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ACT8 帝国の秘密
#1 アリア①
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「これで大丈夫なはずだ。しばらくは痺れが残るだろうが、明日になれば完治する」
ベッドに仰臥するリコを見下ろして、ハルが言った。
リコは左手首に銀色のブレスレットを装着している。
ハルが自分の手首からはずして、つけたものだった。
どうやらそれが、ハルの言う治療装置であるらしい。
ここはハルの部屋である。
なぜリコの部屋ではなく、自分の部屋にリコを運び入れたのか、そのことがまずアリアにはいぶかしい。
が、ここはぐっとがまんして、ハルの指示に従うことにした。
「リコさま…」
アリアはベッドサイドにひざまずき、リコの横顔を一心に見つめている。
目を閉じたリコの寝顔は、口元に年相応の幼さを残してどこかあどけない。
唇を少し開き気味にしているだけになおさらだ。
見ていると、キスをしたくなってきた。
その心を見透かしたように、ハルが言う。
「私はちょっとでかけてくるから、その間、リコを見ていてくれ。だが、見ているだけだぞ。くれぐれも、手を出さないように」
くうう。
アリアは心の中で肩をすくめた。
そんなこと言って、自分だって後でリコさまに何かやらしいことしようと、たくらんでるくせに…。
「どこへ行くのですか? もうすぐ夕ご飯の時間ですよ?」
アリアは急いで話題を逸らした。
「さっきのマンションだ。何か手掛かりが残っているかもしれない。借主を調べれば、腸詰帝国のしっぽがつかめる可能性もある」
コートに腕を通しながら、ハルが答えた。
「はあ、なるほど」
いったんうなずいて、はっと顔を上げるアリア。
「あのう、ハル、ひとつ提案があるんですけど」
「なんだ? 言ってみろ」
「いつもタクシーで移動というのは、コスパも悪いし、不便です。ハルは刑事さんなんでしょ? だったらパトカーはないのですか? いわゆる覆面パトカーってやつ」
「移動手段か」
ハルの手が止まった。
「まあ、ここに腰を据えて捜査に集中するには、何かあったほうがよさそうだな」
「持ってないなら、買っちゃえば? 貯金、3億円もあるんでしょ」
「既成のもの購入するより、どうせならオリジナルをつくらせたほうがいい」
「わあ、それいいかも。地球防衛軍とか科学特捜隊とか、必ず自前の車や戦闘機持ってますよね。そういうの、そろえましょうよ。そうすれば、ここ、もっと秘密基地らしくなりますよ!」
「戦闘機となると、かなり資金が足りないな。それはもう少し稼いでからにする。わかった。とりあえず、車はなんとかしよう。水陸両用で、空も飛べる仕様なら、多少の役には立つだろう」
「ひゃはあ、かっこいい! って、それ、すでに車とは言えない気がしますけど」
アリアは手を叩いて喜んだ。
こんなことをさらりと言ってのけるなんて、やっぱりハルは宇宙人なんだ。
改めて、そう思う。
ハルが出ていくと、アリアはリコに向き直った。
今日中にすべきことは、明日、届く大量の荷物に備えて、家の中を片付けること。
それから、夕食の準備くらいである。
夕食は、冷蔵庫の中の残りもので、何かとか2、3品はつくれるだろう。
たぶん、ハルがつくるより、あたしのほうがマシな気がする。
それまでちょっと、リコさまを見ていよう。
あ、そうだ。
汗をかいてるかもしれないから、身体を拭いてあげようか。
えーっと、どれどれ…。
どきどきしながら掛け布団をめくったアリアは、その下から現れたリコの肢体をひと目見て、ごくんと生唾を呑んだ。
V字型のひも状水着しか身に着けていないリコは、ほとんど裸である。
ワインレッドの紐が、両の乳首、股間だけをぎりぎり隠しているだけなので、全裸よりもっと裸に見える。
長身で手足も長く、胸も腰もダイナマイト級のリコのボディは、さながら生ける芸術品だ。
