルが言った。
「だって、臭わないか? 腸詰とハンバーガーだぞ。関連がないはずないだろう」
『なあ、イオ、何もしてないのに変身するなんて、いったいありゃ、どういうことなんだよ?』
限界まで熱くしたシャワーの湯を全身に浴びせながら、リコは頭の中のイオに話しかけた。
『それが、私にも何が何だか…。乳首の起動装置を経由しないで、未知のパワーがリコの神経中枢にダイレクトに注入された…。そうとしか言いようがないのですが…』
イオも相当戸惑っているらしいことが、その”口ぶり”からわかった。
『未知のパワーだって? じゃ、そいつはどこから来たっていうのさ?』
『リコの性器から…。私はそんな印象を受けたのですが…』
『性器って、おま〇こか? あの時うちのおま〇こを弄ってたのは、確かアリア…』
『ええ。アリアです。あの娘には、謎が多すぎるようです。リコ、注意すべきなのは、ハルよりむしろアリアのほうかも』
『そうかもな。腸詰帝国が血眼で追い回すくらいだ。うーん、アリアには、確かに何か重大な秘密がありそうな気がするな』
むだな摩擦を避けるために露出度の少ないスウェットの上下に着換えると、タオルで髪を拭きながら、リコは浴室を出た。
食堂に顔を出すと、すでにアリアとハルは顔をそろえていて、テレビのニュース番組を見ているところだった。
「待たせたな」
ふたりから少し距離を置いて、リコは椅子に腰かけた。
「それで、手掛かりってのは、何なんだ?」
単刀直入にそう切り出すと、
「そうだな。説明しよう」
振り向くなり、ハルが言った。
「あのマンションの部屋に、これが落ちていた」
テーブルの上にハルが滑らせてよこしたのは、首にかけるひものついた四角いビニールケースである。
「なんですかあ? ネームプレートみたいですけどお」
リコのほうに寄ってきて、アリアが横から口をはさんだ。
アリアのいう通りだった。
ケースの中には品のいいデザインの厚紙が入っていて、
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というネームが恥ずかしげもなく堂々と印刷されている。
「店の名前を見ろ」
ハルの指摘に目を凝らすと、
「あ、これ、カニバルバーガーだ!」
リコよりひと足早く、アリアが声を上げた。
「今もCMでやってたよ! 『みんなもぐもぐカニバルバーガー!』って」
「そう、カニバルバーガーだ。少し調べてみたが、最近急速に店舗を増やしている新興のハンバーガーチェーンらしい」
「そんなのあるのか。ハンバーガーなんて、マックかモスしか知らないぞ」
「このエリアにも出店している。人口の多い港区あたりだ」
「で、どういうことなんだ? つまり、あの怪人が、このハンバーガーショップの従業員だったって、そういうことなのか?」
「ネームプレートが偽物でなければ、そういうことになるだろう」
「ひゃあ、アリア、いやですぅ。あんな変態お猿のいる店のハンバーガーなんて、誰が食べるものですか!」
「気持ちはわかるが、行ってみる価値はあると思う」
アリアの抗議を遮るようにして、ハルが言った。
「だって、臭わないか? 腸詰とハンバーガーだぞ。関連がないはずないだろう」
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