「はあああ…」
無意識のうちに、手が伸びていた。
「リコさま寝てるし、ちょっとだけならいいよね?」
とろんとした目をして、アリアはうっとりとそうつぶやいた。
ベッドに仰臥するリコを見下ろして、ハルが言った。
リコは左手首に銀色のブレスレットを装着している。
ハルが自分の手首からはずして、つけたものだった。
どうやらそれが、ハルの言う治療装置であるらしい。
ここはハルの部屋である。
なぜリコの部屋ではなく、自分の部屋にリコを運び入れたのか、そのことがまずアリアにはいぶかしい。
が、ここはぐっとがまんして、ハルの指示に従うことにした。
「リコさま…」
アリアはベッドサイドにひざまずき、リコの横顔を一心に見つめている。
目を閉じたリコの寝顔は、口元に年相応の幼さを残してどこかあどけない。
唇を少し開き気味にしているだけになおさらだ。
見ていると、キスをしたくなってきた。
その心を見透かしたように、ハルが言う。
「私はちょっとでかけてくるから、その間、リコを見ていてくれ。だが、見ているだけだぞ。くれぐれも、手を出さないように」
くうう。
アリアは心の中で肩をすくめた。
そんなこと言って、自分だって後でリコさまに何かやらしいことしようと、たくらんでるくせに…。
「どこへ行くのですか? もうすぐ夕ご飯の時間ですよ?」
アリアは急いで話題を逸らした。
「さっきのマンションだ。何か手掛かりが残っているかもしれない。借主を調べれば、腸詰帝国のしっぽがつかめる可能性もある」
コートに腕を通しながら、ハルが答えた。
「はあ、なるほど」
いったんうなずいて、はっと顔を上げるアリア。
「あのう、ハル、ひとつ提案があるんですけど」
「なんだ? 言ってみろ」
「いつもタクシーで移動というのは、コスパも悪いし、不便です。ハルは刑事さんなんでしょ? だったらパトカーはないのですか? いわゆる覆面パトカーってやつ」
「移動手段か」
ハルの手が止まった。
「まあ、ここに腰を据えて捜査に集中するには、何かあったほうがよさそうだな」
「持ってないなら、買っちゃえば? 貯金、3億円もあるんでしょ」
「既成のもの購入するより、どうせならオリジナルをつくらせたほうがいい」
「わあ、それいいかも。地球防衛軍とか科学特捜隊とか、必ず自前の車や戦闘機持ってますよね。そういうの、そろえましょうよ。そうすれば、ここ、もっと秘密基地らしくなりますよ!」
「戦闘機となると、かなり資金が足りないな。それはもう少し稼いでからにする。わかった。とりあえず、車はなんとかしよう。水陸両用で、空も飛べる仕様なら、多少の役には立つだろう」
「ひゃはあ、かっこいい! って、それ、すでに車とは言えない気がしますけど」
アリアは手を叩いて喜んだ。
こんなことをさらりと言ってのけるなんて、やっぱりハルは宇宙人なんだ。
改めて、そう思う。
ハルが出ていくと、アリアはリコに向き直った。
今日中にすべきことは、明日、届く大量の荷物に備えて、家の中を片付けること。
それから、夕食の準備くらいである。
夕食は、冷蔵庫の中の残りもので、何かとか2、3品はつくれるだろう。
たぶん、ハルがつくるより、あたしのほうがマシな気がする。
それまでちょっと、リコさまを見ていよう。
あ、そうだ。
汗をかいてるかもしれないから、身体を拭いてあげようか。
えーっと、どれどれ…。
どきどきしながら掛け布団をめくったアリアは、その下から現れたリコの肢体をひと目見て、ごくんと生唾を呑んだ。
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長身で手足も長く、胸も腰もダイナマイト級のリコのボディは、さながら生ける芸術品だ。
「はあああ…」
無意識のうちに、手が伸びていた。
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